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日本レコードで“法則”を覆したトーセンホマレボシの本領発揮に驚嘆
文/編集部(W)、写真/森鷹史


ディープインパクト産駒が6頭出走し、そのうちのトーセンホマレボシベールドインパクトエキストラエンドククイナッツレイが①~④着。青葉賞②着のエタンダールといい、プリンシパルS①着のスピルバーグといい、ダービーへ向けての前哨戦でディープインパクト産駒の活躍ぶりが目覚しい。

京都新聞杯で勝利したのはディープインパクト産駒の中でも、1番人気エキストラエンド、2番人気ベールドインパクトでもなく、同産駒の人気順で3番目に位置していた5番人気トーセンホマレボシで、これはちょっと意外だった。

というのは、ディープインパクト産駒が2頭以上出走していた芝重賞はそれまで12レースあったが、そのうち11レースで同産駒の人気最上位馬が勝利していたからだ。その法則が崩れたのは1番人気ジョワドヴィーヴルが⑥着に敗れ、2番人気ジェンティルドンナが①着となった今年の桜花賞だけ。

ただ、ジョワドヴィーヴル桜花賞後に骨折が判明していて、その結果が骨折の影響に寄るものだとすればノーカウントと見なすことも可能である。それはあくまでこちらの都合の良い解釈ではあるが、京都新聞杯はその法則を信じてエキストラエンドを中心に馬券を買ったのである。

意外と言えば、デビュー戦から前走の大寒桜賞までずっと1番人気に推されていて、トーセンジョーダンの半弟で所属は池江厩舎、鞍上はウィリアムズ騎手という周辺事情も勘案すれば、トーセンホマレボシが5番人気というのも意外ではあったのだが。

いずれにしても、トーセンホマレボシ「ディープインパクト産駒が2頭以上出走している芝重賞で勝つ時は人気最上位馬」という法則を覆したのは事実。しかも、アーネストリー11年宝塚記念で樹立したレコードを0秒1更新し、2分10秒0という日本レコードも付け加えて。

前走から持ち時計を9秒5短縮して連勝したことも驚き。02年アイビスサマーダッシュではカルストンライトオがレコードで逃げ切り勝ちしたが、その時の4F目で計時したラップが9秒6だったから、そのタイムを物差しにして考えると、トーセンホマレボシは直線距離にして約200m分も速く走ったことに。

そんな余談はさておき(笑)、レース内容も上々だろう。メイショウカドマツが逃げた淀みない流れを2番手で追走し、直線で後続の追撃を振り切って2馬身半差勝ち。後方から差し込んで②&③着となったベールドインパクトエキストラエンドと同じ上がり(34秒7)をあの位置取りで計時したのだから差が詰まらないわけである。

前走の大寒桜賞重馬場が影響したのか、正直、辛勝という感じだったので、そのせいもあってだろうトーセンホマレボシは今回5番人気に甘んじたのだろうが、高速馬場の地力勝負となったことで眠っていたポテンシャンが引き出された、そんな印象を受けた。

トーセンホマレボシの母エヴリウィスパーは、ヒストリカルの母ブリリアントベリーの全妹なので、ディープインパクトを父に持つトーセンホマレボシヒストリカルはまったく同じ血統構成なのだが、斬れるヒストリカルに対し、トーセンホマレボシは底力とスタミナに秀でている感じ。

半兄トーセンジョーダンはハイペースとなった昨年の天皇賞・秋1分56秒1という日本レコードを樹立してG1初制覇を飾っていたが、この兄にしてこの弟あり。トーセンホマレボシはディープインパクト産駒だが、トーセンジョーダンに近いタイプなのかもしれない。

ダービーに向けてまた1頭、注目馬が名乗りを上げたことは喜ばしい限りだが、その一方では、高速馬場で激走した反動が出ないものかと心配になる面もある。

幼稚園に入ったばかりのがジャングルジムなどの遊具で遊んでいると、ケガをしたりしないかハラハラしてしまう心配性の性格であることは承知しているが、天皇賞・春に出走していたジャガーメイルナムラクレセントがレース後に相次いで故障を発症した現実を目の当たりにすると、そう感じるファンも少なくないのではないだろうか。古馬でそのような状況だから、馬体が未完成の若駒にとっては言わずもがなだろう。

トーセンホマレボシをはじめ、ベールドインパクト(コイウタの半弟)、エキストラエンド(ローエングリンの半弟)、ククイナッツレイ(母シェルズレイ)、アドマイヤバラード(アドマイヤメインの半弟)、ヴァンセンヌ(母フラワーパーク)など、今回は将来に期待が膨らむ血統馬も多く出走していた。

とにもかくにも、今回の出走馬たちがこの後無事に行ってほしいと願うばかり。トーセンホマレボシの本領発揮に驚嘆させられたと同時に、そんな切なる思いもこみ上げてきた京都新聞杯だった。