重賞で激走する牝系で、バウンシーチューンも例に漏れず
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
毎週、金曜日のお昼を過ぎると、
JRAのホームページで金曜日正午時点での
各競馬場の天候、芝とダートの馬場状態などが発表される。そこには芝コースの草丈も掲載されているのだが、4月22日(金)に発表された
東京競馬場の洋芝の草丈
「約14~18cm」という部分が目に留まった。
JRA発表によると、4月18日(月)に
芝刈りを実施したと書かれていたが、それにしても
草丈が長い。野芝の
「約6~8cm」というのは、過去2年の同じ春の東京開幕週時と同じだったが、洋芝の草丈は09年が
「約12~16cm」、10年が
「約10~14cm」だったから、
「約14~18cm」が
長いと感じるのもムリはないだろう。
さらに、
フローラS当日はあいにくの
雨模様。メインレースのひとつ前、
東京10R・フリーウェイS(準OP、芝1400m、重)が1分22秒9で決着していたので、これは
相当に重い馬場、
フローラSも時計を要する
タフな展開になるのだろうと思ったが、案の定だった。
カトルズリップスが果敢に引っ張った流れは1000m通過60秒4。
重馬場ということを考えると速い部類だろう。4F目以降は
12秒0-12秒7-12秒7-12秒4-12秒0-12秒8-13秒0と12秒以上のラップが並び、
最後の1Fは13秒0、上がり3Fは37秒8、勝ち時計は2分3秒3とかかった。
その中、好位から早めに抜け出して押し切りを図ろうとした
ピュアブリーゼは、上位人気馬の中では
最先着となる③着。
モンズーン×パントレセレブル×ベーリング×サドラーズウェルズという配合で、
東京9R・新緑賞(500万、芝2300m、重)を制した
ショウナンバーズとともに、
重厚なヨーロピアン血統馬らしく
健闘を見せた。
その
ピュアブリーゼを交わして
先着したのが、9番人気①着の
バウンシーチューン、15番人気②着の
マイネソルシエールという人気薄の2頭だった。
近5走の
500万で
⑦⑫⑦⑤⑨着だった
マイネソルシエールの
大激走には驚かされた人も少なくないと思うが、母
マイネソーサリスは格上で挑戦した
愛知杯を13番人気で制した馬だったから、
意外性を秘めた一族ということか。
一方、アタマ差、クビ差という大接戦を制して大外から突き抜けた
バウンシーチューン。穴ぐさ💨指名した理由として
「過去10年のフローラSでは、メンバー中3位以内の上がりを計時した馬が[9.5.3.18]と好成績」であることを持ち出したが、
バウンシーチューンは今回、デビューから5戦連続となる
メンバー中1位の上がり(36秒2)を計時した。
ハイペースで流れが向いたという見方もされそうだが、それは否定できない部分があるのも確か。それでも、
OPで
好走実績がある馬たちに混じり、重賞初挑戦、洋芝の草丈が長い馬場に道悪も重なった
タフなコンディションの中、
直線一気で突き抜けるのはそれ相応の力が求められるはず。
バウンシーチューンは今回、6kg減で過去最少体重の
412kg。
ステイゴールド産駒に多く見られる小柄なタイプだが、
三浦騎手もインタビューで
「初戦から手綱を取らせてもらって、切れ味だけは抜けているモノがあると思っていた」と話していたように、その小さな体の中に、
素晴らしい爆発力を秘めているということだろう。
それにしても、
バウンシーチューンは
ステイゴールド×トニービン×ノーザンテーストという配合で、馬場は渋っても問題ない、むしろ
プラスくらいに思っていたが、
道悪はやっぱり上手かった。
バウンシーチューンはこの後、
5月22日のオークスに向かうことになるだろう。前述したように、今回は6kg減で過去最少体重、小柄なタイプということから、本番まで
中3週だと状態がポイントになりそうだが、果たして
桜花賞上位組に
決め手がどこまで通用するか。
ちなみに
バウンシーチューンの近親には、
02年クイーンSで7番人気①着だった
ミツワトップレディ、
93年福島記念で10番人気①着だった
ペガサス、そして、
98年秋華賞で14番人気②着、
99年中山牝馬Sで9番人気①着だった
ナリタルナパークなどがいて、
重賞で激走する馬が目立つ。今回の
バウンシーチューンも
例に漏れずといった感じか。
ただ、
G1で激走していた
ナリタルナパークの姿を思い浮かべると、
バウンシーチューンは
オークスであまり人気にならなそうだけど、
大塚愛のさくらんぼのように、
「もう1回!」と期待したくなってくる。
未勝利→G2で連勝を飾った異端児だけに、
本番でも注目しておきたいと思う。