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差して新境地を開拓した、ヒットザターゲットの初重賞制覇
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


いきなり私事で恐縮だが、日曜の新潟芝の未勝利戦に自分の一口出資馬が出走していた。

そこそこ人気もしていたので、期待してレースを見ていた。しかし、結果は後方から差を詰めて、直線で馬場の真ん中を通って先に抜け出した勝ち馬に外から迫ったものの、わずかに届かず②着に敗れてしまった。

負けたのは残念だが、その教訓を活かしてメインの新潟大賞典で穴埋めをしなければ……と思い、その結果を受けて考えた。

そうして導いた結論は、「やっぱり開幕週だけに、前にいた馬や内にいた馬を交わすのはなかなか難しいなあ」ということだった。至極当然のことだ、というツッコミはなしでお願いします(笑)。

そして、数時間後に迎えた新潟大賞典。最終的に単勝1番人気に推されたダノンバラードのオッズは4.7倍。以下スマートギアが4.9倍、トーセンラーが5.7倍、アグネスワルツが8.4倍となっていた。

単勝は、当然ながら勝つことが必要なわけで、近5走が③③③②③着ダノンバラードは買いづらい……など、ハンデ戦ということも含めて、こういうオッズになったのはいろいろな理由があったとは思われる。しかし、大混戦ということは変わりなかっただろう。

混戦の場合は、あまり人気にとらわれずに買い目を決めるべきだろう(と、個人的には思っている)。自分の出資馬の結果を受けて考えた予想のポイントは、①内の馬がやはり有利②前にいた馬を交わすのはなかなか難しい、ということ。

そこで、本命は最内枠で、単勝5番人気となったヒットザターゲット。内目の枠に入った馬には他に前に行きそうな馬がおらず、これまでの5勝は4角4番手以内の競馬をしており、ある程度前に行ってくれるはずだ……と考えた。

そうなると、ある程度前に行った馬が残る展開となるはず。ということで、前走で好位の競馬をして好走しているメイショウウズシオアグネスワルツを中心に、穴ぐさのダンツホウテイなどを相手に、3連単を買ってレースを待つことにした。

レースは、ハナに立ったアグネスワルツ1000m通過が59秒0。雨は上がったものの、稍重の馬場を考えても遅めのペースとなった。

肝心のヒットザターゲットは、スタート直後は押して行く素振りを見せたものの、そこから控えて中団の最内を確保した。

正直、自分などは「あれあれ?」と思ったが、鞍上の古川騎手は落ち着いていた。4コーナーで前が開かないと見るや、最内に進路をとって残り200mで一気に抜け出し、②着のダンツホウテイに2馬身差をつけて初重賞制覇を飾った。

正直なところ、ある程度前につけて、直線で早めに抜け出して押し切り……と想定していた(取らぬ狸の皮算用とも言います)ので、これには驚いた。

道中2番手にいたダンツホウテイが粘っているところを見ると、差し有利の展開でもなかったはずで、ヒットザターゲットがこのような競馬ができるとは思っていなかった(馬券もハズれました)。

考えてみれば、ヒットザターゲットの母はラティール。鋭い追い込みで好走したかと思えば、98年オークスのように中団待機からマクる競馬で4角2番手から④着に健闘したりと、いろいろな戦法で戦ってきた馬だった。

今回は最内を通ったことで、大外一気の競馬のように一目で「強い!」と思わせるインパクトは少なかったかもしれないが、見た目以上に強い内容だったと思える。母のように、いろいろな戦法をとれることは大きな強みのはずで、今回の勝利はかなり高く評価できるのではないだろうか。

ちなみに、02年以降の新潟大賞典の勝ち馬が、次走でエプソムCに出走してきた時は、⑥①②①⑤③着(複勝率66.7%)とかなりの好成績を残している。

ヒットザターゲットはこれまでの6勝がすべて平坦コース(函館、小倉、福島、新潟)。次走がエプソムC安田記念宝塚記念などになった場合は、坂の克服が必要となる。しかし、やはり直線が長い&左回りという共通点があるコースなので、新潟大賞典と東京のエプソムCは適性がリンクする部分も多いのだろう。

ヒットザターゲットが次にどこに向かうかはまだ分からないが、もしエプソムCに出てきたら、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか?

自分も、この日の出資馬と馬券の負けを両方取り返すべく、ヒットザターゲットのレースには今後も注目していきたいと思います(笑)。