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今回のコスモファントムは好材料のカードを拾えるかがカギだった!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也

中日新聞杯がハンデ戦に変更となった06年以降の過去5年の年齢別成績を見ると、3歳[4.3.2.11]4歳[1.1.1.9]、5歳[0.1.1.19]、6歳以上[0.0.1.25]で、若ければ若いほど成績が良いことが見て取れる。人気薄ならともかく、中心は若手グループになりやすい面があるということだろう。

今年もその傾向通りで、①着コスモファントム(4歳)、②着ゲシュタルト(4歳)、③着ダノンバラード(3歳)、④着エクスペディション(4歳)で決着し、6頭いた3~4歳馬のうち4頭が①~④着までを占めることとなった。

ただ、1&2番人気(エクスペディションダノンバラード)の2頭は連対圏内まで食い込めず、かわってワンツーを果たしたのが、昨年の中日新聞杯で②&③着に好走していたコスモファントムゲシュタルト。昨年は同世代の強豪トゥザグローリーの後塵を拝したが、2頭とも昨年からひとつ着順を上げた格好である。

2頭が昨年に好走していたことを意識していたファンの方も当然いたと思われるが、ゲシュタルトは昨年と同じ4番人気だったのに対し、コスモファントムは近3走で⑯⑦⑭着と掲示板外続きで4ヵ月半ぶりでもあったせいか、11番人気と昨年(6番人気)より大きく人気を落としていた。

コスモファントムについてあら探しをすれば、過去5年の中日新聞杯では前走⑩着以下の馬も休み明けの馬も勝っていないこと、また、自身も休み明けでは勝っていなくて斤量57kg以上で[0.0.0.4]と好走実績がなかったことなど、ちょっと調べただけですぐに見つかった。

だが、好材料のほうに目を向ければ、前記した昨年の中日新聞杯②着を含め、12~1月は芝重賞で②②①④着と好成績だった。そこに今回の①着を加えると、冬場に強いというひとつの特徴が浮き彫りになってくる。

競馬の予想には様々なデータが散在していて、その取捨が馬券的中のカギを握っていることは間違いないと思うが、今回のコスモファントムについては、「近走不振」「休み明け」「斤量57kg以上」といったカードを切り捨てて、「4歳」「昨年の好走馬」「冬場に強い」といった好材料のカードを拾えるかがカギだったということかもしれない。

一方、コスモファントムのレースぶりは11番人気という評価にそぐわない、実に堂々としたものだった。

昨年の中日新聞杯は逃げの手に出たが、今年はオースミスパークが引っ張る流れを好位で追走。4コーナーでは少しズブさを見せたものの、直線で外から激しくプレッシャーをかけてきたゲシュタルトに競り勝ち、内のダノンバラードを捕えて先頭でゴールした。

コスモファントムは芝2000mの持ち時計が1分59秒0とそれほど速くない馬で、稍重で時計のかかる決着(1分59秒6)になったことがプラスに作用した印象もあるが、それでも、本命馬かと思うような正攻法のレースぶりで、クビ、ハナの大接戦を制してみせたから立派だろう。

また、テン乗りできっちりと結果を出した大野騎手も見事だった。重賞では[0.2.3.38]となかなか勝ち切れずにいたが、デビュー7年目となる今年、初の重賞タイトルを手にしたのがハンデ重賞で人気薄だったというのは興味深い。

というのも、前記した重賞成績の②~③着の5戦中4戦がハンデ重賞によるもので、それらを列挙すると、08年ダイヤモンドS(レーザーズエッジ、12番人気③着)、08年中京記念(ワイルドファイアー、12番人気③着)、08年中日新聞杯(イケトップガン、9番人気③着)、08年愛知杯(チェレブリタ、14番人気②着)。

該当レースはいずれも08年で、この年はハンデ重賞に4回騎乗して4回とも馬券圏内に入り、しかも4頭とも人気薄だったから恐れ入る。

前記したレーザーズエッジワイルドファイアーイケトップガンチェレブリタはみな53kg以下の軽ハンデ馬で、コスモファントムは57kgを背負っていたから、斤量の状況は異なるものの、「ハンデ重賞で人気薄の大野騎手」というカードもあったのかと、レース後にふと思った。

08年からだいぶ経っていて、そのカードはタンスの奥のほうにしまっておいたせいか、今回は取り出すことすら忘れてしまっていたが(笑)、ハンデ重賞では有効なカードのひとつして意識しておいたほうがいいかもしれない。