スマートギアの勝因を考察しつつ、中京コースの特徴を推測してみよう
文/編集部(T)、写真/森鷹史
新装中京コースは
直線が長くなり、
直線に坂ができたことで、ガラリと様相を変えた。
その最初の重賞として開催された今年の
中日新聞杯は、
「このコースはどんな傾向になるのか、見極めてやろう」というファンの目が注がれ、ローカル重賞とは思えないほど注目度が高くなっていたように思う。
レースは小雨模様でやや湿った馬場を考えても、
前半1000mは62秒6のスロー。それを単勝6番人気の伏兵
スマートギアは中団でガッチリと折り合って進み、4角7番手から馬場の真ん中を通って突き抜けた。
3歳時に
菊花賞④着があり、当初からトップクラスでの活躍が期待されたスマートギアが、7歳にしてようやく
初めての重賞勝ち。鞍上の
松山騎手にとっても、これが嬉しい
初めての重賞制覇となる。
では、このレースまでは
重賞で[0.4.2.11]と、なかなか勝ちきれなかった
スマートギアが、今回突き抜けることができた理由は何だろうか。
今回は、
スマートギアの勝因を考察しながら、
中日新聞杯をはじめとする1週目の結果を見て新コースに対する仮説や疑問を3つピックアップして、今後の
中京コースに対するアプローチも含めて考えてみたい。
①新コースはスローペースになりやすい?スマートギア自身は
菊花賞で④着、
京都大賞典で②着など、長めの距離でも実績のある馬だった。
中日新聞杯もそうだが、それ以外で中京1週目の芝2000m以上のレースにおける前半1000mのタイムを見ると、
64秒0、63秒3、65秒0、63秒6と、いずれもスローペースとなっている。
クラスの違いや、現地に行った人間に聞くと、
「相当芝が長い」という現在のコースコンディション、ジョッキーたちにとっても初のコースで手探りという面もあるだろう。だとしたら、しばらくは
スローペースが多くなる傾向が続く可能性もありそう。
今後も
折り合いに不安のある馬、
距離不安のある馬や、
後方から進む馬は、評価を少し割り引く必要があるかもしれない。
②どんなコースで実績があったほうが良いか?今回①着の
スマートギア、②着の
ダンツホウテイ、③着の
ダノンバラードは、いずれも
坂のあるコースの重賞で連対か、OP勝ちのある馬だった。
1週目は芝で12レースが開催されたが、
4角先頭の馬が①着になったのは2頭にとどまっており、開幕週としてはかなり少ない印象を受ける。レースを見ても坂を上がってから差し切るケースが多く、
坂のあるコースに対する実績は重要視すべきではないだろうか。
ちなみに、4角先頭から押し切り勝ちを収めた2頭は、いずれも
過去に坂のあるコースで①着があった。前に行く馬は、坂を登ってからどれだけ粘れるかを示す指標として、特に坂のあるコースの実績に注目したい。
③実は旧中京の実績があった方が良い?今回のメンバーで、旧中京で勝ち鞍があった馬は3頭で、そのうちの2頭(①着
スマートギア、②着
ダンツホウテイ)がワンツーを飾った(残る1頭の
レインフォーレストは競走中止)。
③着の
ダノンバラードも東京開催の
皐月賞で③着があり、
左回り実績がモノを言った可能性もあるが、1番人気の
ダノンバラードに対し、
中京実績のある2頭が先着したのは興味深い。
理由はいろいろあるかもしれない(ないかもしれない?)が、
オカルトで片付けるのは早計だろう。
1週目は芝のレースに3歳戦が多く、中京で走った経験のある馬自体が少なかったが、
古馬戦では旧中京での実績がある馬に注目してみても良いかも?ということで、今回は3つの仮説をピックアップしたが、これから開催を重ねるにつれて、
「中京コースの特徴を丸裸にしよう」という動きが活発になっていくだろう。
皆さんの中でも、
仮説を立てる→
検証→
正しいものは残して、間違っていたものは消すという、
トライアンドエラーの課程が楽しいと感じる方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
誰も見つけていない傾向をあぶり出すことができたら、好配当をゲットできるチャンスかも?