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劇的ビフォーアフターぶりが輝いて見えた
文/編集部(W)、写真/川井博


G1馬のカレンチャンジョーカプチーノを含め、重賞ウイナーが出走馬16頭の半数に当たる8頭も出走していた今年のオーシャンS高松宮記念の前哨戦として申し分ないメンバー構成だったが、馬連1万3730円、馬単3万3180円、3連複38万9450円、3連単266万1980円と、大波乱の決着となった。

①着ワンカラット(9番人気)、②着グランプリエンゼル(5番人気)、③着ベイリングボーイ(14番人気)で決まり、1番人気のカレンチャンは④着、2番人気のダッシャーゴーゴーは⑨着、3番人気のジョーカプチーノは⑤着で、上位人気馬は揃って馬券圏外に終わった。

この後の高松宮記念にピークを持っていきたい馬もいただろうし、今回は道悪や内有利の馬場状態といったファクターも加わったことが大波乱の引き金となった感じか。オーシャンSは重賞に昇格した06年以降、3連単は06年(216万190円)と08年(152万1320円)も100万円オーバーで、かなり爆発力を秘めている重賞である。

それにしても、関西馬10頭が①~⑩着、関東馬6頭が⑪~⑯着となり、「関西馬10頭ボックス」で買っていれば、10連複や10連単が当たっていたことになる(もちろん、そんな馬券は存在していません)。

それでも、10頭ボックスだと3連複は120点、3連単は720点で、それであの高配当が仕留められるのなら……と思わなくもない。が、それで外した時のダメージは相当大きいだろう。金銭面だけでなく、精神面でも(笑)。それは容易に想像がつく。

そんな余談はさておき、勝ったワンカラットは実にスムーズな競馬だった。カレンチャンが外枠から馬群の外、外を回らされていたのとは対照的に、ワンカラットは内枠から内ラチ沿いを走り、直線も内目から進出し、シャウトラインダッシャーゴーゴーの間を割って突き抜けた。

10年8月のキーンランドC以来、1年6ヵ月ぶりの重賞制覇となったが、勝つ時というのはすべてがうまくいくという感じ。それはレース運びに限った話ではなく、仕上がり具合についても言えそうで、ワンカラットは今回、18kg減で522kgにまで馬体が絞り込まれていた。

昨秋のスワンSで7ヵ月ぶりに戦線復帰した時は20kg増で540kg。その後も京阪杯544kg、阪神C544kg、淀短距離S540kgと、540kg台で推移していたが、2ヵ月開いて今回に至ったわけである。

輸送の影響なのか、今回はグランプリエンゼル(10kg減)、ジョーカプチーノ(16kg減)、ツルマルレオン(16kg減)、エーシンヴァーゴウ(12kg減)と、大幅に減っている関西馬が多かったが、スワンS以降でなかなか絞れなかった経緯があるだけに、ワンカラット18kg減を見て、「絞れたなあ」と声を漏らしたのは自分だけではないはず。

私事で恐縮だが、同じ距離をランニングしても、体重の減り具合は冬場だと夏場の6~7割くらいまで落ち込む。競馬新聞などで「冬場なので、馬体がなかなか絞れてこない……」といったコメントを目にすることがよくあるが、自分で体験しているだけに、ものすごく合点がいく。

だからなおさら、今回のワンカラット劇的ビフォーアフターぶりが輝いて見えたのだが、10年サマースプリントシリーズの王者だけに、これが本来の実力ということなのだろう。

この後は3月25日の高松宮記念(G1、中京芝1200m)に向かう模様。ワンカラットはキャリア通算で重賞4勝を挙げているが、G1では[0.0.0.7]と馬券圏内に入ったことがまだなく、09年桜花賞の④着が最高着順となっている。

今回敗れたカレンチャンダッシャーゴーゴージョーカプチーノは巻き返しに燃えているだろうし、その他にもスプリント界の新星ロードカナロア阪急杯組のマジンプロスパースプリングサンダーサンカルロなど、高松宮記念は有力馬がひしめきそう。

ワンカラットはその高松宮記念がラストランとなる予定のようだが、現役最後の一戦でもっとも強い輝きを放てるのかどうか。ワンカラットは芝1200mで決着時計が1分8秒1より遅いと①⑤③①①③①着なので、カギを握っているのは本番当日の中京の馬場状態と言えるかもしれない。