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さらなる強敵相手での走りを見てみたいが、今年もやっぱり!?
文/浅田知広、写真/森鷹史

そういえば、昨年もエリザベス女王杯を担当させていただいたなあ。今回の原稿依頼をいただいてそんなことを思い出し、さて、いったい昨年はどんなことを書いたかとハードディスクの中をあさってみると……、ただ、ただ、ひたすらびっくりしたよ、というお話し。

確かに、それくらいスノーフェアリーの強さに驚いた状態で原稿を書いた記憶がよみがえってくる。そして「さて、この衝撃は相手関係ゆえか、それとも力+適性なのか」とも。

結局、ジャパンCパスして香港へ行ってしまったので、馬場適性がどの程度効いたのかは、今年また走るまでなんとも言えないまま。しかし実力のほうは文句なしに、牡馬相手でも世界のトップクラスであることを証明し、またこの舞台に戻ってきてくれた。

戻ってきたといえばもう1頭。エリザベス女王杯という舞台ではなく、このターフに戻ってきたのが昨年の2歳女王レーヴディソールだ。去年のスノーフェアリーを見て「日本馬でかなう馬はそうは出て来ない」と思ったものだが、そのひと月後くらいには阪神JF「この馬ならもしかして」と思わせてくれたもの。

残念ながら骨折でクラシックを棒に振り、ここはなんとか間に合った舞台だったが、この先、きっとまた素晴らしい走りを見せてくれるに違いない。

そして、レーヴディソールよりひと足先に復帰を果たしていたのが、秋華賞を制したアヴェンチュラだった。レーヴディソールクラシック目前の離脱だったが、アヴェンチュラ阪神JF④着後の骨折判明。ただ、離脱が先だった分だけ復帰も早く、夏の函館で復帰して1600万クイーンS、そして秋華賞と見事に3連勝を飾っていた。

1年ぶりに日本へ戻ってきた馬、8ヵ月ぶりにターフへ帰ってきた馬、そして復帰して順調に勝利を重ねた馬。そんな彼女たちが人気に推された今年のエリザベス女王杯。さらには、昨年の牝馬三冠馬アパパネや、牝馬三冠では期待されながら涙をのんだホエールキャプチャが、今年は昨年とは一転、直線では大熱戦を繰り広げてくれた。

レースは逃げると思われたダンシングレインが少々出遅れ、シンメイフジの大逃げに。1000m通過は57秒5だったが、ホエールキャプチャが引っ張った後続はおそらく60~61秒ほどで、事実上ホエールキャプチャをめぐる争いになった。

そして直線残り200m。逃げ粘るシンメイフジホエールキャプチャが捕らえた瞬間、外からアパパネアヴェンチュラ。そして、その2頭の陰に隠れるように脚を伸ばし、今年は馬の間を割って突き抜けたのが、今年もまたすごい脚を繰り出したスノーフェアリーだった。

昨年は内ラチ沿いに切れ込んで豪快な差し切り勝ち。その後、香港では外から差し切っていただけに、特に内にこだわることもなかろうが、それでもロスのありそうな大外枠がどう出るか。レース前は枠順を気にする声も耳にした。

実際、1~2コーナーはやや外だったが、向正面、内回りとの分岐点ですっと内へ。3~4コーナーで距離損なく前との差を詰め、直線は末脚炸裂。馬群がばらけやすい京都外回りとはいえ、前が詰まる危険もあるコース取りだった。

直線は前でホエールキャプチャが左へ右へとふらついており、抜け出すタイミングによっては危なかったのだろうが、これだけの脚があれば開いたところに瞬時に突っ込めるという判断か。着差こそ昨年の4馬身からクビまでずいぶんと詰まったものの、ひと言「圧勝」という言葉でまとめられるのは昨年と同じ。いやあ、強い。

こうなると「このまま調子を落とさず、さらなる強敵相手での走りをぜひとも見てみたいものだ」……というのは、昨年書いた原稿そのまんま。デインドリームとの再戦、そして天皇賞組との対決をジャパンCで見せてくれないものかと期待したくなってくるが、今年もやっぱり香港へ行ってしまうのだろうか。