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今年1年、サンライズベガからまだまだ目が離せそうにない
文/編集部(W)、写真/森鷹史

93年のエリザベス女王杯は、牝馬三冠を目指していた2番人気のベガが③着に敗れ、勝利を収めたのは9番人気のホクトベガだった。その時、実況を担当していた馬場鉄志氏「ベガはベガでもホクトベガです!」と発した言葉は有名だろう。

今回の小倉大賞典は、同じ勝負服、松岡隆雄オーナーの所有馬が5枠に入っていた。09年の小倉大賞典の覇者サンライズマックス、そして今回勝利したサンライズベガである。「サンライズはサンライズでもサンライズベガです!」というフレーズが浮かんだ方、なかなか年季が入った競馬ファンとお見受けしました(笑)。

サンライズベガはいつものように好位で運び、3~4コーナーでは内から上がってきた1番人気リルダヴァルと併走。ただ、直線入口では外から蓋をする形でリルダヴァルを内に押し込める。リルダヴァルは外に持ち出し、その外からバトルバニヤンが脚を伸ばす。

リルダヴァルバトルバニヤンが馬体を併せて迫り来る中、サンライズベガはこの追撃を僅差で凌いで先頭でゴール。②着バトルバニヤンとはハナ差、③着リルダヴァルとはハナ+クビ差という大接戦をモノにして、待望の重賞初制覇を飾った。

4コーナーでサンライズベガより前にいた3頭、クレバートウショウ(4番人気⑩着)、シゲルタック(15番人気⑪着)、コスモセンサー(3番人気⑬着)がふた桁着順に敗れたように、先行馬には苦しい展開だったと思われる。それは、上位人気に支持されていた有力馬が沈んだことからも分かるだろう。

道中のラップを見ると、12秒2-10秒9-11秒9-11秒7-11秒7-11秒7-11秒6-11秒8-11秒8。2F以降は10~11秒台のラップがズラリと並び、特に、先行馬には息を入れにくい流れだったはず。

ところが、サンライズベガはそんな流れを好位から早め抜け出しで押し切った。ゴール前は大接戦。今回の勝利にはもちろん、リルダヴァルの追い出しを遅れさせた秋山騎手ファインプレーも大きく寄与していると思う。それでも今回は、展開を考えれば着差以上の強さを感じさせた

サンライズベガは前走のAJCCシンガリ負け(⑪着)を喫した。ふた桁着順に負けたことは過去に2回あったので、それ自体はさして驚くことではなかったが、勝ち馬との着差が1秒5というのは、31戦のキャリアの中で自己ワーストだった。

しかもそれまで、①③③②④③着とほとんど崩れたことのなかった休み明けでの1秒5差の⑪着。7歳を迎えて、「衰え」を疑わざるを得ない状況だった。それがひと叩きでガラリ一変し、しかも強い内容[0.1.3.6]だった重賞で勝利してみせた。

「サンライズベガはサンライズベガでも、今回ばかりはサプライズベガです!」というフレーズが浮かんだ方、ユーモアとダジャレをこよなく愛する競馬ファンとお見受けしました(笑)。

7歳にして重賞タイトルを手に入れたサンライズベガ。重賞初挑戦は3歳5月の京都新聞杯(③着)だったから、初挑戦からタイトル奪取に至るまで、実に3年9ヵ月もの歳月を要したことになる。

その間、クビ差の②着だった新潟記念(09年)があり、クビ+半馬身差の③着だった七夕賞(10年)があり、クビ+アタマ差の③着だった新潟記念(10年)があり、クビ+クビ+クビ差の④着だったオールカマー(10年)もあった。キャリアを振り返れば、今回の1勝の重みがひしひしと伝わってくる

この結果を受けて、即座に「善戦マン返上」とはなかなかいかないかもしれない。それでもサンライズベガは、7歳になっても衰えなしということを、この小倉大賞典できっちりと証明してみせた。

ちなみに、アドマイヤベガ産駒の中央平地重賞成績を年齢別で見ると、2~4歳が[5.9.9.88](勝率4.5%、連対率12.6%、複勝率20.7%)、5歳以上が[13.10.17.93](勝率9.8%、連対率17.3%、複勝率30.1%)。7歳に限れば[3.2.5.21]、複勝率32.3%と好成績を残している。

サンライズベガ新潟記念で2年連続好走(09年②着、10年③着)していて、昨年の七夕賞は③着。夏場に強い印象もあるだけに、今夏のサマーシリーズでもきっと、高水準のパフォーマンスを見せてくれることだろう。今年1年、まだまだ目が離せそうにない