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ガルボが後方一気を決めたことは三重の驚きだった
文/編集部(M)、写真/米山邦雄


自慢できた話ではないが、今週末のWIN5は、衝撃の「WINゼロ」という結果だった(苦笑)。メインの2レースを残した時点で1頭も当てられていなかったので、やばい…とは思っていたのだが、まさか本当に達成してしまうとは。インド人がゼロの概念を発見してくれていなかったら、この状況をいったい何と表現していたことか(笑)。

そもそも波乱の多いダービー卿CTを当てる自信は相当に低かったのだが、中でもガルボに対しては、まったく思いが働いていなかった。

2走前の東京新聞杯ではガルボを穴ぐさ💨に指名していて、同馬については適性を把握しているつもりだった。それだけに、ガルボが突き抜けたことに対しては、二重の、いや、三重の驚きを感じている。

まず、何が驚いたって、トップハンデの57.5kgを克服したことだ。ガルボは過去の③着以内がすべて斤量56kg以下で、57kgでは7戦して掲示板内が一度もなかった。勝ったことがない、とか、③着以内がない、というレベルではなく、⑤着以内がなかったのである。

その上、今回は未知の57.5kgを背負っていたのだから、不安に感じるなと言うほうが無理があっただろう。

過去のこのレースを振り返ってみても、このハンデは気になった。ダービー卿CTが中山芝1600mのハンデ戦となってからは、ハンデ57.5kg以上の馬は[1.0.0.6]で、馬券に絡んだのはダイワメジャーだけだった。ダイワメジャーは当時すでにG1馬で、500kg以上の大型馬だった(ダービー卿CT時は520kg)。

ガルボは470~480kgほどの馬だし(今回は474kg)、重賞2勝とはいえ、その2勝はG3。G1&G2では8戦して③着以内がなかったので、ダイワメジャー級かと聞かれれば、それを肯定するのも無理があっただろう。

東京新聞杯の①着も含めて、ガルボは過去の③着以内がすべて10~2月だったので、この時期に突き抜けたことにも衝撃を覚えた。これまで4~8月は[0.0.0.8]だったから、季節的にも合わないのではないかと思っていたのだ。

トップハンデの57.5kgを背負って突き抜けたこと、そして、4月になって優勝したこと。このふたつがガルボに対する驚きだったのだが、それに輪をかけて、三重の驚きとなったのがレースぶりだった。

今回、ガルボ4角9番手という位置取りから差し切ったわけだが、過去のダービー卿CTでこんな後方一気を決めた馬なんていなかった。

86年以降、ダービー卿CTは中山芝1600mで19回行われていて、そのうち14回の勝ち馬が4角5番手以内からの押し切りだった。残りの5頭も4角の位置取りが6~7番手で、8番手以下の馬は[0.6.3.112]という成績だったのだ。

とにかく差し届かないのがダービー卿CTの歴史で、軽ハンデの馬ならまだしも、重いハンデを背負った馬の後方一気に懸けるのは、とても賢明な作戦とは思えなかった。

ところが、今年は、勝ち馬ばかりか②~③着にも4角で10番手以下にいた馬が差してきたのだから……寝耳にミミズというぐらいビックリしました…。

今年の通過タイムは35秒4-47秒4-58秒8で、これは過去のこのレースと比べて特別に速いわけではない。それでも、過去に例を見ない位置取りの馬が制したのだから……この結果は、残りの2週の中山開催に向けて教訓にすべきではないかとも思う。

Bコースでの施行となった3月31日&4月1日の中山芝は、8レースのうち、1~3番手に付けた馬が5レースを制し、相変わらずの先行有利に見えた反面、フルゲートの16頭立てとなったメインレース(船橋Sダービー卿CT)は、どちらも外差しが決まっている。

来週にはNZT(芝1600m)と春雷S(1200m)が控え、最終週には皐月賞が行われる。今春の中山開催は、例年以上に雨に祟られているので、いつも以上に馬場差には敏感になって対応していくのが良いのだろう。

本当はここで皐月賞の頃には完全な外差しになっている」と記したいところだが、G1週ではいきなり内伸び馬場に変わることが珍しくないから(高松宮記念もそうだった)、決め打ちしすぎない方がいいだろう。「過去の傾向に囚われすぎないようにして臨む」ぐらいのスタンスが良いと思われる。