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コスモメドウとスノーフェアリーの意外な共通点
文/編集部(T)、写真/川井博

このレースを制したコスモメドウアイルランド産馬で、同国産馬が日本の重賞を制したのは、昨年のエリザベス女王杯を圧勝したスノーフェアリー以来。日本調教馬としては昨年の京都金杯ライブコンサート以来となる。

実は、そのスノーフェアリーコスモメドウには、アイルランド産、4歳世代ということ以外にも、いくつかの共通点がある。

先日、サラブレモバイルスノーフェアリーのプレトレーニング(本格的な調教を始める前段階のトレーニング。日本語で言えば馴致・育成がもっとも近い)を手がけた“ディック”リチャード・ブラバゾン師を紹介したが、実は、コスモメドウが管理していた馬だったのだ。

スノーフェアリーは2歳春までディック師の厩舎にいたが、コスモメドウは早めに退厩して1歳11月に日本に渡っている。わずかな期間ではあるが、世界的名牝に成長したスノーフェアリーコスモメドウは、同じ釜の飯を食った仲と言える。

また、晩成傾向も共通している。スノーフェアリーは3歳になってから春に英愛オークス、秋~暮れにエリザベス女王杯香港カップを制して本格化を示した馬だが、その2歳時は6戦1勝、重賞でも④③着と敗れており、なかなか結果が出なかった。

一方のコスモメドウは、最近の傾向としてはやや遅めとなる2歳12月にデビュー。3歳4月の初勝利まで6戦を要し、2勝目を挙げたのは3歳9月。しかし、それ以降は5戦4勝で、このレースで初めての重賞勝ちを飾り、出世街道をひた走っている。

前述のディック師は、先日の記事の中で、「肉体的、精神的に段階を踏んでステップアップしていくことが大事です。精神的に耐えられない状況で追い切りや競馬をすると、それを忘れずに全力で走ることを拒み続けてしまう馬もいますから」といった趣旨の話をしている。

この2頭は、1歳の冬以降は日本とアイルランドでそれぞれ育成されたが、どちらも充実した環境でジックリ育てられたのだろう。「焦ってステップアップしてしまえば、馬の素質を摘むことにもなりかねません」というディック師のコメントが証明するように、このことが、3歳以降の飛躍に繋がったのではないだろうか。

ところで、このレースは天皇賞・春の前哨戦に位置づけられてはいるが、条件が東京芝3400mになった04年以降、このレースの勝ち馬から本番を制する馬はまだ出ていない。今年のコスモメドウはどうだろうか。

レース後に鞍上のクラストゥス騎手「僕自身、長距離戦で戦略を立てて勝負するのが大好きで、今回はそれが上手くいきました」と語った。調べてみると、芝2400m以上で[5.0.0.6]で、勝率は45.5%にもなる。確かに長距離は得意なようだ。

今回、クラストゥス騎手は、昨年のステイヤーズS勝ち馬コスモヘレノスをマークしているように見えた。道中は終始これを見る位置につけ、直線では外を回して馬場の良いところを通り、斤量53kgを活かして素晴らしい瞬発力を発揮して差し切った。

クラストゥス騎手の作戦勝ち、斤量など、恵まれていた面も確かにあっただろうが、それだけとは言い切れない面もある。コスモメドウの母エンジェルオブザグワインは、英セントレジャー①着、愛セントレジャー②着をはじめ、欧州の長距離重賞で実績を残したミレナリーの半妹なのだ。

また、父キングズベストは、長距離にさほど実績のないイメージのあるミスプロ系の種牡馬だが、同馬の産駒には昨年のダービー馬エイシンフラッシュがいる

3000m以上のレースで連勝を飾ったコスモメドウは、血統的に考えても、今後メンバーのレベルが上がっていく長距離路線で十分に戦えるのではないだろうか。まだまだ伸びていく素質も感じさせるだけに、ステイヤーのスターホース候補として、今後のさらなる成長に期待したい。