トゥザグローリーが地力の差を見せつけた
文/編集部(M)、写真/森鷹史
1月15日の
WIN5は、5レース中4レースで
1番人気馬が勝ち、配当が
1万4600円という順当な結果になった。
勝った1番人気馬4頭のうち、
単勝オッズが1倍台だったのは京都10R(
紅梅S)の
サウンドオブハート(1.4倍)と京都11R(
日経新春杯)の
トゥザグローリー(1.6倍)の2頭で、この2レースについては
指名馬を1頭に絞った人も多かったのではないか。そして、直線で、
「おいおい、大丈夫か!?」と肝を冷やした人も多かったのではないだろうか。
サウンドオブハートと
トゥザグローリーはどちらも内枠で、終始
馬群の内で脚を溜める形になった。どちらも少頭数の競馬(12~13頭立て)だったが、直線で馬が密集して
捌きづらい局面が訪れた。
だが、2頭とも鞍上は慌てた素振りではなく、
サウンドオブハートの
武豊騎手も
トゥザグローリーの
福永騎手も、いつでも抜けて出てこられるような手綱さばきで、前が開いてからは
余裕すら窺えた。
他馬との斤量差を考えれば、どちらかと言えば
トゥザグローリーの方が肝を冷やした度合いが強かった人もいると思うが、終わってみれば、
紅梅Sの
サウンドオブハート(
半馬身差)よりも
日経新春杯(
1馬身1/4差)の方が着差が開いた。
完勝と言うか
快勝と言うか、まあ、
トゥザグローリーが地力の差を見せつけたレースだったと言えるだろう。
レース前、
馬体重の発表を見た人は、少なからず驚きを覚えたのではないだろうか。馬体重が前走時と比べて
10kg以上増えていた馬が続出したからだ。
2番人気の
スマートロビンが
26kg増(552kg)で、4番人気の
ビートブラックは
10kg増(520kg)。他にも、5番人気の
ナムラクレセントが
14kg増(512kg)、6番人気の
リベルタスが
10kg増(500kg)、7番人気の
スマートギアが
12kg増(470kg)で、これら馬体重が10kg以上増えていた馬は、結果的に1頭も馬券圏内に入れなかった。
馬券圏内に入った3頭は、
トゥザグローリーが
6kg増(542kg)、
ダノンバラードが
2kg減(478kg)、
マカニビスティーが
4kg減(486kg)で、この辺りも結果に影響を与えたのかもしれない。
1番人気に応えて快勝した
トゥザグローリーについては、これで
ある程度のツボが決まったように思っている。というのも、全7勝を
10~4月に挙げているように、やはり
暑くない時期がマッチするのだろうし、
右回りで前に壁を作れる枠順がベストなのだろう。
今回のレースを終えて、
トゥザグローリーの過去18戦は、
左回りで[0.2.0.3]、
右回りで[7.0.2.4]となった。
右回りでは、
馬番8番以内で[7.0.1.0]、
馬番9番より外枠で[0.0.1.4]なので、明らかに
内目の枠の方がいい。今後もこの条件に合致するなら、どんな斤量を背負わされようとも(?)、積極的に買っていきたいと思っている。
トゥザグローリーは今回の勝利で
G2は
3勝目(
京都記念、
日経賞、
日経新春杯)となり、今後は
悲願のG1獲りを成せるかどうかだろう。ただ、中距離以上のG1で、右回りで暑い時期じゃないとなると、意外に限られてくる。
天皇賞・秋と
ジャパンCは左回りだし、
宝塚記念は6月でけっこう暑い。となると、可能性が高いのは
天皇賞・春と
有馬記念か。
天皇賞・春は4月、
有馬記念は12月だから、さらなる可能性を求めて
海外に遠征するということもあり得るかもしれない。母の
トゥザヴィクトリーは、国内のG1が未勝利ながら
ドバイワールドカップに挑戦し、
②着となった馬である(その後、
エリザベス女王杯で優勝)。
息子が
母と似た道程を歩むというのも悪くない気がしますが……どうでしょう?
もちろん、
暑い時期や
左回りを克服することもあり得るだろう。ただ、その時は馬券を積極的に買っていないだろうから、個人的には素直に喜べるか、少々不安ではありますが(笑)。
トゥザグローリーを管理する
池江調教師は、
『サラブレ』本誌で連載をしていただいており、その関係もあって、
担当編集から話を伝え聞く機会が多い。その中で印象に残っているのは、
トゥザグローリーに対する変わらぬ評価の高さだ。おそらく他のG1ウイナーたちと比べても、
遜色ない実力がある感触を持っていらっしゃるのだろう。
昨年の
天皇賞・春以降、成績が振るわない時期もあったが、
有馬記念③着→
日経新春杯①着で、見事な
V字曲線を描いて復活した。
トゥザグローリーはG1級。これは誰もが認めるところで、近いうちに
「級」が外されて
「馬」に替わるのだろう。果たしてそれは
どのレースか? 焦点はそこだけのような気がしている。