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初重賞勝ちのアヴェンチュラ…逃がした魚は大きかった!?
文/編集部(T)、写真/川井博


2番人気は今年のヴィクトリアマイル③着馬レディアルバローザ、3番人気は昨年の秋華賞②着馬アニメイトバイオ。それ以外にも昨年のオークスサンテミリオン、一昨年の秋華賞②着馬ブロードストリートなど、G1でも実績を残している古馬も出走していたが、それらを抑えて堂々の1番人気に推されて快勝を収めたのが、3歳馬アヴェンチュラだった。

アヴェンチュラは全姉のオークストールポピーと同じく、一口クラブのキャロットクラブ(馬主名義はキャロットファーム)の所属馬。個人的に、アヴェンチュラは自分にとって因縁浅からぬ馬だと思っている。出資するかどうかギリギリまで悩み、見送った馬だったからだ。

一口クラブに入会されている方は分かると思うが、一口クラブの楽しみは、レースで自分の出資馬が走る(勝つと最高ですが)だけではない。カタログなどを眺めながら、出資馬を選ぶ時もそれと同じくらい楽しいものだと思う。

アヴェンチュラについては、姉と同じ角居厩舎所属で、オークス馬の全妹で血統は申し分なし、素人目ながら、馬体も良く見えた

しかし、最終的に断念したのは、予算の問題があったからだ(抽選だったので、申し込んでも外れた可能性も十分あるが……)。

今思えば痛恨だが、自分が考える予算は1年で10万円が限度。1口12万5000円(400分の1口なので、総額5000万円)のアヴェンチュラは、少し予算オーバーだった。予算に限りがあって、その中から活躍しそうな馬を選ぶのも、一口の楽しみのひとつだから、それはそれで仕方ない。負け惜しみに聞こえるかもしれないが(笑)。

結局、それ以外にピンと来る馬もいなかったので、今年の3歳世代は出資せず、別のものを購入することにした。ちなみにこの時点で、安田記念勝ち馬リアルインパクトラジオNIKKEI賞勝ち馬フレールジャックなどをスルーしている(苦笑)。

そんな自分のちっぽけな悩みとは一切関係なく、アヴェンチュラはデビュー戦を快勝し、札幌2歳S②着、阪神JF④着と順調にキャリアを重ねた。そして、骨折休養明けとなった前走の漁火Sで復帰初戦を飾り、続くこのレースで待望の重賞初制覇となった。

ここで今回のレースを振り返ると、14時過ぎに小雨が降り始めるあいにくの天候となった(発表は良馬場)が、前半4ハロンは46秒7と、札幌芝1800mでの開催となった00年以降のクイーンS3番目に速いペースとなった。

アヴェンチュラは中団よりやや前につけたが、3コーナー過ぎで②着馬コスモネモシンに早めに来られて、早くもムチが入る苦しい展開。しかし、そこから盛り返して馬群を割って抜け出し、コスモネモシンをクビ差抑えてゴールに飛び込んだ。

コスモネモシン以下、道中で後方にいた馬が台頭する中で、前目を追走し、一度は交わされながら差し返したアヴェンチュラのレースぶりは、文句のつけようがない強さだった。

秋華賞は3歳馬相手となることを考えれば、復帰が期待されるレーヴディソール桜花賞マルセリーナオークスエリンコートなどにとっても侮れないライバルになるだろう。そして、さらにその先のブエナビスタアパパネとの対決までをも楽しみにさせてくれる勝ちっぷりだったのではないだろうか。

また、勝ち時計の1分46秒6は、90年以降に札幌芝1800mで開催されたレースの中では、クイーンS前日の13日に大倉山特別(勝ち馬レインボーダリア)で記録された1分46秒3に次いで、2番目に速いタイム。00年以降のクイーンSとしては、もちろん最速となる。

札幌は今週が開幕週だったが、芝1800mでは昨年までのレコードタイムに匹敵する勝ち時計が2回出たことになる。今週だけでは判断できないかもしれないが、「今年の札幌の芝は時計が速くなるかも」という意識を持った方が良いのかもしれない。

ちなみに、自分がアヴェンチュラの代わりに買ったのは、地デジ対応テレビだった。そのテレビでアヴェンチュラの初重賞制覇を見るとは、なんたる皮肉。時間を戻れるなら、出資申込書を送る代わりに、家電量販店に向かった自分の頭をひっぱたきに行くところだ(笑)。

気を取り直して、来週の2歳新馬戦でデビュー予定の我が愛馬に、アヴェンチュラを超える活躍を期待したいと思う。「重賞勝ち」というハードルは、とてつもなく高いが……。