サクラバクシンオー牡馬とアドマイヤムーン産駒で明暗が分かれた!?
文/編集部(W)
1番人気は2.1倍で
コスモメガトロン、2番人気は3.8倍で
ファインチョイス、3番人気はやや離れて7.0倍で
エクセルシオール。単勝オッズで10倍を切っていたのはこの3頭だったが、オッズ的には
1強とも
2強とも受け取れる感じで、函館芝1200mの
新馬戦で圧勝していた2頭だけに、その評価は妥当だと思った。
新馬戦で余裕を感じさせつつ②着以下を3馬身以上ちぎった
コスモメガトロン&
ファインチョイス。その人気が示す通り、
「この2頭のどちらかが勝つ確率が高そうだな」と感じつつも、
コスモメガトロンについては、
どうしても見過ごせないデータを見つけてしまったのである。
それは、
『おトクな出馬表』の
函館2歳Sの
コスモメガトロンのコメントで、
「サクラバクシンオー牡馬は函館芝1200mの重賞で[0.0.2.17]」という部分のこと。
最初、
「サクラバクシンオー産駒は函館芝1200mの重賞で[3.4.2.19](複勝率32.1%)」と書いたのだが、なんとなく牝馬ばかりが好走しているイメージがあったので、性別ごとの成績を調べたら案の定。
牝馬が[3.4.0.2]、
牡馬が[0.0.2.17]と、成績に大きな違いが見られたのだ。
しかも、牡馬の成績を見ると、
02年函館スプリントS④着の
ショウナンカンプ、
03年函館2歳S⑤着の
ナムラビッグタイム、
05年函館2歳S③着の
アドマイヤカリブ、
07年函館スプリントS⑫着の
アドマイヤホクトと、1番人気が4頭も含まれている。
これは只事ではない。
サクラバクシンオー牡馬が函館芝1200mの重賞で19戦して連対なしという事実は見過ごせないぞと。たとえ、
妻が作った
しょっぱい味噌汁は見過ごせても(笑)。そして、
「サクラバクシンオー牡馬は函館芝1200mの重賞で[0.0.2.17]」と書き直したのだった。
結果、
コスモメガトロンは④着。スタートで後手を踏みながらも好位に取りつき、勝った
ファインチョイスとほぼ同じ位置取りだったが、4角で一瞬置かれ気味となり、直線で馬群を捌いて盛り返すも馬券圏内には届かず。
データは気づいた時に崩れることがよくあるし、今回の該当馬は
新馬戦でレコード(1分9秒5)に0秒2差まで迫る好時計をマークして圧勝していた
コスモメガトロン。
さすがにデータが崩れるケースも想定はしていたが、またしても……という結果に。
11年8月7日終了時点で、サクラバクシンオー産駒は函館芝1200mで
54勝を挙げていて、
複勝率も30%を超えている。芝のコース別ランキングでも
5位であり、どうしてそんな結果になっているのか
不思議でしょうがない。
一方の
ファインチョイス。新種牡馬
アドマイヤムーンの産駒としては初の重賞挑戦となったが、好位からサッと抜け出して完勝。父は
新馬戦→クローバー賞→札幌2歳Sと北海道開催でデビュー3連勝&重賞初制覇を飾っていたが、こちらは
新馬戦→函館2歳Sと函館開催で2連勝&重賞初制覇を飾った。
アドマイヤムーンは3歳時に
札幌記念も制し、
函館&札幌で4戦4勝と負けなしのまま現役を退いた。
ファインチョイスが函館で強さを見せたのも、
北海道の洋芝に高い適性を示していた父の影響が強いのかもしれない。
それにしても、サクラバクシンオー牡馬が20回チャレンジしても越えられなかった壁を、アドマイヤムーン産駒が1回目のチャレンジでひょいっと飛び越えてしまったという感じで、
そのコントラストが非常に印象深かった。
ちなみに、
領家厩舎は
マジカルポケット(
10年函館2歳S)、
オールアズワン(
10年札幌2歳S)、そして今回の
ファインチョイスで
函館2歳Sを制し、北海道開催の2歳重賞で
3連勝。逆に、ダ1000mで行われた94年と札幌で行われた09年を除くと、1番人気は85年
ダイナアクトレスの勝利を最後に
「24連敗」となった。
今回、
コスモメガトロンと
ファインチョイスの
明暗を分けた背景には、そういった部分も影響していたんじゃないかと、結果論ながら思わずにはいられないが、2頭とも
競走馬としてのキャリアはスタートしたばかり。
ファインチョイスはこの後の牝馬重賞戦線で楽しみになったし、今回は
黒星を喫した
コスモメガトロンも、サクラバクシンオー×ニジンスキー系という配合はG1馬
ショウナンカンプと同じで、
血統的には今後の飛躍に十分期待できる。
今年の函館開催は終了したが、
コスモメガトロンには来年また、
サクラバクシンオー牡馬の函館芝1200m重賞の壁に挑んでほしいと思う。