独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

明暗が分かれる結果となった小柄な牝馬2頭、果たして本番では!?
文/編集部(O)、写真/稲葉訓也


レース後の率直な感想は、「また今週もか……」というものだった。

2週前のフェブラリーSでは単勝1.5倍のトランセンドが⑦着、先週の中山記念では単勝1.9倍のトゥザグローリーが⑩着と馬券圏外に敗れている。そして、このレースでは単勝1.3倍のジョワドヴィーヴルが③着。重賞で断然人気の馬が人気を裏切る結果が3週間も続いた。

ジョワドヴィーヴルの場合は馬券圏内は確保しているので“またか”というのは正しくないし、少し厳しい見方なのかもしれないが、ウオッカブエナビスタ級の活躍を期待されていたことや、2馬身半+クビというけっして小さくない着差を考えると、やはり“凡走”と思わざるをえない。また、レースの傾向としても、07年に外回りコースで行われるようになってから初めて、前年の阪神JF勝ち馬が連対を外した。

では、なぜこのようなことが頻発しているのか。近年は日本のウオッカブエナビスタ、海外ではゼニヤッタデインドリームなどの牝馬がトップレベルで活躍することが珍しくない。このような現象は世界の血統地図が変わる端境期に起こりやすいと言う人もいる。

日本ではサンデーサイレンス、欧州ではサドラーズウェルズといったスーパーサイアーがいなくなり、次代のサイアーによる生き残りをかけた争いが繰り広げられる中で、真のトップクラスの牡馬が誕生しづらくなっている。

また、全体的な血統レベルは上がっているが能力が平均化している。そのため、ちょっとした展開のアヤ有利不利で、レースの結果が変わってしまうのだろう。しばらくは、そういう意識をより強く持っていたほうがよさそうだ。

では、そういった大局的なことは置いといて、ジョワドヴィーヴル“凡走”の原因はなんだったのだろうか。レース後、福永騎手は、返し馬から前走のような手応えがなかったことに触れ、休み明けの影響を敗因に求めていたようだった。もちろん、それもあるのだろうが、個人的にはレースぶりが気になった。

これまでの2戦はいずれも中団よりもやや後ろをゆっくりと進み、勝負どころでやや手綱を押し気味に上がって行って、最後の末脚を活かす競馬をしていた。ところが、今回は前の2頭が飛ばし気味に行ったために先頭からは差があったものの、5、6番手の馬群の中という位置取りは、こちらが予想していたよりも前めの位置取り。勝負どころではレースが動くのに合わせて進出して行った。

普通に考えれば、いいポジションにつけて、レースの流れにも乗っていたということになるのだが、勝った2戦とは明らかに競馬ぶりの印象が違う。前2戦はあくまで自分のペースでレースをしていたように見えたのに対して、今回はレースの流れに合わせた競馬をしているように見えたのだ。また、終始、馬群の中で揉まれていたのも初体験ではなかったか。

そう見ると、今回はこの馬が持っている本来の持ち味が活かされなかったのではないかという気がする。さらには、このようなマイル戦の流れに合わせた競馬で結果を出せなかったことは、姉のブエナビスタ同様、マイルよりも長い距離に向き、春の二冠では桜花賞よりもオークスの方に適性があることの証明なのかもしれない。

今回の結果を受け、桜花賞制覇へ向けては楽観視できない状況となったが、本番ではどんな競馬をするのだろうか。ただ、陣営としては、負けたのが今回でよかった、というのが正直なところではないか。幾多の名牝を育ててきた松田博資厩舎だけに、きっちり修正してきそうではある。

ジョワドヴィーヴルとは逆に、自分の想像以上の好走を見せたのはハナズゴール。4番人気ではあったが、重賞勝ちのある上位人気3頭が単勝オッズでひと桁台なのに対して、37.2倍という高い単勝オッズ。3強争いの蚊帳の外に置かれているような状況だったが、レースぶりは圧巻。出遅れ気味のスタートから外めを回りながらメンバー中最速の上がり34秒0の末脚を繰り出して、突き抜けた。

「メインレースの考え方」で挙げた、“芝1600m以上でメンバー中2位以内の上がりを計時して連対があり、なおかつ前走ひと桁着順の馬が10年すべてで馬券圏内”という条件を満たしていたのだから、馬券圏内のヒモに拾うくらいは難しくはなかったが、ここまでの競馬で突き抜けるとは驚きである。

今回は栗東で調整し、12kg減で414kgの馬体重。420kgで出走したジョワドヴィーヴル同様に小柄な牝馬だが、レースではそんなことを微塵も感じさせない豪快な末脚で、馬体重以上に大きく見せる。

この馬の場合は今回も自分の競馬に徹していた。33秒0の末脚で快勝した前走の東京芝1400m戦と同様に、外目を自分のペースで追走して末脚を活かす競馬。本番の桜花賞でも同様な競馬をすれば、よほど大きな体調の変化がない限りは終いに伸びてきそうだ。

データ的に見てみると、07年以降の過去5年、チューリップ賞勝ち馬の桜花賞での成績は[1.1.0.2](昨年勝ち馬のレーヴディソールは不出走)。連勝したのは09年のブエナビスタ、②着は07年のウオッカで、連対した2頭はいずれも阪神JFの勝ち馬。チューリップ賞が初重勝制覇だった08年のエアパスカルは⑨着、10年のショウリュウムーンは④着に桜花賞本番では敗れている。

これが重賞初出走だったハナズゴールは後者の部類に属してしまうのだが、過去の2頭はともにチューリップ賞での②着馬との着差が0秒1差以内だったのに対して、こちらは0秒4差。本番で馬券圏外に敗れた2頭と同様に考えると痛い目に遭うかもしれない。