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勝った馬のデータだけを気にしていては、見えてこないものもある!
文/編集部(T)

今週のWIN5は、初めてのキャリーオーバーが発生したこともあって、売り上げは過去最高となる22億6000万円あまりを記録した。

インターネット検索サイトのグーグルにおいて、直近で多く検索されている言葉をランキング形式で発表する「急上昇ワード」に、「WIN5 予想」がランクインしたのを見た時は、妙な感慨を覚えてしまったほどだ。

「WIN5攻略法」に寄せられるユーザーの声を見ていて思うのは、「馬券の買い方が変わった」という人が意外と多いこと。極端な例では、「もうWIN5しか買ってません」という方もいるほどだ。

実は自分も似たような感じで、WIN5が始まるまでは、馬券を検討する上でもっとも気にするのは「連対するかどうか」だったが、WIN5が始まってからは、それが「勝つかどうか」に変わった。データを見る時も、「連対率」より「勝率」を重視するようになった。

WIN5だけでなく、普通の馬券を検討する時も無意識にそうなってしまうから困ったものだが……(笑)。それはそれで「勝つ馬を予想する」という明確なスタンスがあるので、ある意味予想もしやすく、しかもたまに美味しい馬券にありついたりもしているので、「まあいいか」と、今では開き直っている。

ということで、今回の函館スプリントSを予想する時も(WIN5対象レースだから当然でもあるのだが)、どの馬が勝つかを予想することから始めた。

「WIN5攻略法」でも指摘されている通り、函館で開催された過去9回のうち、7回で牝馬が勝っている「夏は牝馬」とはこのレースのためにある言葉かと思えるほど、明確な傾向のあるレースだ。

今回のメンバーで、牝馬はアンシェルブルーカレンチャンナイアードクリアンサスの4頭。さらに、「メインレースの考え方」で指摘されているように、このうち特殊な北海道の洋芝で勝ち鞍があったのは、アンシェルブルーカレンチャンの2頭だけだった。

「なんだ、2頭軸で簡単じゃん」と、自分はそこで軸馬の検討を終わらせた。事実、結果はカレンチャンが勝ち、アンシェルブルーが③着に入った(②着はテイエムオオタカ)ので、間違いではなかった。

しかし、レースが終わってからデータを見直していて、函館で開催された過去9回の牝馬の成績を見て、少しだけ背筋が寒くなった。確かに牝馬は7勝していたが、全体の成績は[7.1.0.14]と、ほとんどが「勝つか④着以下か」だったのだ。

それを知っていたら、牝馬を2頭軸にはしなかったかもしれないので、これは知らなくて良かったデータと言うこともできそうだ。今回は結果オーライの感も否めない。

WIN5は面白い馬券ですが、データを見る時は勝ち馬だけではなく、②着以下もちゃんと見ておかないと、皆さんも思わぬ落とし穴にはまるかもしれませんよ、と、ここに教訓めいた言葉を残しておきたいと思います(笑)。

一方、カレンチャンの勝ちっぷりは、結果オーライでは決してなく、むしろ非の打ち所のないものだった。勝ち時計の1分8秒0は、②着のテイエムオオタカが前走で記録したコースレコードと同タイム。逃げたテイエムオオタカが②着、2番手追走のアンシェルブルーが③着に入った前有利の展開を、好位の後ろからきっちり差し切った脚は、クビ差という着差以上の強さを感じさせた。

前走の阪神牝馬S①着から約3ヵ月の休み明けで、馬体重が10kg増の488kgと、まだまだ上積みも見込めそうで、目標にしていると伝えられているサマースプリントシリーズ制覇に向けて、最高のスタートを切ったと言えそうだ。

ちなみに、サマースプリントシリーズが創設された06年以降、このレース(札幌開催も含む)の勝ち馬はすべて次走でキーンランドCに出走していて、06年ビーナスラインが③着、07年アグネスラズベリが②着、08年キンシャサノキセキが③着、09年グランプリエンゼルが③着、10年ワンカラットが①着と、すべて馬券圏内に入っている。

もし、カレンチャンが次走でキーンランドCに出走したとしたら、これ以上ない堅軸になるかも。それはそれで、今度は「勝つかどうか」で頭を悩ませることになりそうだが……。