独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

今回のイタリアンレッドは「もうはまだなり」だった!?
文/編集部(T)

有名な株式投資の格言で、売り買いのタイミングの難しさを表現した「まだはもうなり、もうはまだなり」というものがある。

「まだ下がる」と思っていた銘柄がすでに底値だったり、「もう下がり始めるだろう」と思って売った銘柄がまだ上がり続けたりと、相場を読むのは本当に難しい。投資のタイミングを測るのは、センス読みが重要となる。

今回のレースに当てはめると、イタリアンレッドは単勝5番人気と、重賞連勝中サマー2000シリーズのチャンピオンにしてはやや人気がなかった。その要因についてはいろいろ想像できるが、「夏を使ってきたことで、もうそろそろ調子が下がり始めるのでは」と思われたこともあったのではないだろうか。

しかし、結果を見ると、まだお釣りは残っていた。これはまさに、「もうはまだなり」だったといえる。

今年の秋競馬では、「もうはまだなり」がしばしば見受けられる。たとえば、スプリンターズSを制したカレンチャン、②着のパドトロワ、③着のエーシンヴァーゴウはいずれも7月以降に2走以上していたのに対し、1番人気④着のロケットマン、2番人気⑪着のダッシャーゴーゴーは1戦しかしていなかった。

特にエーシンヴァーゴウについては、「サマースプリントシリーズで3戦しており、もうお釣りがないのでは」という評価が多かったように思われる。それによってシリーズチャンピオンにもかかわらず、7番人気の低評価にとどまった面も少なからずあっただろう。今回と同じ図式だったといえる。

投資の世界は、人間の心理が大きく影響する。冒頭の格言は、それに安易に流されず、冷静になって大局を見極めましょう、ということを諭している。

競馬でも、オッズを作るのは人間なのだから、通じるところもあるはず。「夏を使ってきたからお釣りがないのでは」と簡単に考えるのではなく、「一度冷静になって考えるべきだった……」と思った方は、多かったのではないでしょうか(自分を含みます)。

ところで、勝ったイタリアンレッドはこれで重賞3連勝。今回は中団やや後方につけて、馬場の真ん中から鋭い脚を使って前を交わし、後ろから迫った②着アニメイトバイオ、③着フミノイマージンの追撃を封じた。

イタリアンレッドの近3戦を見ると、2走前がトリッキーな中山七夕賞、前走が小回りの小倉小倉記念、そして今回が直線の長い東京府中牝馬Sと、さまざまな性格を持った競馬場で重賞を勝っているのは面白い。

調べてみると、イタリアンレッドを除いて東京中山小倉で芝重賞を勝っているのは、90年以降ではエイシンプレストン(東京で毎日王冠、中山で朝日杯3歳Sなど、小倉で北九州記念をそれぞれ制覇)しかいなかった。

もしイタリアンレッドが次走で京都のエリザベス女王杯に向かうとしたら、4場目の重賞制覇を目指すことになる。エイシンプレストンは前述の3場以外では阪神香港で重賞を勝っているが、京都では勝っていない。

ということは、もしイタリアンレッドエリザベス女王杯を勝てば、90年以降で初の「東京、中山、京都、小倉で芝重賞を勝った馬」となる。

これは珍記録の部類に入るかもしれないが、さまざまな競馬場で力を発揮できるというのは、力の証明でもある。そういった意味でも注目したい。

一方、1番人気に推されたアパパネは中団につけたが、直線で伸びることなく⑭着に沈んだ。元々重賞で休み明けは②④④着と苦手にしていたが、今回は初のふた桁着順となってしまった。

ただ、これまでの7勝はすべて馬体重が490kg以下だったので、今回は過去最高馬体重となる502kgがどうだったかという面はある。休み明け2戦目は4戦4勝なので、次走はどこまで巻き返せるか。

アパパネの次走は、牝馬G1全制覇という前人未踏の大記録がかかるエリザベス女王杯と伝えられている。冒頭の格言に当てはめると、「もう調子は上がってくる」と見るか、「さすがに負けすぎで、まだ調子を上げてくるには時間がかかる」と見るか。

それはイタリアンレッドも同じで、次走は「もうそろそろお釣りがない」「まだ上昇の余地がある」と、それぞれの意見がせめぎ合うことになるだろう。

いずれにしても、今回の結果を受けて、エリザベス女王杯が非常に楽しみになったのは間違いないところだろう。ファンがどう読んだかを示す指標として、オッズにも注目すると面白いかもしれない。