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自在性を武器に、ランフォルセが今後はダート界の王者に挑む
文/編集部(T)

単勝1.6倍という圧倒的な1番人気に推されたのは、今年4月にOP初勝利を飾り、それ以降②①着と連対を外していないランフォルセだった。

今回は昨年のエルムS①着馬クリールパッション、②着馬オーロマイスター、③着馬エーシンモアオバーも出走していたが、ファンは昨年の実績よりも近走の実績を上位に見るような形になった。

結果は①着がランフォルセ、②着がオーロマイスター、③着がエーシンモアオバー。昨年の好走馬も気を吐いたが、それを問題にせず、ランフォルセが強さをみせつけた。

今回、ランフォルセの鞍上を務めた横山典騎手は、これでランフォルセとコンビを組んだときが[3.1.1.0]と、すべて馬券に絡んでいる。その5レースの位置取りを見ると、以下のようになる。

羊蹄山特別(札幌ダ1700m、良)
①着(2-1-1-1)

ながつきS(中山ダ1800m、良)
③着(10-10-8-6)

東海S(京都ダ1900m、不良)
②着(1-1-1-1)

マリーンS(函館ダ1700m、稍重)
①着(10-10-7-3)

エルムS(札幌ダ1700m、良)
①着(12-12-8-4)

まさにコース不問、馬場不問、逃げ差し自在といえる。今回はやや出負けしたことで後方からマクる形となったが、前に行くことも可能なのは証明済みだ。

以前、名前を思い出せないのが恐縮だが、あるサッカー選手のインタビューで、「若手でマークが緩い頃は、素質があれば活躍するのは難しくない。しかし、活躍すればマークがきつくなる。それをどう受け止めるか、堂々と受け止められないなら、いかにかわすことができるか。一流になるためには、それがポイントとなる」というものがあった。

「スポーツは正々堂々」と思い込んでいた自分にとって、「堂々と受け止められなければ、かわせばいい」と言ったのは、少なからぬ驚きだったことを覚えている。

ランフォルセはこれから一流になっていける素材と思われるが、横山典騎手と組んだときにみせる自在の脚質は、ペースが速くても遅くても対応できそうで、まさに「受け止めることも、かわすこともできる」ことにはならないだろうか。

横山典騎手は、過去にもカンパニーに騎乗してあっと驚く先行策をとったり(09年中山記念①着)、「何をしてくるか分からない」怖さは健在といえる。

今後はダート路線の王者として君臨するスマートファルコントランセンドなどとの戦いが楽しみになってきたが、この2頭はともに逃げてG1(Jpn1)を勝っている。

この2頭と戦うとき、ランフォルセ横山典騎手がどのような戦法をとるかは、特に注目といえそうだ。

一方で、ランフォルセの強みはレースぶりだけでなく、血統にもある。

ランフォルセの母ソニンクは、直子だけでなく孫の代からも活躍馬を送り出しており、その活躍ぶりは、もはや名牝の仲間入りをした感もあるほど。

ランフォルセの兄姉にあたるモンローブロンド(牝、父アドマイヤベガ)、ルミナスポイント(牝、父アグネスタキオン)はOP馬となり、ノットアローン(牡、父アグネスタキオン)は若葉S勝ちやラジオNIKKEI賞②着などの実績を残している。

また、半弟ノーザンリバー(牡、父アグネスタキオン)は今年のアーリントンCを勝ち、これがソニンク産駒として初の重賞制覇となった。

さらに、直子だけでなく、祖母にソニンクをもつロジユニヴァース(牡、父ネオユニヴァース)は09年のダービー馬となり、一族で初めて日本のG1を制している。

これらサンデー系の父をもつ馬たちは芝で活躍する馬が多かったが、一族の中で異色となるロベルト系シンボリクリスエスを父にもつランフォルセは、ダートで名を上げることになった。

シンボリクリスエス産駒といえば、やはりフェブラリーS勝ち馬サクセスブロッケンなど、ダートや力のいる芝でも活躍できるパワーが売り。そう考えると、ソニンク系の肌馬は種牡馬の良いところを引き出す面を強く持っていると考えられる

血の力の後押しを受けたランフォルセが今回示した強さを考えれば、スマートファルコンなどの強豪とも十分に渡り合えるのではないだろうか。過去の実績馬を一蹴した今回のように、善戦以上の結果も十分期待できそうだ。