名は体を表す? “従順な”アイムユアーズが年明け緒戦を突破
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
レースを制したのは
1番人気で、ここが今年緒戦となった
アイムユアーズ。前走の
阪神JFでは
ジョワドヴィーヴルの②着に入っており、今回のメンバーでは実績上位の存在だったが、その通りの結果となった。
アイムユアーズという名前は、
「私はあなたのもの」という意味を持つ。名は体を表すというか、今回は本当に人に従順なレースぶりを見せた(もちろん、実際のところは分からないが……)。
スタートは五分に出たが、鞍上の
ピンナ騎手が若干仕掛けるとスッと好位を確保し、3番手につけた後は折り合って持ったまま。4角で前が開いてから仕掛けられると、即座に反応して先頭に立ち、そのまま後続の追撃を寄せつけなかった。
逃げた
エイシンキンチェムが⑭着に沈み、
②~⑥着馬が4角8番手以下にいた馬で、差し有利の展開となった。それを
アイムユアーズは
4角3番手から押し切っており、見た目以上に強いレースだったといえるだろう。
2走前の
阪神JFでは少し行きたがる面も見せ、
ジョワドヴィーヴルの末脚に抵抗しきれなかったが、ここは1400mということもあってか、折り合いの心配はなかったようだ。
アイムユアーズにとって初重賞制覇となった
ファンタジーSは前半800mが45秒9、
阪神JFでは48秒0、
今回は46秒1だったことを考えると、
ペースが速いほうが合うということなのだろう。本番は1600mとなるが、ペースが速くなれば突き抜けてくる可能性も十分か。
②着の
ビウイッチアスは中団の内に控えて、直線でも内を突いて伸びたが届かなかった。スタートでは勝ち馬の前に出たが、その直後に鞍上の
武豊騎手が左右をしきりに確認して、ペースと位置取りを測っていた様子で、そこから抑えて控えている。
その判断通り、前崩れの展開をコーナーワークを利して前との差を詰め、一瞬先頭に立つかの勢いだったが、先に抜け出した
アイムユアーズは交わせなかった。
自身は完璧なレースをしたが、アイムユアーズの強さが想像以上だったという感じだろうか。
アイムユアーズはこれで6戦して5人の騎手が騎乗したことになるが、
③①②①②①着で馬券圏内を外したことがない。
鞍上を選ばないところを見ても、やはり
人に従順なようだ(笑)。
今回鞍上を務めた
ピンナ騎手の単騎免許は4月22日までのため、4月8日の
桜花賞には騎乗する可能性が高いと思うが、その後に予想される乗り替わりにも十分対応できるだろう。
勝ち馬の血統に目を向けると、父は
ファルブラヴ。先週の
オーシャンSを制した
ワンカラットに続き、これで
2週連続重賞勝ちとなる。これまで芝ダート含めてOPで16勝を挙げているが、そのすべてが牝馬によるものとなる。
母
セシルブルースは未勝利に終わったが、その母
セシルカットは
エアグルーヴの半妹で、3代母は
オークス馬
ダイナカール。3歳牝馬同士なら
オークスでも十分やれそうな血統背景を持つ。
桜花賞はもちろん、その後も楽しみになってきそうだ。
ところで、このレースで
桜花賞トライアルがすべて終了したが、断然の存在と見られていた2歳女王
ジョワドヴィーヴルが
チューリップ賞で意外な敗戦を喫した(③着)ことで、3歳牝馬戦線はにわかに
混戦模様となっている。
ジョワドヴィーヴルの敗戦で、
阪神JF組のレベルがどうだったのかを疑問視する向きがあったのも頷けるところだろう。
ただ、
阪神JFで①~⑩着までに入った馬の年明け以降の成績を見ると、
阪神JF⑤着の
アンチュラス、⑥着の
ガーネットチャーム以外の8頭がOPで③着以内に入っている。これを見ると、
阪神JFのレベルはかなり高かったことが分かる。
混戦の時に、
実績がモノを言うケースもしばしばある。その
阪神JF②着馬で、3月11日時点で牝馬唯一となる重賞2勝馬の
アイムユアーズが、本番で突き抜けてくる可能性も十分あるのではないだろうか?