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長く活躍できそうなアドマイヤコスモスは、どこまで連勝を伸ばせるか
文/編集部(T)

震災の影響で、秋の福島開催が新潟に振り替えられ、このレースも新潟芝2000mでの開催となった。

自分は予想する上でデータを重視したい人間なので、今回のように開催場の変更があると、これまでの福島記念か、それとも新潟芝2000mか、どちらのデータを重視して予想すれば良いのか、いつも悩む。

福島芝2000mで開催される福島記念といえば、「荒れ馬場」などもあるが、最大の特徴は「荒れやすい」ということではないだろうか。

過去10年の福島記念で1番人気馬はわずか1勝で、90年以降に福島競馬場で開催された年(90~94、96~10年)では、単勝オッズが3.9倍以内だった馬は[0.2.3.5]で、1勝もしていない。上位人気馬がかなり苦戦しているレースといえる。

しかし、今回は抜けた1番人気に推されそうな存在として、アドマイヤコスモスという馬がいた。中央ではダートで1戦して②着の後に名古屋に転出し、そこで②①①着と好成績を残して中央復帰。そこから芝に替わって4連勝で一気にOPまで駆け上がり、ここに参戦してきた。

普通の福島記念なら、「人気に推されている」ということだけでも疑問視したくなるところだが、今回はトリッキーな福島に比べ、力がストレートに出やすいと思われる新潟での開催となった。

レース前は、「芝で負けなしの馬を、さすがに外せないよなぁ……」という思いと、「いや、いくら新潟開催でも福島記念は福島記念。馬場が荒れ気味なのも、例年の福島記念の特徴のひとつだ」という思いが交錯していた(実際の馬券は後者が勝って、穴狙いに走ってしまいました)。

そして、結果はご存じの通り。単勝1.9倍に推されたアドマイヤコスモスは中団やや前につけ、4角6番手から残り400mあたりで早めに先頭に立って、②着馬メイショウカンパク、③着馬マイネイサベルの追撃を振り切って先頭でゴールを駆け抜けた。

1000m通過は59秒4と、それほど速くはなかったが、アドマイヤコスモス以下の②~⑤着馬はすべて4角10番手以下にいた馬で、差し有利のレースとなった。そんな中、早めに先頭に立って押し切ったレースぶりは、かなり強い内容だったといえそうだ。

また、連続開催の6週目ということで、内は荒れ気味。4角で早めに内から進出し、直線でも内を突いた2番人気のセイクリッドバレーが直線で伸びきれず⑥着に敗れたところを見ると、馬場の真ん中に持ち出した上村騎手の好騎乗も光る。

アドマイヤコスモスの父アドマイヤマックス産駒は、今年の新潟2歳Sを制したモンストールに続き、これで重賞2勝目となった。

05年の高松宮記念を制したアドマイヤマックスは、左回りの芝重賞が[3.2.1.3](右回りは[0.0.4.5])で、04年富士S①着、03年安田記念②着などがある。左回りに強いのは、産駒にも受け継がれているということだろうか。

アドマイヤマックス産駒の芝の特別競走における成績を調べてみると、右回りで[5.0.3.47](複勝率14.5%)、左回りで[5.1.1.28](複勝率20.0%)で、左回りの方がやや好成績。左回りの5勝のうち、4勝は新潟で挙げている

また、実はアドマイヤマックス自身も、中山競馬場が改装のために新潟開催となった02年セントライト記念で②着している。新潟替わりで好成績を残せたのも、父譲りだったのかも?

余談だが、レース後に友人に「やっぱり新潟替わりが勝因のひとつなのかな?」というメールをしたところ、「前走は右回りの京都でレコード勝ちしてるし、福島でやっていても、あの強さなら勝ってた可能性も十分なんじゃない?」という返信が届いた。いや、おっしゃる通りです(笑)。

いずれにしても、アドマイヤコスモスはまだ4歳。父アドマイヤマックスは2歳で初重賞を制し、初G1勝ちを果たしたのは6歳の時だった。また、アドマイヤコスモスの半兄アドマイヤフジは6~7歳時に中山金杯を連覇しており、長く一線で活躍してくれそうな血統背景を持つ。

今年9月1日から11月20日までに開催された3歳以上の芝重賞で、4歳馬は15レース中11勝「また4歳馬か」と思わせるほど勝ちまくっているが、このレースで初重賞制覇を飾ったアドマイヤコスモスがどこまで連勝を伸ばせるか、また、さらに強い相手と当たったときにどうか、楽しみにしたい。