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1番人気不振データも能力開花の血統馬には無力だった
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


1番人気が不振の重賞と言えば、最近行われたレースだと00年以降で[0.0.2.11]京王杯スプリングCあたりか。ブラックホーク(01年③着)とスズカフェニックス(08年③着)が③着に入ったのみで、連対圏内に届いておらず、今年も高松宮記念②着のサンカルロが⑩着に敗れていた。

その京王杯スプリングCよりも1番人気にとって鬼門の重賞となりつつあったのがマーメイドS。別定戦として行われていた96~05年での1番人気は[4.2.0.4]で可もなく不可もなくという感じだったが、ハンデ戦になった06年以降だと[0.0.0.6]で、連対はおろか③着すらなかった。

そのマーメイドSにおいて、今年、1番人気の支持を集めたのが父ディープインパクト、母エアグルーヴという超良血グルヴェイグ。その血統背景に加え、まだ準OPの身ながら1000万で2連勝中と本格化の気配を感じさせ、鞍上が今年の重賞で[3.2.1.5](複勝率54.5%)だったウィリアムズ騎手とくれば、その評価も納得という感じ。

それでも、単勝オッズは2.3倍で、2番人気のスマートシルエット6.5倍だったから、押し出されての1番人気という感じはまったくなく、期待を集めての1番人気、という印象が強かった。

母エアグルーヴ、半姉アドマイヤグルーヴは別定戦時代のマーメイドSで単勝1倍台の1番人気に推されて勝利していて、そんな身内に囲まれているグルヴェイグが、1番人気に対して向かい風が吹きまくる重賞に変貌したハンデ戦・マーメイドSにおいてどんな結果を出すのか。

このレースの最大の興味はそこだったが、結果はグルヴェイグが完勝。アグネスワルツが平均ペースで引っ張る展開の中、好位のインで行きっぷり良く追走し、直線入口で外目に持ち出す際に他馬と接触する場面も見られたが、そこからグイグイと伸びて前を走っていたシースナイプを交わして先頭に立ち、②着以下を2馬身ちぎってみせた。

軽ハンデの条件馬も混じっているメンバー構成とはいえ、G1馬のエリンコート、重賞で好走実績のあるアニメイトバイオアグネスワルツアカンサスなどを相手にして、マーメイドS以前にG1勝ちの実績があった母エアグルーヴ、半姉アドマイヤグルーヴを彷彿とさせるような風格すら漂わせた感じで完勝するのだから恐れ入る

1番人気に対する逆風などどこ吹く風。能力が開花した血統馬には鬼門データなど無力だった。さらに言えば、マーメイドSはハンデ戦になってから4歳馬は[0.1.4.21]で、連対はサンレイジャスパー(06年②着)のみだったが、グルヴェイグはこの不振のデータも覆してみせた。

思い返してみれば、ドナウブルーも1000万→京都牝馬Sと連勝して重賞初制覇を飾っていたし、ディープインパクト産駒はこういう離れ業もあっさりとやってのけるから、終わってみればさもありなん、という結果ではあった。

G1ではオークス⑭着、エリザベス女王杯⑭着と大敗を喫しているグルヴェイグだが、このまま順調に成長していけば、有力馬の1頭として秋のエリザベス女王杯に臨むことになるのではないだろうか。今後が楽しみである。

それにしても、06~10年は開幕週に行われていて、08~10年は人気薄の逃げ馬(08年10番人気②着ピースオブラヴ、09年9番人気①着コスモプラチナ、10年14番人気②着セラフィックロンプ)が連対圏内に残っていたが、開催3週目に移行した昨年も今年も差し馬が馬券圏内を占めた

今回、後方から追い込んだ7番人気②着クリスマスキャロル、10番人気③着メルヴェイユドールは軽量50kgに加え、ペースが流れたことも幸いした感じだが、来年も開催3週目に行われるようなら、ある程度、意識を前(先行馬)から後ろ(差し馬)にシフトしたほうがいいのかもしれない。

とか言うと、1番人気は不振と周囲が騒ぎ出した途端に勝ち馬を送り出す気まぐれマーメイドは、来年は先行決着にしたりしそうで怖いんですけど(笑)。