「混沌」としている今年の3歳牡馬クラシック路線。その霧は晴れたか?
文/編集部(M)
絵心がないくせに
絵の展覧会などに足を運ぶと、
「えっ!?」と思わされることが多いものだ。
いわゆる抽象画(というもの?)を見ても、「う~ん……これは
左官屋さんの仕事か!? それとも
チンパンジーなどの動物が!?」という考えが頭をかすめてしまう。藁にもすがる思いで
タイトルから
その絵の表現するところを類推しようとすると、タイトルが
「混沌」とかだったりする。こっちの頭の中がますます
混沌です(笑)。
絵心のない私のような人間が抽象画を見た時のような感覚を、きっと
現在の競馬にも感じている人が少なくないのではないだろうか。特に、今年の
3歳牡馬クラシック戦線に対して。
いつもは
クラシックの登竜門として機能していた
ラジオNIKKEI杯2歳Sが、今年は
機能不全を起こしているかのようだ。
メンバー中最速の上がりで差し切った
ダノンバラードは、次走の
共同通信杯で1番人気に推されながら
⑨着に敗れ、僅差の③着だった
コティリオンは次走で自己条件(500万)に戻りながら
③着、その次走の
きさらぎ賞では
⑥着に敗れた。
ラジオNIKKEI杯2歳Sに出走した15頭からは、
その後に勝ち鞍を挙げた馬が出ておらず、4戦して連外がなく、
ダノンバラードとクビ差の接戦を演じた
オールアズワンも、今回の
弥生賞で
⑧着に終わってしまった。
同レースで
1番人気(⑧着)だった
ショウナンマイティと④着だった
ウインバリアシオンも
弥生賞に出走していたが、
④着と
⑦着に敗れた。今年の
ラジオNIKKEI杯2歳S組は、いったいどうしたのだろうか?
現3歳世代のJRA重賞は
弥生賞までで
20レースを消化したが、
1番人気馬は[7.1.1.11]で、このうち
牝馬が[4.1.1.4]。
牡セン馬は[3.0.0.7]で、7頭も馬券圏外に沈んでいる。この結果にも、3歳牡馬クラシック戦線が
混沌としていることが現れていると思う。
弥生賞の
1番人気はどうなるのか。そのレースぶり以上に、どの馬が1番人気に推されるのかに注目していたが、時間が経つにつれて
サダムパテックの単勝が売れ、ずっと
3.0倍以上だったものが、最終的には
2.7倍まで下がった。
前走比10kg増の508kgでも問題ないと判断した人が多かったということか。
レースはその
サダムパテックが中団から差し切り、
東スポ杯2歳Sに続く
重賞2勝目をマークしたわけだが、
0秒1差以内に6頭がひしめき、「これで皐月賞は決まった!」と感じるまでには至らない人が大半だろう。私は、「いやあ、今年の
皐月賞はたいへんだぞ」と思いました。
今年の3歳世代のJRA重賞で、
1番人気で優勝した牡セン馬はのべ3頭いることを前述したが、実はそのうちの
2勝が
サダムパテックによるものだ。
東スポ杯2歳Sと今回の
弥生賞を
1番人気で制している。
ただ、ご存知のように、
朝日杯FSでは
1番人気で
④着に敗れていて、その記憶が強く残っている人も多いだろう。果たして、今回の
弥生賞での勝利で、どれだけの人の信頼度が増したか。
86年以降の
弥生賞①着馬は、次走の
皐月賞で[4.1.7.9]という成績が残されている。87年の
サクラスターオー、01年の
アグネスタキオン、05年の
ディープインパクト、10年の
ヴィクトワールピサの
4頭が連勝で
皐月賞も制していて、このうち
サクラスターオー以外の
3頭は、
弥生賞を
1番人気で制した馬だった。
逆に言えば、
弥生賞を
2番人気以下で制した馬は、87年の
サクラスターオー以降、
皐月賞を勝てていないのだから、
サダムパテックは
1番人気で
弥生賞を制し、
皐月賞制覇に一歩前進したと見ていいはずだ。
ただ、
弥生賞を
1番人気で制すれば安泰というわけでもなく、戴冠した3頭以外に
4頭の馬が皐月賞で敗れてしまっている。その4頭とは、93年の
ウイニングチケット(⑤着)、06年の
アドマイヤムーン(④着)、07年の
アドマイヤオーラ(④着)、09年の
ロジユニヴァース(⑭着)で、いずれも
皐月賞では
1番人気だった。
サダムパテックは
フジキセキ産駒で、同産駒は
JRAの芝G1で
5勝を挙げているが、それはすべて
左回り(東京&中京)で、
右回りに限ると[0.8.4.81]という成績が残されている。このデータを覆し、昨年の
ヴィクトワールピサに続いて、連勝でG1も制することができるだろうか。
皐月賞路線は、3月20日に
スプリングSと
若葉Sが行われ、その翌週の
毎日杯を終えて、有力馬がすべて出そろう感じだろう。
その結果いかんでは、
「混沌」としている状況が
「超混沌」になっているかもしれず、
皐月賞前日には、予想で
頭から湯気が出る恐れもありそうだ。もしそうなったら……
気を静める意味も込めて、
絵でも眺めに行きましょうか(笑)。