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ナムラタイタンとダノンカモンに対する距離評価の違いに妙味があった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也

11月13日のWIN5は、的中票数が3883票で、払戻金が19万2500円だった。5レースのうち4レースの勝ち馬が1番人気だった割りには「ついたなあ」と思ったのだが、それもこれも、対象5レースの中で唯一の単勝オッズ1倍台だったダノンカモン(武蔵野S)が②着に敗れたからだろう。

これまでのWIN5対象レースで、単勝オッズが1倍台だった馬は[17.5.2.7](勝率54.8%)だった。1.0~1.4倍だった馬は、菊花賞オルフェーヴル(1.4倍)を含めて該当馬が5頭いて、いずれも①着。つまり、単勝1倍台で敗れた馬は1.5~1.9倍だったわけだが、このゾーンにはある特徴が見られる。

WIN5対象のダート戦で単勝が1.5~1.9倍だった馬は、今回のダノンカモンを含めて9頭がいて、1700m以上のレースだった馬が⑥①①①着なのに対して、1600m以下では⑮③⑭②②着と未勝利なのだ。

レースが終わった後なら何とでも言える、という話ではあるのだが、ダート戦での圧倒的人気馬は、マイル以下では信頼度が落ちるというわけだ。今回のダノンカモンも、選択馬を1頭に絞るには危険な条件、に該当したと言えそうで、このあたりは今後の参考にしてもらえればと思います。

ダノンカモンの人気を押し上げた理由は、前走の南部杯のレースぶりと厩舎(池江厩舎)の勢い、そして今回は、満を持してという感じでブリンカーを装着してきたことが挙げられるだろう。

結果的には、今回ももうひと押しが利かなかったので、ブリンカーの効果を疑問視する声があがりそうだが、果たしてそれだけなのか?という気もしている。個人的には、ダノンカモンのベストは、実は1400mでは?」という思いも抱いている。

今回の武蔵野Sの前までの距離別成績を記すと、ダートでのダノンカモンは、1400mが[4.4.1.2]で、1600mが[1.2.1.1]。ダートのマイル戦を制したのは3歳秋の準OP戦(秋嶺S)で、OPでの3勝はすべて1400mで挙げている。

面白いことに、レース前、ダノンカモンに対して距離不安の声はほとんど聞かれなかったが、優勝したナムラタイタンについては「本質的にベストは1400m」という記述をいくつも目にした。

しかし、ナムラタイタンの距離別成績を見直すと、1400mが[6.1.3.4]で、1600mが[1.0.0.0]だった。『1600mでは1勝で、大半の勝利が1400m』ということでは、ナムラタイタンダノンカモンも同じなのに、評価は対照的になっていた。結果的にはここに妙味があったのだろう。

マイル戦で2戦2勝となったナムラタイタンは、今後、「本質的にベストは1400m」とは言われなくなるだろう。一方のダノンカモンは、もしかしたらマイル戦に対して距離不安を囁かれるようになるかもしれない。

前述したように、ダノンカモンに対して私は「1400mベスト説」を持ってきたので、「1600mでの距離不安」については、否定する立場ではない。ただ、今後、マイル戦で勝ち鞍を重ねていっても、祝福する心づもりだけは準備しておこうと思ってます。

なんだかずるいように聞こえるかもしれないが、競走馬ってそういうものじゃないですか。こっちが決め付けた時にそれを打ち破られ、次走で「いまさら評価を変えられるか」と思っていると、続けて好走されたりする。馬も成長するのだろうし、厩舎人やジョッキーも様々な工夫を凝らしているからだろう。

すべての可能性に対して買い目を増やしていたら、いくらお金があっても足りないので、馬券はいくつかの決め付けを用いる。ただ、それを打ち破られてもいいような心の準備をしておかないと、その後の評価もずっと間違えたりするものだ。だから、「祝福する心づもり」だけは用意しておこうと思っている(馬券は別だが)。

当初は1400mで破竹の快進撃を続けていたナムラタイタンが、歳を重ねてマイルもこなすようになり、重賞ウイナーとなった。それと同じように、こちらの競馬に対する実力も成長させることが、勝ち組になれる方法であると信じている。