「ダートで2連勝」という事実のとらえ方が、明暗を分けた!?
文/編集部(T)、写真/森鷹史
中山から
阪神に舞台を移し、
1週遅れで開催された今回の
フラワーCを制したのは、
マンハッタンカフェ産駒の5番人気馬
トレンドハンターだった。
トレンドハンターは、これまで
ダートで②①①着という成績を残してきていた。前走がダートだった馬が
フラワーCを制したのは、00年の
マルターズスパーブまで遡る。01年以降だと、それまでにダートで勝ち星を挙げた馬がこのレースを制したことはない。
自分はこのレースの馬券を考える際に、
トレンドハンターについて
「ダートで連勝してきており、初芝での重賞挑戦では苦しいのではないか」と考えて、早いうちに検討から外してしまった。
結果的にそれは間違いだったわけで、レース後は逆に、なぜ
トレンドハンターに対して早くに見切りを付けてしまったのかを考えた。
それは、
近走成績にのみ着目した
ステレオタイプな見方をしたからで、少なくとも過去の成績面だけではなく、
血統面なども分析すべきだったと反省した。
トレンドハンターが
マンハッタンカフェ産駒で、同産駒が
芝向きなのは周知の事実。この日までに平地で挙げた
414勝のうち、
芝は275勝、
ダートは139勝。重賞勝ちも、
芝が21勝なのに対し、
ダートは0勝。
また、3歳春までに牡馬混合のダート500万を勝った
マンハッタンカフェ牝馬は、
トレンドハンターが初めてだった。
話はこのレースから少し離れるが、ものごとを
一面だけでなく、
いくつもの面からとらえるというのは、意外と難しい。ひとつの例を挙げると、有名な
「だまし絵」に、向こうを向いた
若い女性と、こちらを向いた
老婆の両方に見えるものがある。
教科書などにも載っていたので、見たことがある方は多いと思うが、みなさんはあの絵を見て、
ふたつの顔を読み取ることができただろうか。自分はその絵を見て、
若い女性には見えても、説明されるまでは
老婆には見えなかった。
この話を今年の
フラワーCに当てはめると、
トレンドハンターが
ダートで2連勝している事実を、
「マンハッタンカフェ産駒にもかかわらず、ダートでかなり強い」ととらえるのではなく、
「マンハッタンカフェ牝馬が3歳春に500万ダートを勝つことが凄い。血統的に考えれば、芝ならもっと強い可能性がある」と思考を働かせていれば良かったわけだ。
もちろん、今回はたまたま後者が正しかったわけで、前者が正しい場合もあるだろう。ただ、
両方の可能性を探ることが大事と思われ、個人的には、少なくとも次こそは、
トレンドハンターのような馬をあっさり切るような愚を犯すまいと固く誓った。
話をレースに移すと、
トレンドハンター自身の勝ち時計は
1分47秒0だった。これは開催場所が違うので過去の
フラワーCとは比べられないが、ひとつ前に行われた
スプリングSより
0秒6遅いだけで、
牝馬としてはなかなか優秀なタイムだったように思う。
今年の
フラワーCは
桜花賞と
中1週のため、今後、
トレンドハンターがどんな路線を歩むかはまだ分からないが、もし
桜花賞参戦ということになれば、管理する
松田博師は
レーヴディソール、
マルセリーナに続いて3頭目の有力馬を送り込むことになりそうだ。
一方、連闘での挑戦で②着となった
ハブルバブルは、これで収得賞金を
1150万円として、
桜花賞の当落ラインには上がってきた感じだろうか。
ディープインパクト産駒は多士済々の
牡馬陣に比べて、
牝馬のOP勝ち馬は
マルセリーナしかいなかったが、この2頭のどちらかが
桜花賞で
ディープ産駒に
初G1をもたらす可能性もまだ残っている。
これで
桜花賞の前哨戦はすべて終了したことになるが、
チューリップ賞のレースぶりを見ると、やはり
レーヴディソールが抜けている感がある。
今年は
変則日程となったが、
チューリップ賞組までは平常通りの開催だったことも、繊細な
牝馬にとっては意外と大きいかもしれない。果たして、結果はどうなるだろうか。