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敗北を糧にする。そうあってほしいし、そうなりたいもの
文/編集部(M)、写真/森鷹史

最初から私事で恐縮ですが、自分の母校(國學院久我山高校)が第83回選抜高校野球大会に出場し、昨日(26日)、1回戦(対九州学院高校)を戦った。

結果は、残念ながらサヨナラ負け。序盤に1対7とリードを付けられ、それを8回に追い付く展開だったが、最終回に暴投で1点を勝ち越され、万事休した。

國學院久我山高校は、元メジャーリーガーで現千葉ロッテの井口資仁選手らを輩出しているが、春夏を通じて甲子園で勝利したことがなく(今回が5回目の出場)、選手たちにはそんなプレッシャーもあったのかもしれない。

今回の敗戦を糧にして、夏の全国高校野球選手権を目指してほしい。敗北から得るものは少なくないはずで、今回の経験を活かせる機会は、今後にたくさんあるはずだ。

歓喜に沸いたドバイワールドカップヴィクトワールピサも、昨秋のフランス遠征での経験を経て、ひと回り強くなったと言われている。同じようなことは、毎日杯を快勝したレッドデイヴィスも当てはまるのではないかと個人的には思っている。

レッドデイヴィスは初勝利を収めた後に千両賞(阪神芝1600m)で⑨着に敗れているが、この時は直線で内を突いて前が詰まったもの。その次走の500万下戦(阪神芝1600m)では1位入線を果たしたが、直線入口で外にヨレて他馬の進路を妨害したため、⑩着に降着となった。

その後、500万を勝ち上がっていないながらシンザン記念に挑戦し、これを快勝するわけだが、2度の敗戦を経て、レースぶりが進化した印象を受けた。追って速い脚があるのは以前と変わらないが、それをどこで繰り出すか、浜中騎手が体得している感じがする。

今回の毎日杯は、勝ち鞍を挙げていない距離(1800m)で、さらには初の休み明け(2ヶ月半ぶり)でもあったが、レースぶりは前走のシンザン記念よりも安定感があった。

内ラチを頼れた点も良かったのかもしれないが、好位で折り合い、速い脚で抜け出して終いまでしっかり伸びるという、着差以上の完勝劇だった。

レースは前半の1000m通過が60秒4で、これは前日のスプリングS(59秒5)やフラワーC(59秒0)より遅く、速い流れで好走してきた馬、特に距離延長馬にとっては苦しくなっても仕方ないペースと思われた。

シンザン記念は前半が35秒1-47秒2-58秒8という流れだったから、レッドデイヴィスがペースを乱しても不思議ないと思えた。ところが、好位の内でピタリと折り合い、外見的には涼しい顔にすら思えた。

逆に、この緩い流れに乗り切れなかった馬は複数いて、1番人気だったトーセンレーヴがそのうちの1頭だった。トーセンレーヴ外枠の影響もあってか行きたがる素振りを見せ、直線では過去2戦のような伸び脚を繰り出せなかった。

それでも③着に入ったのだから、トーセンレーヴが非凡な能力を有していることについて異論はないだろう。姉(ブエナビスタ)もドバイワールドカップで初めて④着以下となる敗北(⑧着)を喫し、期せずして姉弟にとっては厳しい週末となってしまったが、両馬とも、きっとこの敗戦を糧にしてくれるはずだ。今回の毎日杯が、後に名馬を輩出したレースとして語られる可能性も低くはないだろう。

ご存知のようにレッドデイヴィスセン馬のため、3歳クラシックには出走できない。そのため、もしかしたら、同世代の他馬よりもひと足早く、古馬勢と対決する日がやってくるかもしれない。

混戦と言われる現3歳世代の牡馬勢だが、レッドデイヴィスが「強い4歳世代」を含めて古馬勢と対等に渡り合ったら、秋のG1戦線は例年以上の盛り上がりとなるだろう。

走る度に強く、安定感が増してきているレッドデイヴィスが、今後、どんな進路を取るか、いろいろな意味で興味深くなってきそうだ。