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オールザットジャズは7冠牝馬を彷彿とさせる感もあり!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史


この4月から、ウチの長女が幼稚園に通い始めた。通い始めたといっても、幼稚園にいるのはまだ1~2時間程度で、徐々にその時間を延ばして慣らしていくのだとか。常に身内がそばにいる環境で育った長女としては、いきなり周りが知らない人だらけになるのだから戸惑いの連続だろう。

そんな長女のことが気になる自分は、ちょうど通勤経路に幼稚園があるので、会社に行く途中、園庭で遊んでいる様子を覗いてみることもしばしば。ひとりでお店屋さんごっこをしている風の長女を見て少し切なくなったが(笑)、「かわいい子には旅をさせよ」と言うし、早く幼稚園の生活に慣れ、成長していってほしいと願うばかり。

ちなみに、「かわいい子には旅をさせよ」ということわざは、「子供のことがかわいいと思うなら、甘やかさないで世間に出して苦労や厳しい経験をさせたほうが良い」という意味を持つのだが、福島牝馬Sオールザットジャズを見ていて、このことさわがパッと思い浮かんだ。

オールザットジャズは昨秋、デビュー6戦目で500万勝ちを収めた。そこまでのキャリアは特に珍しいものではなかったが、その直後、なんとG1のエリザベス女王杯に駒を進めたのである。

この時、同じ角居厩舎の所属馬ではアヴェンチュラグルヴェイグも出走していて、アヴェンチュラは前走に秋華賞を制し、エリザベス女王杯でも②着に好走していたが、グルヴェイグオールザットジャズと同様にまだ1000万条件の身だった。いずれもふた桁着順に敗れたのも仕方ないだろう。

古馬G1に条件馬が出られてしまうシステムや状況はどうかと思うが、条件馬をG1に出走させるということは期待の高さの表れであり、将来を見据えて強敵に胸を借りておくのだろうと、個人的にはそのように理解していた(陣営の思惑はもっと深遠だったかもしれないが)。

思い起こせば、ゴルトブリッツも同じ。こちらもオールザットジャズと同様、500万を勝った直後に交流G1の東京大賞典に挑み、結果は⑦着だったが、その3戦後に重賞初制覇を成し遂げ、先日のアンタレスSで重賞3勝目を挙げた。いま振り返れば、G1に使いたくなるほどのだったのだろうと納得させられる。

そして、オールザットジャズエリザベス女王杯から3戦目となる中山牝馬Sで②着に好走し、4戦目となる今回の福島牝馬Sで重賞制覇を飾ったわけだから、馬の能力をしっかりと把握し、そして開花させた陣営、G1での敗戦を糧にその期待に応えたには見事という言葉しか見つからない。

また今回は、藤岡佑介騎手の落ち着いた騎乗ぶりも目を引いた。先行グループが飛ばす展開の中、先行馬群でスムーズに追走し、4角で外目に持ち出してマイネイサベルを交わして早々と先頭に立つと、後続の追撃を寄せつけず。

「自分が上手く乗れれば絶対に勝てるという自信があったので、正直、ホッとしています。今日は流れに乗って、この馬の力を証明できればと思って競馬に臨みました。4コーナーで本当に素晴らしい手応えだったので、直線は抜けても楽でした」

藤岡佑介騎手はレース後の勝利騎手インタビューで、そのように話していたが、前走の中山牝馬Sは出遅れた上に挟まれ、後方からの競馬を余儀なくされていたので、今回はとにかくスムーズな競馬を心がけたということだろう。「スムーズに競馬ができればこれだけ強い」という思いが伝わってくる騎乗ぶりだったと思う。

昨年はデビューした04年以外で初の重賞未勝利に終わった藤岡佑介騎手だが、今年はこれで平安S(ヒラボクキング)、オーシャンS(ワンカラット)、阪神牝馬S(クィーンズバーン)に続いて重賞4勝目。中央重賞の年間最多勝利は07年の5勝で、自己ベストに早くもリーチをかけた格好だ。

といったように、人馬とも好調のオールザットジャズ&藤岡佑介騎手が制した福島牝馬Sだったが、この後は5月13日のヴィクトリアマイル(G1、東京芝1600m)に参戦するのだろうか。

タニノギムレット産駒で角居厩舎と言えば、09年ヴィクトリアマイルを含めてG1・7勝を挙げ、顕彰馬に選定されたウオッカがすぐに思い浮かぶが、ウオッカと比較するのはさすがに酷だろう。

ただ、1番人気での成績を見ると、ウオッカは国内に限れば[6.4.2.1]オールザットジャズ[4.0.0.0]で、エリザベス女王杯以降の成長ぶりを加味しても、周囲の期待に応えてくれるという意味では7冠牝馬を彷彿とさせる感もある。

戦うステージが上がり、好走を続ければプレッシャー周囲の期待も高まっていくだろうが、その中でオールザットジャズがどのような走りを見せてくれるのか。今後は「Jazz Festival」というロゴの入った服を着ている長女を見るたびに、オールザットジャズのことが気になりそうだ。