サンカルロは“21世紀版・オッズが読める馬”かも?
文/編集部(T)、写真/森鷹史
11番人気、7番人気、7番人気、4番人気、4番人気、4番人気。この数字が何を意味するかというと、今回の
阪神Cを制した
サンカルロが、
古馬になってから馬券圏内に入ったときの単勝人気だ。
この6レースのうち、
阪神は5レースを占め、
阪神芝1400mに限ると4レースとなる。
阪神で敗れたのは2レースで、前が詰まる不利があった昨年の
阪神C(⑥着)と、休み明けだった今年の
セントウルS(④着)のみと、かなりの安定感を誇っている。
今回のレースを振り返ると、
サンカルロは道中で中団に位置して、先に抜け出した
グランプリボスを一気に強襲し、ゴール寸前でハナ差交わしている。
勝ち時計の
1分20秒5は、
キンシャサノキセキが連覇した近2年とほぼ同水準(09年は1分20秒4、10年は1分20秒3)だった。スタートで出遅れた
フラガラッハが③着に食い込んでいることからも分かるように、前がそれなりのペースで引っ張り、
速い時計での決着となったことも良かったようだ。
実は、今回のメンバーでこのコースにおける持ち時計を比較すると、
サンカルロは1位(今年の
阪急杯で記録した1分20秒1)だった。
結果的に今回は、
このコースを得意とし、
速い持ち時計を持っていたサンカルロが、順当に勝利を収めたレースだったということなのだろう。
サンカルロを理解していた人にとっては、
「こんな馬券、簡単だよ」というレベルだったかもしれない。しかし、
単勝4番人気が示すとおり、そうではない人も多かったようだ。
ふと思い出したのは、
“オッズが読める馬”と言われた平成初期の名マイラー・
ダイタクヘリオス。こちらも古馬になって以降で馬券に絡んだときの単勝人気が
4番人気、10番人気、5番人気、5番人気、4番人気、2番人気、4番人気、2番人気だった。
サンカルロと
ダイタクヘリオスの共通点として、
古馬になって1番人気で勝てなかったこと以外に、
走っても走ってもなかなか人気にならないことが挙げられる。
その理由は、
サンカルロに対する
キンシャサノキセキ、
ダイタクヘリオスに対する
ダイイチルビーなど、強い相手と戦ってきたためになかなか1番人気に推されなかったこともあるだろうが、
好走したレースの間に他のコースでの敗戦を挟んでいることもあるだろう。
ちなみに、
ダイタクヘリオスは古馬になって以降、
1番人気に推されたのは3レース。
マイルCSを連覇するほどの馬にもかかわらず意外と少ないが、この3レースでは
すべて馬券圏外に敗れている。
サンカルロも今年の
京王杯スプリングCで古馬になって初めて1番人気に推され、
⑨着に敗れている。
人気で信頼しづらい馬は、やはりなかなか人気にもなりづらい。となると、今後馬券を買う側にとって課題となるのは、
「サンカルロが次に阪神に出走してきたとき、どうするか?」ということだろう。
さすがに次は1番人気に推される可能性もあると思われるが、そこで
“21世紀版・オッズが読める馬”(かもしれない)
サンカルロがどんな結果を残すか、注目したいと思います。
一方、今年の
NHKマイルC勝ち馬
グランプリボスは早めに抜け出して後続を突き放し、勝ちパターンかと思われたが、
サンカルロの強襲に屈した。英国から帰国後は2戦続けて掲示板外に敗れていたが、今回は
復活をアピール。次走に期待したいところだ。
1番人気の
リアルインパクトは最内を追走したが、
直線で前が完全にふさがってまともに追えず⑩着、2番人気の
リディルは競走を中止した
クレバートウショウのあおりをもろに受け、小牧騎手が
落馬寸前になるアクシデントもあって⑪着に敗れた。ともに実力を出し切っての結果ではなかっただけに、次走以降の巻き返しは必至だろう。
話を
サンカルロに戻すと、
ダイタクヘリオスにあって
サンカルロにないのはG1勝ち。阪神芝のG1で、
サンカルロに出走権があるのは
宝塚記念しかないので、G1制覇のためには他のコースを克服することがカギになるだろう。
ただ、
ダイタクヘリオスは
スプリンターズSから
有馬記念まで幅広い距離を走っている。もし来年の
宝塚記念に
サンカルロが出走したら……自分なら馬券を買ってしまうかも?