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昨年に続いて、今年の京王杯2歳Sも“出世レース”となるか!?
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


昨年の京王杯2歳Sに出走した馬のうち、勝ち馬のグランプリボス朝日杯FSNHKマイルC、②着のリアルインパクト安田記念と、それぞれマイルG1を制した。

さらに、⑩着に敗れたのが三冠馬オルフェーヴル。昨年のこのレースが終わった時点で、「この馬が翌年三冠馬になる」と予言できた人は皆無だっただろう。いたとしたら、その人はエスパーです(笑)。

レースが終わった時点では誰も気づいていなかったが、昨年の京王杯2歳Sは、実はかなりの出世レースだった。このことからも分かるように、この時期は牡馬クラシックの“核”となる存在がどの馬なのか、まだ見えてきていないことが多い。

そのような状況を見て思い出したのが、サッカーの日本代表。ザッケローニ監督は、ケガ人を除けばほとんどの選手を固定して戦っているが、唯一レギュラーが確定していないのが、センターフォワードのポジションだ。

ワールドカップ予選が始まって、このポジションでおもに出場したのは前田遼一選手ハーフナー・マイク選手李忠成選手と、3人もいる。ひとつのポジションを争いながら、どの選手が今後“核”となっていくのか、まだまだ見えてこないのが現状といえる。

さらに、日本には他にも優秀な選手はまだまだいる。ファンの間でも「○○選手を起用するべき」「△△選手はどうだ」など、さまざまな意見が飛び交っており、議論しながらレギュラー争いを見守っている。

それは競馬にも通じるものがあって、ネット上や仲間内の会話でも、現在は来年のダービー馬探しに忙しい。

では、今回の京王杯2歳Sは、来年のクラシック戦線を論じる上で、どういった位置づけになるだろうか。

近年では有力馬のデビュー時期が早くなってきており、06年以降のダービー馬はすべて2歳10月以前にデビューしている。ということは、すでに来年のダービー馬はデビューしている可能性が高いということになる。

当然、今回の出走馬の中に来年のダービー馬がいる可能性も十分あるだろう。そのような目で、今回のレースについて「ひとり議論」をしてみたい。

勝ち馬のレオアクティブは、今回が6戦目。馬券圏内を外したのは芝1600mの芙蓉Sだけで、芝1400m以下は[2.2.1.0]と安定している。今回は最後方から進め、直線は馬場の良い大外に持ち出し、上がり33秒6の末脚を繰り出して差し切った。

では、レオアクティブはクラシック戦線でどうか。血統的には、母の半兄に京成杯オータムハンデ連覇、安田記念②着など、マイル路線で活躍したブレイクタイムがいる。これまでの戦績を見ても、マイルより短い距離で力を発揮するタイプにも思える。

しかし、反論できる点もある。10頭立ての芙蓉S前半800mが48秒4のスローとなり、末脚を武器とするレオアクティブにとっては不向きで、さらに引っかかるような場面もあった。気性面で成長し、頭数が増えてペースが上がれば折り合いもスムーズになり、距離延長に対応可能とも考えられる。

また、ブレイクタイムの父はデインヒルだが、レオアクティブの母父はオペラハウス。父アドマイヤムーンも、デビュー当初は中距離馬と見られていたが、徐々に距離を延ばし、引退レースでは2400mのジャパンCを勝っている。その子レオアクティブが、同じような道を歩んでも不思議ではない。

一方、②着のサドンストームも面白いプロフィールを持つ。半兄は今年のセントウルS②着、スプリンターズSで⑤着したラッキーナインで、本馬も芝1200mで2勝しているが、父ストーミングホームは欧米の中距離~クラシックディスタンスで活躍している。距離が延びてどういう競馬をするか見てみたい1頭といえる。

さらに、差し馬有利の流れで先行して③着に踏ん張ったオリービン、出遅れて、直線で内にササる場面もあったが④着まで差し込んだモンストールも、まだまだ巻き返しが期待できるはずだ。

札幌2歳S勝ち馬グランデッツァデイリー杯2歳S勝ち馬クラレントなど、“代表のレギュラー候補”はまだまだいるが、その中にこのレースの出走馬が入る資格も十分あるはず。昨年に続いて、このレースが“出世レース”となるだろうか。

このレースの翌週に芝1800mの東京スポーツ杯2歳Sが開催されるため、これまではクラシック路線を狙う馬はそちらに回る場合が多かった。しかし、来年のクラシック候補について議論する場で、「昨年と今年の京王杯2歳Sが、そのような流れが変わる節目となる」と予言しておけば、来年の今頃大威張りできるかもしれませんよ(笑)。