上位に入った3頭は、いずれも「新潟芝2000で複勝率100%」だった
文/編集部(T)
昨年まで3回ほどPOG取材を担当してきたが、それだけ取材の回数を重ねても、
馬を見る目が身につかない。
例えば、ライターやカメラマン諸氏が
「あの馬、素晴らしいね!」と言っている馬を見ても、
「どのあたりが良いんだろう……?」と思ってしまう。
馬の見方が分かれば競馬がもっと面白くなることはよく分かっているのだが、なかなか身につかないので、予想は
血統や
データに頼ることにしている。馬体を見られるようになりたいのに、それが叶わないから他の手段に頼る、いわば
“後ろ向きなデータ派”と言えるかもしれない。
そんな自分が、このレースのパドックをなにげなく見ていて、ふと、
「今回はパドックを見て予想をしてみようか」と思った。「WIN5予報」にもあるように、①着に来るのは上位人気馬が多く、予想しやすいレースだと思っていたので、いつもは憧れでしかなかった
パドック予想を実践しようと考えたのだ。
そして、良く見えたのは、
アドマイヤメジャーと
サンライズベガ。素人考えではあるが、どちらも休み明けながら、馬体は仕上がっていて太め感もなく、踏み込みも深くて気合い乗りも良さそうに思えた。この2頭はハンデが
57kgと
56kgだった。
今回のトップハンデは、唯一のG1馬である
シャドウゲイト(58kg)で、次いで重いのが
アドマイヤメジャー(57kg)。
サンライズベガの56kgは3番目タイだった。
実績的に
シャドウゲイトの58kgは理解できたが、
重賞未勝利馬で今年初出走の
アドマイヤメジャーが、前走の
鳴尾記念(⑧着)から
1kg増の57kgというのは不思議な気がした。
逆に言うと、
サンライズベガはハンデに恵まれたとも言えそうで、今回は休み明けでも10kg減の498kgと、馬体もきっちり仕上がっているように見えたので、
サンライズベガを頭で固定した3連単を買うことにした。いや、
「してしまった」と言うのが正しいか……。
その
サンライズベガは、積極的なレースを見せたものの、直線半ばで
マッハヴェロシティと
セイクリッドバレーに差し込まれて③着。連対圏に入った2頭は、
メンバー中1&2位の上がりを使った差し馬だった。
セイクリッドバレーは中団やや後方の追走から馬群を割って鋭い伸び脚を発揮し、
重賞初勝利を飾った。道中は他の馬の鞍上が手綱を抑え気味に進めていたところでも、
丸山騎手&
セイクリッドバレーは長手綱でゆったりと構えていた。
直線に入って仕掛けられると、素晴らしい瞬発力で一気に他馬を抜き去っていった脚は、道中で馬に大きな負担をかけなかった
丸山騎手の騎乗ぶりによるところも大きかったのだろう。
デビュー3年目、現在20歳の
丸山騎手は、これが
重賞初勝利。デビュー年は8勝にとどまったが、昨年は
92勝と一気に飛躍。今年はこれが27勝目で、5月8日終了時点で全国リーディングでも
8位と、一気にトップジョッキーの仲間入りを果たした関東期待の若手だ。
昨年は芝ダート含めて複勝率43.9%を記録したように、得意コースと言える
新潟での初重賞勝利は、ある意味「らしい」結果だったのかもしれない。
勝った
セイクリッドバレーは昨年のこのレース②着を含めて、
新潟芝外2000mで[1.1.0.0]という成績だった。②着に入った
マッハヴェロシティも、このコースでは1000万で一戦して①着。③着の
サンライズベガは09~10年の新潟記念で②③着となっていて、馬券圏内に入った3頭はいずれも
このコースで複勝率100%だった。
新潟芝外2000mで複勝率が100%だったのは、今回のメンバーでは
この3頭のみ。いくら自分がデータ派だからといって、レース前にこのデータを知っていたとしても、それを予想に使えたかどうかは分からない。ただ、パドックを予想に使った時に限ってこういうデータがばっちり決まり、馬券を外すとは……
皮肉な結果に思えて仕方がない。
パドックや馬体派の方々は、このレースの馬券をどう買ったのだろうか。自分は
「生兵法は怪我の元」を地でいった今回のことを反省し、馬体の見方の勉強を進めつつ、
自信がつくまではデータ予想に徹しようと心に決めたのである。