ダッシャーゴーゴーもまた規格外のサクラバクシンオー産駒
文/編集部(W)、写真/森鷹史
会社では
節電対策として、3つある
エレベーターのひとつを停止させている。
『サラブレ編集部』は4階にあり、運動不足解消のためにも、最近は階段を使うようにしているが、これがまたけっこうキツくて、4階まで上がるだけでけっこう
息が切れたりする。
高校生の頃は部活の練習で階段ダッシュを何往復しても
平気だったのに……。若かりし頃の体力はどこへやらで、何かと
運動不足の30代であることを実感することが多い今日この頃。
なぜそんな話を持ち出したかというと、阪神に舞台を移して行われる今年の
CBC賞は
「急坂の克服」が焦点のひとつになるだろうと思っていたから。まあ、階段と急坂は違うだろうという話もあるかもしれませんが(笑)。とにかく、
急坂で踏ん張れるのか、急坂でも脚色が鈍らずに差し込めるのか、といった視点で各馬を見ていた。
そんな中、昨年と同じく大挙5頭が出走してきたサクラバクシンオー産駒のうち、個人的に
エーシンホワイティに注目していた。同馬はこれまで、芝の③着以内6回はすべて平坦コースで、急坂はおろか坂のあるコースでは
[0.0.0.5]と馬券圏内に入ったことがなかった。
だが、その5戦はダートや1600mといった
不向きと思える条件下が多く、得意の芝1200mも
10ヵ月ぶりだった3走前の
オーシャンS(⑫着)だけ。この
CBC賞は
順調と言える臨戦過程で挑む芝1200mであり、
伸び盛りの4歳馬なら急坂もこなせるかと思ったが差し届かず⑤着。
「急坂の克服」は次走以降に持ち越しとなった。
直線でいまひとつ弾け切れなかった
エーシンホワイティに対し、
抜群の脚色で差し切りを決めたのが同じサクラバクシンオー産駒の
ダッシャーゴーゴーだった。
道中は中団よりやや後ろの馬群で追走し、直線で外目からスムーズに加速して進出すると、
メンバー中最速の上がり(33秒7)を計時して差し切り。
トップハンデ58.5kgを背負っている馬とは思えないほどの伸び脚で、ここでは
力が一枚上と言わんばかりの完勝だった。
1番人気は8連敗中、ハンデ戦に変更となった06年以降で
トップハンデ馬は連対なし、といったレースデータの
逆風をあっさりと跳ね返してみせた。
一方、サクラバクシンオー産駒の中でも、それまで③着以内13回はすべて平坦コースで、急坂コースでは
[0.0.0.9]だった
ヘッドライナー。7歳6月にして初めて
「急坂を克服」して②着に粘ったわけだが、直前の追い切りでは、
栗東の坂路4Fで
50秒8という抜群の好時計を出していたように、
この好走は日々の鍛錬の賜物なのでしょう。
日頃からの運動不足がたたり、階段を4階まで上がるだけで息が切れる
オッサンからすれば、
スタンディングオベーション級の好走である。
なお、この
CBC賞で、サクラバクシンオー産駒は芝重賞30勝目となったが、坂のあるコースで2勝以上しているのは、6月14日の
セントジェームズパレスS(G1)に出走予定の
グランプリボス(
10年京王杯2歳S、
10年朝日杯FS、
11年NHKマイルC)と、
ダッシャーゴーゴー(
10年セントウルS、
11年オーシャンS、
11年CBC賞)だけ。
2頭とも2勝どころか、坂のあるコースの芝重賞で3勝しているわけで、マイルG1で2勝している
グランプリボスがサクラバクシンオー産駒の中で規格外の存在なら、ダッシャーゴーゴーもまたしかり。
さらに言えば、90年以降、斤量58kg以上で芝1200m重賞を勝った馬は
ダッシャーゴーゴー以外だと15頭いるが、そのうち、父の
サクラバクシンオー、同産駒の
ショウナンカンプを含めた9頭が
G1馬である。
ダッシャーゴーゴーは
オーシャンS(58kg)と今回の
CBC賞(58.5kg)で2回もそれを果たしている。
ダッシャーゴーゴーはG1で、
朝日杯FSが
⑫着、
スプリンターズSが
2位入線後④着降着、
高松宮記念が
4位入線後⑪着降着となっているが、坂のあるコースの芝重賞で3勝している
グランプリボスとの比較や斤量58kg以上で芝1200m重賞を2勝している実績から言えば、
G1タイトルに手が届いても不思議ではないだろう。
今春、
高松宮記念を制した直後に
キンシャサノキセキが電撃引退し、
空位となった感のあるスプリント王者の座だが、いまは
暫定王者でも秋には
正規王者に……データ的な裏付けを追加しただけでなく、今回の
ダッシャーゴーゴーの勝ちっぷりには、そんな想像を抱かせるほどの
インパクトもあった。