●高松宮記念を目指すであろうサンカルロには追い風が吹きまくり!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史
昨年の
阪急杯の
『速攻レースインプレッション』では、
「良馬場の阪急杯では内枠に入った馬を黙って買え!」と書いた。というのも、
良馬場で行われた過去4年では、07年が馬番
1、
5、
3番、08年が馬番
3、
4、
2番、09年が馬番
4、13、
3番、10年が馬番
2、
4、
6番で決着していたから。
さらに、過去4年の③着以内馬の4角位置取りを見ると、07年が
6、
4、13、08年が
1、8、
5、09年が
2、
1、
3、10年が
5、
5、9となっていて、12頭のうち9頭が
4角6番手以内につけていた。
つまりは、
内枠に入った馬か先行型が狙い目となるわけで、これだけ傾向がはっきりしている
重賞も珍しい感じだが、今年も
馬番2番の
ガルボが
4角4番手から差し込んで②着、直線で大外を回る形だったが
馬番4番の
フラガラッハが③着に入った。
京都金杯②着の実績が評価された面ももちろんあるだろうが、
枠順と脚質の傾向から言えば、
ガルボが1番人気に推されたのも納得という印象で、実際、直線で前が狭くなりかけながらも間を割って
②着を確保してみせた。
過去5年の勝ち時計よりも速い1分20秒3で走破していることからも、よく走ったと思える。
褒めるべきは
サンカルロ。
勝ち時計1分20秒1は、
94年スワンSで
サクラバクシンオーが樹立した
1分19秒9のコースレコードに0秒2差まで迫るものだった。
コスモセンサーが引っ張ったその流れは
テン3Fが33秒2。これは
86年以降(86~95年は芝1400m、96~05年は芝1200m)で見ても、
アドマイヤコジーンが勝利した
02年と並んで最速だったから、
ハイペースの後押しがあったのも確かだろう。
それでも、
8枠15番という外枠を克服し、
大外を回るロスがありながらも
メンバー中最速の上がり(34秒7)を計時して突き抜けた。追っつけて中団まで押し上げ、いつもより前目で競馬をしたのにも関わらず、4コーナーから直線入口にかけて
抜群の手応えで進出し、内の各馬をあっさりと交わし去った。
昨年の
スプリンターズSでは
不利を受けながらも③着に好走していた馬で、
地力上位と言える存在なのだが、
「ここでは力が違う」と言わんばかりの競馬。3歳4月に
ニュージーランドTを制して以降、
およそ2年近く勝ち星から遠ざかっていた馬とは思えないほどのパフォーマンスである。
次走出走するであろう
高松宮記念において、
サンカルロの注目度は一気にアップしそうで、当然、上位争いになっても驚けないだろう。
その理由はまず、
過去5年の阪急杯③着以内馬は次走が高松宮記念だと[3.0.3.5]。06年
オレハマッテルゼ、07年
スズカフェニックス、09年
ローレルゲレイロと
3頭の勝ち馬を出していて、なおかつ、5年すべてで1頭は馬券圏内に入っているから。
次に、
サンカルロ自身は
レースのテン3Fが33秒9より速かった芝1200&1400mでは、
09年阪神C②着、
10年高松宮記念④着、
10年スプリンターズS③着、そして今回の
阪急杯①着と
ほとんど崩れていない。昨年の
高松宮記念も④着とはいえ、上位3頭とはたった0秒1差だった。
さらに言えば、③着以内に入ったその
3戦(阪神C、スプリンターズS、阪急杯)はいずれも阪神か中山の急坂コースであり、今年の
高松宮記念は
中京競馬場がスタンド改築・馬場改修工事中のため、
阪神芝1200mに舞台を移して行われる。そして、96年以降の
高松宮記念はすべて、
レースのテン3Fが33秒9より速い。
高松宮記念を目指すであろう
サンカルロにとっては、
追い風が吹きまくりという状況で、逆に怖くなってくるくらいだが、芝の中・長距離G1で4勝した
シンボリクリスエスの産駒で、初の芝G1を制する馬が
スプリントG1で誕生するというのも面白い。
また、
サンカルロは今回の
阪急杯でキャリア21戦目となったが、そのすべてで
吉田豊騎手が手綱を取っている。G1馬でも騎手の乗り替わりが頻繁に起きるいまだからか、この
人馬一体感がどこか心地よい。
3月27日の
高松宮記念では、
サンカルロ&
吉田豊騎手のコンビに要注目。阪急杯のレースぶりは、
“要”をつけるに足るだけのパンチ力があったと思う。