ナカヤマナイトはデータ的な向かい風には屈しない!?
文/編集部(W)
ディープインパクト産駒が4頭出走していた
共同通信杯。しかも、
ダノンバラード(1番人気)、
サトノオー(4番人気)、
ディープサウンド(5番人気)、
オンリーザブレイヴ(10番人気)と、上位人気に推されていた馬も多かっただけに、
産駒初のOPでのワンツーも十分にあり得るだろうと思っていた。
ところが、上位人気だった
ダノンバラード、
サトノオーはスローペースの中、外を回す形にもなって
差し届かず⑨着、⑥着。産駒の中で
最先着したのは、
ホープフルS⑩着から巻き返し、逃げ粘った
ディープサウンドだったが、連対圏内にあと一歩の③着にとどまった。
1000m通過は61秒6、レース上がりは34秒4。ほぼ昨年(1000m通過が61秒6、レース上がりが34秒2)と同じような流れで、
共同通信杯ではよくある
決め手勝負となり、でもそれはむしろ、
ディープインパクト産駒にとっては望むところだと思っていたのだが……。
ディープインパクト産駒のお株を奪うような
瞬発力(上がり33秒8)を見せ、内ラチ沿いから差し切りを決めたのは、ステイゴールド産駒の
ナカヤマナイトだった。
道中は後方寄りの内目で
折り合いに専念し、じっくりと脚を
温存。その後も終始内を通って進出し、4コーナーを2番手、1番手で通過していた
ユニバーサルバンク(②着)、
ディープサウンド(③着)を交わして突き抜けた。コースロスなく立ち回っていたとはいえ、
前有利の流れを後方から差し切った内容は価値があるだろう。
改めて、
「どんな競馬もできる」というのは、
ものすごい強味なのだと実感した次第。
というのも、前日の東京で行われた
クイーンCでは、
ホエールキャプチャが差し切りで重賞初制覇を飾っていたが、同馬はそれ以前に、
逃げ、先行、差し、追い込み……すべての
戦法を取って競馬をしていた。なおかつそれで
③着以内をキープしていたのだから、馬券の
軸として考えた場合、
信頼感は抜群と言える。
どんな競馬もできて、複勝率100%というのは
ナカヤマナイトも同じ。
ベゴニア賞では
逃げ切り、
未勝利戦では
先行して②着、
ホープフルSや
百日草特別では
中団差しでいずれも②着、
新馬戦は後方から
追い込んで③着。未勝利勝ちした時は外を回っての
マクリで突き抜けてもいた。
ホエールキャプチャや
ナカヤマナイトの
信頼感と言ったら、
娘がおもらしをした時、ズボンを脱がしたらオムツを装着しておらず、
「あっ、はかせるのを忘れてた。えへへっ」と笑ってやり過ごそうとする
妻と比べたら、天と地ほどの差である(笑)。
ナカヤマナイトは今回がデビュー7戦目。3歳2月の時点で見れば
豊富なキャリアと思えるが、その中で前記したような様々な競馬を行っている。しかも、
気性面で若さを残す感じの状況で
③着以内を外していないのだから、
中身の濃さは言うまでもなく、ただただ
感心するばかり。
86年以降、
共同通信杯の勝ち馬には
ダイナガリバー(
86年ダービー)、
アイネスフウジン(
90年ダービー)、
ナリタブライアン(
94年牡馬三冠)、
ジャングルポケット(
01年ダービー)などがいて、のちの
牡馬クラシックウイナーが4頭出ている。余談だが、舞台が東京ということもあってか、
ダービーと繋がりが強そう。
ところが、01年以降、
共同通信杯で③着以内と括りを拡げてみても、のちに
牡馬クラシックで連対していたのは前記の
ジャングルポケット以外だと、
タケミカヅチ(08年に
共同通信杯②着、
皐月賞②着)しかいない。
データ的には向かい風が吹いている印象だが、果たして
ナカヤマナイトは!?
共同通信杯を制した
二ノ宮厩舎の所属馬と言えば、
エルコンドルパサーがいる。ステイゴールド産駒、
和泉信一オーナー、
二ノ宮厩舎、セレクトセールで1000万円(税別)で落札といった点で共通している馬と言えば、
ナカヤマフェスタがいる。言わずもがな、国内で
G1を制していて、
凱旋門賞でも②着に好走した2頭だ。
現時点でその2頭と比較するのは
酷というものだが、
気性面、肉体面で成長の余地が大いにありそうなのに、
中身の濃いキャリアを積んでいる
ナカヤマナイトに、
器の大きさを感じるのは気のせいか。その
直感が正しいのかどうか、自分自身でもその答えが早く知りたい。まずは、
4月17日の皐月賞を楽しみに待つとしよう。