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ルーラーシップは次走が宝塚記念ならいよいよタイトル奪取も!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史

最近、「言わないほうが良かった……」と思ったことがある。ウチの奥さんが風邪気味となり、自宅内で「ゴホッゴホッ」としきりに咳をしていたが、ウチの奥さんが風邪を引くとこれまで、自分への感染率がほぼ100%だったので、言うのを躊躇しつつもやむを得ず、「もう少し静かに控えめに咳をするか、マスクをするなりして対応してほしい」と伝えた。

ある程度は覚悟していたが、軽い口喧嘩となり(夫婦にはよくあるレベルです)、最終的にウチの奥さん「はいはい、わかりました」という感じで、顔を背けて咳をするようになり(背を向けられなかったのでひと安心)、ほんの一時ながらもマスクを装着していた。

その数日後。予想通りに自分が風邪を引き、自宅内で「ゴホッゴホッ」と咳をしていると、「咳、うるさいんですけど」「マスク付けてもらえませんか」的な視線のレーザービームをひしひしと感じて。ウチの奥さん『目には目を歯には歯を』の性格だったことを思い出し、「言わないほうが良かった……」と後悔したという顛末。

この金鯱賞も同じ心境だった。金鯱賞メインレースの考え方では、ルーラーシップアーネストリーキャプテントゥーレ軸候補と見ながらも、「過去10年で斤量58kgの馬がワンツーしたことは一度もない」と書いてしまったので、「ああ、言わないほうが良かった……」と後悔して。

終わってみれば、金鯱賞メインレースの考え方で傾向として挙げた「[3]芝G1で③着以内か5番人気以内あり(10年すべてで馬券圏内)」に該当していた5頭(ルーラーシップキャプテントゥーレアーネストリーアンライバルドアドマイヤメジャー)のうち、斤量58kgだった4頭が揃って掲示板に載って①②③⑤着

この結果から、その4頭の地力がここでは上位だったと言えそうで、「過去10年で斤量58kgの馬がワンツーしたことは一度もない」「言わないほうが良かった……」というよりも、「ただし、軸候補として浮上した面々は斤量58kgでも地力上位ではありそう」と補足しておけば良かったか。

屈腱炎により1年5ヵ月ぶりだったアンライバルドは好位で粘って見せ場を作り、7ヵ月ぶりだったアーネストリーも2番手から渋太く食い下がっていた。

キャプテントゥーレもさすがの粘り腰だったが、2走前の中山記念(②着)は①着がヴィクトワールピサ、前走の大阪杯(⑤着)は①~④着がヒルノダムールダークシャドウエイシンフラッシュダノンシャンティ、そして今回の金鯱賞(②着)は①着がルーラーシップと、先着を許したのはすべて4歳馬という結果に。

そんな中、改めて「強い4歳世代」を印象付けたのがルーラーシップだった。上に飛び上がるような感じでゲートを出て、アブミが外れるアクシデントもあったようで、スタートで4~5馬身の差がつき、致命的とも言えるロスがあった。

にも関わらず、3~4コーナーでマクって進出すると、そのまま脚色が衰えることなく前を走っていたアンライバルドアーネストリーを次々と交わし去り、逃げ込みを図ったキャプテントゥーレをゴール寸前で捕まえて差し切り勝ち。

初の不良馬場や斤量58kg、ドバイ帰り初戦といった不安材料も関係なし。スタートでのロスをも克服して15頭を抜き去ったのだから、「地力上位」の面々の中でも「もうワンランク上」と感じさせるレースぶりだった。

ルーラーシップはいまのところG1⑤⑥⑥着と善戦止まりだが、鳴尾記念日経新春杯ではヒルノダムール(天皇賞・春①着)を負かして勝利していて、今回の金鯱賞でもG1馬のキャプテントゥーレを退けたのだから、素材がG1級であることは間違いないはず。

ちなみに、96年以降の宝塚記念では、前走が金鯱賞だった馬は[3.5.4.32]という成績だが、これを金鯱賞の着順別に見ると、①着が[3.3.2.3](勝率27.3%、連対率54.5%、複勝率72.7%)②着以下が[0.2.2.29](勝率0.0%、連対率6.1%、複勝率12.1%)となる。

さらに、前走・金鯱賞①着馬の[3.3.2.3]という成績のうち、4~7歳馬で金鯱賞で1~2番人気だった馬に限ると[3.2.1.0](勝率50.0%、連対率83.3%、複勝率100.0%)で④着以下なし。ルーラーシップ金鯱賞が1番人気で①着だったから……ということは!?

順調に行けば、ルーラーシップはこの後、6月26日の宝塚記念に向かうと思われるが、上記の成績を見ると、そこで初のG1タイトル奪取となっても驚くことはないだろう。この件については「言わないほうが良かった……」ではなく、「言っておいて良かった!」と思えるような結果になってほしいと切に願います。