来年のクラシック戦線は無敗馬を中心に、ハイレベルの争いとなりそう
文/編集部(T)、写真/森鷹史
今年の
ラジオNIKKEI杯2歳Sを制した
アダムスピークの父は、
ディープインパクト。
「そういえば、今年のリーディングサイアーランキングで、ディープインパクトは何位だったかな……」と思い調べてみたところ、少なからず驚いた。
12月18日終了現在の
中央リーディングサイアー(賞金ベース)を見ると、1位は
キングカメハメハ、2位は
シンボリクリスエスとなっていて、
上位2位までにサンデー系種牡馬の名前がなかったのだ。
95年に
サンデーサイレンスが初めて
リーディングサイアーに輝いて以降、昨年までは
すべての年でサンデー系種牡馬がトップ2に顔を出していたが、その構図が崩れようとしている。
それを、1年が終わる直前になってようやく気づくというのも情けない話だが(苦笑)、
サンデー系種牡馬の活躍の歴史=自分の競馬歴という方(自分もだいたい同じです)にとって、改めてこの事実を見て、
時代の移り変わりを感じる方も多いのではないだろうか。
ただ、
有馬記念などの結果を受けて順位が変わる可能性もあるし、もし逆転が叶わなくても、これは
今年限りのことかもしれない。その理由は、3位にいるのが
ディープインパクトだからだ。
ディープインパクトは今年の3歳世代が初年度産駒で、
2世代のみの活躍でここまで順位を上げてきたことになる。2世代のみで
リーディングサイアーとなった父
サンデーサイレンスには及ばなかったが、来年には
リーディングサイアーも狙えるだろう。
来年は年末になってようやく気づくということがないように、少し
リーディングサイアー争いにも目を向けていこうと思います(笑)。
アダムスピークに話を移すと、今回の勝利で
2戦2勝とし、来年の
クラシック戦線の主役に躍り出た。と同時に、本馬が父の
リーディングサイアー争いのカギを握る1頭となった。
1枠2番からの発走となった今回は、好位の最内を進み、
トリップや
グランデッツァなどが早めに外から仕掛けてきたが、鞍上のルメール騎手は内で持ったまま。直線に入って一瞬前が詰まったが、残り200mで馬群を割って突き抜けた。
今回と同じコースのデビュー戦は
前半1000mが65秒8の超スローペースとなったが、それでも折り合っていた。今回は
前半1000mが62秒1と、スローではあるが前走よりも流れており、好位で難なく折り合っていた。
この時期の父とは少し違い、
前に行って折り合えることは、安定して力を発揮するためにはプラスと思われる。このまま順調に成長すれば、来年の
クラシックでも上位争いが期待できる。
出遅れて大外を回した②着の
ゴールドシップ、先に抜け出して目標にされた③着の
グランデッツァも、展開や枠順が変わればまだまだ巻き返しも十分。
東京スポーツ杯2歳S勝ち馬
ディープブリランテ、
朝日杯FS勝ち馬
アルフレードを含め、来年の
クラシック戦線はこれまで無敗の馬が中心となって、
ハイレベルの戦いが期待できそうだ。
ところで、前述したように、
アダムスピークは
12月4日の阪神芝2000mの新馬戦でデビュー勝ちを収め、1戦1勝でここに挑んだ馬だった。
思い出すのは、父の
ディープインパクトも同じ
12月の阪神芝2000mで新馬勝ちを収め、翌年の三冠制覇の足がかりとしていたこと。12月19日デビューの
ディープインパクトは次走で年明けの
若駒Sに進んだが、同じ
2000mで連勝している点など、これまでの
アダムスピークと
ディープインパクトは似た戦歴を積んできている。
ディープインパクト以外にも
ナリタトップロード、
アグネスタキオン、
ファインモーションなどが制した
「12月の阪神芝2000mの新馬戦」といえば、かつては名馬を生み出す
登竜門的レースだった。
“だった”というのは、近年では
10~11月の京都芝1800mの新馬戦にその座を奪われつつあったから。
10~11月の京都芝1800mで新馬勝ちを収め、後にG1を勝った馬を振り返ると、05年以降では
ダノンシャンティ、
ローズキングダム、
アンライバルド、
フサイチパンドラなど、そうそうたる面々が並ぶ。
しかし、05年以降に
12月の阪神芝2000mで新馬勝ちした馬で、後にG1勝ちを収めた馬はいない。重賞勝ちも
ルーラーシップしかいなかった。
ディープインパクトの
リーディングサイアー争いに加え、
阪神芝2000mの新馬戦がかつての“出世レース”の座を取り戻せるかも、
アダムスピークの今後の活躍にかかっている……かもしれない?