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「小柄なジョワドヴィーヴルは…」と今後も向き合うことになりそう!?
文/浅田知広、写真/川井博

冬のスポーツといえば? 「冬も夏も一年中競馬です!」という優等生的な解答(!?)はさておき、思い浮かぶものは人それぞれだろう。そんな中のひとつが全国高校ラグビー、いわゆる「花園」。外から見ていると、同点の際に抽選で勝敗を決するのはどうか、なんて思ったりもするが、やっている方は「そういうもんだ」と納得している、という話もあるようだ。

阪神JFを制したジョワドヴィーヴルも、抽選通過すなわち勝利、と言ってしまえるような競馬だった。スローペースからの瞬発力勝負。前々につけたサウンドオブハート武豊騎手の手が直線半ば近くまでほとんど動かなかったあたりからも、一番切れる脚を持つ馬が勝つんだろうなあ、というレース展開である。

さて、そんな「一番切れる脚を持つ馬」はどの馬か。後続に目を移して探すまでもなかった。馬場の中央、末脚炸裂、ジョワドヴィーヴル。混戦などという下馬評はどこへやら、このレースだけを見れば「抽選を通った時点で勝ちでしょ」と言いたくなる快勝劇だった。

そもそも、ファンタジーS後あたりから混戦が予想されたこのレース。実際、単勝1番人気のサウンドオブハートでも4.6倍、9番人気のトーセンベニザクラでも15.1倍という割れ模様。そんな中に抽選で加わったジョワドヴィーヴルアナスタシアブルーもいて「余計に難しくなった」と思った人も多かったに違いない。

しかし中には、「これで簡単になった」と思った人も少なからずいたのではないか。明暗が分かれることにはなったが、ジョワドヴィーヴルが通って簡単になったと思った方は大正解。結果として大正解だった上、簡単になったはずなのにオッズは割れているのだから、これほどおいしいレースはない。

実は、当方の本命はサウンドオブハート。前売り開始前の予想印提出では人気の読み違いは少なからずあるものだが、それにしてもまさかの1番人気。①着候補が多数いる中「さほど人気にはならなそう」と選んだ馬が1番人気。これほどおいしくないレースはない……。

そんなグチはともかくとして。どうしても「姉のブエナビスタと比べると」という話になってしまうジョワドヴィーヴル抽選通過7枠13番まで同じと話題になったが、終わってみれば②着との2馬身半差も同じ。

そして、勝ち時計はジョワドヴィーヴル0秒3上回り、上がりタイムも0秒7速かった。馬場も展開もメンバーも違うので単純には比較できないが、との比較が主にマイナス寄りの含みを持って語られていたレース前から一転、姉を上回ったぞ、という数字もぼちぼち出てきたレース後である。

もちろん、これでジャパンCまで制したブエナビスタを将来的に超える存在になる、なんて言うのは早計にもほどがある。ただ、よりも体が小さい(今回418kg)ぶん、評価で損をしている部分もかなりありそうだ。

今回にしても「姉と比べれば」と、必要以上に低く見てしまった人もいるはず。そして今後も、パワーを要する馬場になったり、斤量が増えたり、馬群で揉まれる展開が予想されたりすれば「小柄なジョワドヴィーヴルは…」穴党にとっては理由をつけて消しやすい人気馬、と言えなくもない。

だからといって大きく人気を下げることはなかろうが、実はものすごく強いのに、ブエナビスタほどの人気にはならないというレースが、今後も出てくる可能性はあるだろう。

しかし、これだけのレースを見せられた直後にも関わらず、「実は」なんて言っている時点で、まだ当方の頭の中にも「小柄なジョワドヴィーヴルは…」があるようだ。

どうせなら「小柄なジョワドヴィーヴル」のまま、この後のG1戦線でもぶち抜く姿も見たいものだが、さて、次の舞台はどんな体でどんなレースを見せてくれるのか。昨年のレーヴディソールにはたいへん残念な戦線離脱があっただけに、ぜひとも無事に春のクラシックを迎えてほしい