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ダークシャドウは梅雨時でも運動会日和をもたらす男だった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也

株式売買の世界では「麦わら帽子は冬に買え」なんてことが言われる。みんなの注目度が低い時に割安で買い、需要の高まる夏に備える(夏に高値で売る)というわけだ。

同じ調子で競馬の馬券について言うと、「運動会は梅雨時にやるな」だと思っている。

梅雨時と言っても毎日雨が降るわけではなく、もちろん晴れる日もあるけれど、確率の高さを考えれば、運動会を梅雨時に企画すべきではない。馬券も、長い目で見れば、確率の高い馬や買い目を選択すべきじゃないかと思うのだ。

ところが、梅雨時でも雨を降らさない「晴れ男」というか、確率が低いと思われるモノをことごとく覆す馬がいるんですよね。ダークシャドウもその1頭ではないかと思う。

ダークシャドウは前走の大阪杯で、後に天皇賞・春を制するヒルノダムールハナ差の接戦を演じたわけだが、あの時は7枠13番という枠順だった。

大阪杯時の「出馬コメント」にも書かれていたが、阪神芝2000mの特別競走でのダンスインザダーク産駒は、ふた桁馬番での成績が良くなく、馬番11番より外枠では勝った馬が出ていない。馬番11番より外枠だと[0.1.2.31]という成績なのだ。

唯一、連対圏に入ったのが大阪杯でのダークシャドウで、あの激走にはずいぶん驚かされたものだ。そのレースぶりを見て、能力はかなり高そうだと実感したのだが、あれから2ヶ月が過ぎ、今回のエプソムCではその出走間隔が気になった。

ダークシャドウ自身が中6週以上では勝ったことがなかったし(これまで④着、②着、②着だった)、これも今回の「出馬コメント」に書かれていたが、ダンスインザダーク産駒芝重賞で休み明けだと[0.6.6.79]という成績だった。

阪神芝2000mの特別競走におけるデータは、言ってものべ34頭によるものだったが、今回の休み明けでの芝重賞については、のべ91頭が挑んで乗り越えられていないデータだった。さすがに今回は厳しいのではないかと思ったのだが、あっさり突き抜けて快勝してみせた。まさしく「梅雨時の運動会日和」みたいなすっきりした勝利だった。

阪神芝2000mの特別競走についても、休み明けでの芝重賞についても、どちらもダンスインザダーク産駒に関するデータなので、ダークシャドウダンスインザダーク産駒として扱うから間違うのかもしれない。

いや、もちろんダンスインザダーク産駒なんですが、競走馬の中にはよりも母父の影響を強く受けているタイプも見受けられるので、ダークシャドウもその部類という可能性もある。

ただ、ダークシャドウの母の父はPrivate Accountで、同馬はダマスカスの系統。東京芝で33秒台の上がりをバンバン使って、切れ味鋭いダークシャドウとは、どうにもリンクしないんですよね。ダークシャドウさん、いったい、あなたはどこからやってきたのですか!?(笑)

競走馬の大物は、その血統では推し量れない、言ってみれば「規格外」のタイプが少なくない。その意味では、ダークシャドウダンスインザダーク産駒として扱うこと自体が間違っていて、すなわち大物である可能性も低くないのだろう。

今後も「ダンスインザダーク産駒」としてデータを探ってしまいそうだが、ダークシャドウ「梅雨時でも運動会日和をもたらす男」ということを頭の隅に入れつつ、接していくことを心がけたいものだ。