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今後の記録更新を願わずにはいられない結果になった
文/編集部(W)、写真/森鷹史

実質のトップハンデは牝馬で56.5kgを課されていたエーシンヴァーゴウ。昨年のサマースプリントシリーズで2勝③着1回と優秀な成績を残して王者に輝き、スプリンターズSでも③着に好走した実績から言えば、こちらが主役を担う立場でもまったく不思議ではない。

ところが、酷量が嫌われたのか、休み明けが嫌われたのか、はたまたそれ以上に魅力的な馬が存在したということなのか3番人気にとどまった。

実績馬エーシンヴァーゴウを押し退けて主役の座に就いたのは、単勝1.4倍の圧倒的な支持が示す通り、デビューから芝1200mで5戦無敗ロードカナロア。そのスプリント界の新星を包囲するかのように、サクラバクシンオー産駒が大挙して出走し、その数はなんと7頭にも上った。

芝1200m重賞で同一種牡馬の産駒が7頭も出走したレースは記憶にない。07年ファルコンSではサクラバクシンオー産駒が6頭出走し、そのうちの3頭が馬券圏内を独占していたこともあり、ここは自分を含め、「ロードカナロアVSサクラバクシンオー産駒」と考えたファンも多かったのではないだろうか。

結果は、デビューから20戦連続となる逃げを打った韋駄天エーシンダックマンが②着と気を吐いたが、他のサクラバクシンオー産駒は掲示板外に終わった。芝1200mで4戦無敗だったダノンフェアリー(⑯着)は競走中に鼻出血を発症し、本来の力を発揮できなかったようだ。

エーシンヴァーゴウも見せ場を作れないまま⑮着と大敗。その一方、ロードカナロアは直線で抜群の瞬発力を見せて差し切り勝ち。好スタートを切りながらも先行馬群が密集して中団に控えざるを得ない形となったが、直線で外目に持ち出すと末脚爆発。差す競馬もあっさりとクリアしてみせた。

しかも、重賞としてはゆったりとしたペース(前半3F34秒1)で流れ、②着エーシンダックマンから⑬着アウトクラトールまでが0秒6差以内で収まっていたように、差がつきづらい展開の中、ロードカナロアは②着以下に0秒4差(2馬身半)もつけている。

ロードカナロア5連勝を飾った5戦はすべて、前半3Fが34秒台の芝1200m戦であり、得意の瞬発力勝負で持ち味を活かせたという見方もできそうだが、直線でエーシンダックマンに並びかけたところで福永騎手の右ムチが入ると外に大きく寄れている。

抜け出してからまっすぐ走っていれば、好スタートを活かして先行策が取れていれば、着差は0秒4差以上になっていた可能性も十分考えられるだけに、得意の展開だったとしてもその中身は濃いだろう。

初めて背負った57kgの斤量もまったく影響なし。1月18日には坂路50.1-36.9-24.0-11.8という抜群のタイムを計時していて、今回は過去最多体重の500kgだったが、連勝記録が伸びるのと平行するように、馬もパワーアップしているのが素晴らしい

同じ安田厩舎所属には、昨年、スプリンターズSを制して最優秀短距離馬に輝いたカレンチャン、芝1200m重賞3勝のダッシャーゴーゴーがいて、ライバルは厩舎の先輩となりそうだが、芝1200mで6戦無敗、連勝街道をひた走るロードカナロア高松宮記念(3月25日)でどんな走りを見せるのか楽しみである。

高松宮記念が3月に以降した00年以降、4歳馬による勝利は02年ショウナンカンプだけで、5歳以上の馬が強さを見せているが、ロードカナロアにはそのデータを打ち破って連勝記録を伸ばし、スプリント界を牽引するような存在となってほしいと思う。

また、それと同じくらい、ここまで来たらエーシンダックマンデビューからの連続逃げ記録も途切れずにいてほしい、と願わずにはいられない。

レース全体を見渡すと、シンガリ人気(16番人気)で③着に食い込んだケンブリッジエルの健闘ぶりは評価に値する一方、ハンデ戦とはいえ、準OP馬に先着を許したOP馬には物足りなさを感じた部分もあった。

ロードカナロアを①着付け、エーシンダックマンを②着付けにして3連単を買いながら外れてしまい、実入りはありませんでしたが(笑)、スプリント界の新星ロードカナロアの圧巻の走り、個性派エーシンダックマンの快走を見ることができて、個人的には見所のある一戦だった。