ファルコンSらしい結果であり、かけ離れた結果でもあり!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史
先行馬は揃って掲示板外に敗れ、差し・追い込み馬が台頭することとなった今年の
ファルコンS。直線で外から抜け出した12番人気
レオンビスティーに、大外から猛然と迫った4番人気
ブライトラインがこれに並びかけ、半馬身差競り落として先頭でゴールを駆け抜けた。
上位2頭の父はフジキセキ、サクラバクシンオーで、これだけ見ると
「芝1200mで行われていた時のファルコンSっぽい結果」と言える。
パッと思いついたところでは11年
オーシャンSや10年
京阪杯。前者は①着
ダッシャーゴーゴー(父サクラバクシンオー)、②着
キンシャサノキセキ(父フジキセキ)、後者は①着
スプリングソング(父サクラバクシンオー)、②着
ケイアイアストン(父フジキセキ)で決着していた。
もっと前では06年
函館スプリントSもそうで、①着
ビーナスライン(父フジキセキ)、②着
シーイズトウショウ(父サクラバクシンオー)、③着
ブルーショットガン(父サクラバクシンオー)と、こちらは馬券圏内を独占していた。このように、
フジキセキ産駒とサクラバクシンオー産駒が重賞でワンツーする時は芝1200mばかり。
さらに、
ファルコンSが3月以降に移行した06年以降、06年③着
レッドスプレンダー、07年①着
アドマイヤホクト、07年②着
カノヤザクラ、07年③着
サクラゼウス、08年②着
マルブツイースター、09年③着
ルシュクル、10年①着
エーシンホワイティ、11年②着
スギノエンデバーと、
毎年、サクラバクシンオー産駒が馬券圏内に入っていた。
「お菓子のホームラン王と言えばナボナ」でもいいのだが、
「王貞治と言えばホームラン」と同じくらい、
「ファルコンSと言えばサクラバクシンオー」だと思っていたので、
レオンビスティーが②着に入ったことにより、
「芝1200mのファルコンS」感が強まったのである。
今年のサクラバクシンオー産駒は12番人気
レオンビスティー、15番人気
ゴーイングパワー、18番人気
ヴェアデイロスといずれもふた桁人気で、1~2番人気馬がいた06~11年とは大きく異なるメンバー状況だったから、どうなるかと思ったが、結果的には
「ファルコンSと言えばサクラバクシンオー」は今年も変わらず。
だがその一方、
重馬場で行われたレースの勝ち時計
1分24秒0や上がり
36秒8は、1分8秒台の決着が頻発していた近年の
ファルコンSとかけ離れたものというか、その数字だけを見ればもはや
東京ダ1400mである。
スタミナやダートも走れる馬力が求められる状況だったのだろう、出走馬中で唯一1800m以上で勝ち星のあった
ブライトラインが①着となり、ダ1400mで勝ち星のあった
レオンビスティーが②着に好走したのはレースを終わった後に分析すれば納得できる。
来年の同時期の馬場がどのようなコンディションかは分からないが、少なくとも新装・中京芝1400mの
ファルコンSはスピードだけでは押し切れない、
以前よりもタフな条件設定になったことは確かだろう。
ブライトラインは重賞で
⑤⑩⑦着と結果を残せていなかったが、初の芝1400mに替わって一変。前走の
アーリントンCでは頭を上げて行きたがる素振りを見せ、今回も後方でなだめつつの追走だったが、短距離に替わってペースアップしたのが幸いした感じで、
メンバー中最速の上がり(35秒5)を計時して突き抜けた。
また、
ブライトラインの母
シェリーズスマイルは
サーガノヴェル(芝1200m重賞で2勝を挙げた快速馬)の半妹であり、
もともとスピード資質が高かったのだろう。
06年以降の
ファルコンSの出走馬を見ると、その後に中央のG1で連対したのはいまのところ09年
NHKマイルCを制した
ジョーカプチーノだけ。
ジョーカプチーノは09年
ファルコンSで勝利していたが、その前にはダ1700mで未勝利勝ちしていて、マイル前後の距離に対する適性を示してはいた。
「マイルより長い距離で勝ち星を挙げていて、短距離も走れるスピードも秘めている」という点では、
ブライトラインは
ジョーカプチーノに近いタイプと言えそうだが、現状では芝1400mや芝1600mの持ち時計は順に
1分24秒0、
1分35秒5と速くない。
良馬場で行われた近3年の
NHKマイルCの勝ち時計は
1分32秒4、
1分31秒4、
1分32秒2と高速決着が続いているだけに、時計をどこまで短縮できるかが
ブライトラインにとってポイントになってくるかもしれない。
いずれにしても、新装・中京芝1400mで行われた
ファルコンSの出走馬たちが、この後にどんな成績を残すかは非常に興味深い。今回は結果を残せなかった馬も含めて、今後の動向をチェックしていきたいものだ。