ハンデと変則日程が、結果に及ぼした影響は大きかった
文/編集部(T)、写真/森鷹史
ヴィクトリアマイルに向かうステップレースのひとつとして位置づけられるこのレース。元々は
3月13日に中山で開催されるはずだったが、日程を3週延期し、場所を
阪神に移して開催された。
1番人気の
ワイルドラズベリーの単勝オッズが4.7倍で、上位10頭が20倍以内という
混戦模様のレースを制したのは、管理する
笹田師とともにこれが
重賞初勝利となる
レディアルバローザだった。
レディアルバローザは、3歳時に
フィリーズレビュー③着、
秋華賞⑤着などの実績を残したが、前走は
準OPで
⑤着に敗れており、
格上挑戦での重賞勝ちとなった。
これまで3勝すべてを挙げていた
得意の阪神に替わったことも良かったか。馬群を縫って鮮やかに差し切った末脚を見ると、直線の長い府中の
ヴィクトリアマイルでも面白い存在になってきそうに映る。
馬券圏内に入った3頭の中でいちばん人気があったのが
レディアルバローザ(
10番人気)で、②着の
フミノイマージンは
14番人気、③着の
コスモネモシンは
13番人気だった。
3連単配当は
244万6260円となり、これはハンデ重賞としては昨年の
中京記念(255万5050円)に次ぐ、史上2位の高額配当だった。ここまで
荒れた理由はどこにあったのだろうか。
前述したように、今回のレースは
3週間延期されて開催された。3月13日に施行予定だった時の出走馬で、今回も登録された馬は
10頭いたが、その中で最高着順は
③着の
コスモネモシン。
①着の
レディアルバローザ、
②着の
フミノイマージンは、ともに3月13日に施行予定だった時は登録すらなく、出走を予定していない馬だった(
フミノイマージンは3月19日に出走している)。
追い切りを終え、一度仕上げられた馬を立て直すのは容易なことではないはずだ。しかも、
牡馬に比べて繊細と言われる
牝馬である。中2週で立て直しに成功した、あるいは余計に調整できたことがプラスに働いた馬も中にはいたかもしれないが、
苦労した馬の方が多かったことだろう。
上位人気の馬の中では、
ヒカルアマランサスが
22kg減の454kgでの出走となった。この他にも、体重が前走と比べて
10kg以上増減していた馬が5頭もいて、予想がさらに難しくなった印象だった。
変則開催が続く状況で、こういった日程の変化で調整に狂いが生じる可能性はまだ十分にある。これは重賞だけでなく、得意条件がいつ開催されるか分からない条件馬にとっては、もっと切実な問題となっていると聞く。
一日も早く落ち着いた日々が戻り、通常の開催で競馬が施行されることを祈るばかりだ。
日程の変更だけでなく、
ハンデ戦であったことも波乱を呼んだ一因だろう。55~56kgの馬たちは10頭いたが、いずれも③着以下となり、
①着の
レディアルバローザは
53kg、
②着の
フミノイマージンは
51kgと、
軽ハンデ馬のワンツーとなった。
以前、ある騎手に
「ハンデが重いとどういう影響が出るか」と聞いたことがある。自分はハンデが重いとトップスピードが鈍るのだと思っていたが、実際は、
「トップスピードは変わらないが、そこに達するまでの時間がかかる」ということだった。
今回は1000m通過が57秒9という
ハイペースで、差し馬にとって有利な展開と言えた。実際に、
レディアルバローザの位置取りは4コーナーで
10番手、
フミノイマージンは
16番手からの追い込みだった。
だが、1&2番人気だった
ワイルドラズベリーと
ヒカルアマランサスも後方に位置していて、単なる差し馬有利という展開でもなかったように思う。やはり、
軽ハンデ馬の方が差し込みやすかった可能性は十分にあるだろう。
昨年の
ヴィクトリアマイルを
ブエナビスタが制して以降、
古牝馬の芝重賞は7戦が行われ、これで
1番人気馬は7連敗となった。その間、3連単配当が50万円を超えたのは今回の
中山牝馬Sだけだが、いずれにしても
波乱含みの展開が続いていると言える。
古牝馬の戦いは、このまま
5月15日(
ヴィクトリアマイル予定日)を迎えることになるのだろうか。