過去のラジオNIKKEI賞の勝ち馬とは一味違う?
文/編集部(M)、写真/米山邦雄
①着馬が[5.2.10.62](勝率6.3%、連対率8.9%、複勝率21.5%)で、
②着馬が[7.3.7.32](勝率14.3%、連対率20.4%、複勝率34.7%)。これは何の数字か、お分かりだろうか?
①着馬よりも②着馬の成績の方が良いわけだが、実はこれ、
ハンデ戦になってからのラジオNIKKEI賞で連対し馬の次走以降の成績なのだ。勝利した馬よりも、②着に惜敗した馬の方がその後に活躍する。近年の
ラジオNIKKEI賞には、そんな傾向が見られるのだ。
ラジオNIKKEI賞がハンデ戦になったのは
06年からで、その後にこのレースを勝ち、さらにOPで勝ち鞍を重ねた馬は
ロックドゥカンブと
タマモサポートしかいない。08~11年の勝ち馬4頭(
レオマイスター、
ストロングガルーダ、
アロマカフェ、
フレールジャック)は、OPクラスにおいては未勝利だ。
一方、②着に敗れた馬で、その後に未勝利なのは1頭(
ノットアローン)だけ。残りの5頭はOPどころか
重賞で勝ち鞍を挙げていて、その馬名を挙げると、G3を勝ったのが
マイネルラクリマ(
京都金杯)と
サニーサンデー(
福島記念)で、G2を勝ったのが
クォークスター(
セントライト記念)、そして、G1を制した馬も2頭いる。
スクリーンヒーロー(
ジャパンC)と
ソングオブウインド(
菊花賞)だ。※
スクリーンヒーローはG2・
アルゼンチン共和国杯も勝利している。
これはどういうカラクリなのだろうか?
ラジオNIKKEI賞での
着順と
ハンデを見比べて推理するに、実は、
地力は②着馬の方が上だったのでは?という気がしてきた。
そう考えたのは、昨年までの6年のうち、①着馬のハンデが②着馬よりも重かったケースが一度(09年)しかないからだ。6年中3年で、①着馬のハンデの方が軽かった。つまり、
重いハンデを課せられながら②着を確保した馬が多いわけで、そんな馬がその後に地力の高さを証明していく………そんなシナリオになっているんじゃないかと考えたのだ。
今年の
ラジオNIKKEI賞も、期せずして例年と似た形となった。優勝した
ファイナルフォームはハンデが
54kgで、②着の
ヤマニンファラオは
55kg。だからこそ、
ヤマニンファラオは前走に続いての惜敗となってしまったが、これからも注目していきたいと思った。
ヤマニンファラオは近3走が460kg台(464~468kg)だが、2勝を470kg台(472~478kg)で挙げている。ひと夏を越えて成長すれば、秋にはさらに
パワーアップしてきても不思議ないのではないだろうか。
一方、
ヤマニンファラオを直線で退けて快勝した
ファイナルフォームは……どう付き合っていけばいいんでしょうかね? 実はちょっと困っています(笑)。
これまでの
ラジオNIKKEI賞の勝ち馬のことを考えれば、もう少し様子を見るべきと言えそうだが、今回、
ファイナルフォームは
2馬身もの差を付けた。タラレバの話になって恐縮だが、たとえ
ヤマニンファラオと同じ斤量でも勝利していたように思うし、500kgを軽く超えるその馬格(今回は
530kg)を考えても、軽ハンデの恩恵が大きかったとは言えなさそう。ちなみに、ハンデ戦の
ラジオNIKKEI賞で500kgオーバーの馬が勝利したのは、今回が初めてになる。
06年以降のこのレースを勝ち、その後にOPで勝ち鞍を重ねた馬は
ロックドゥカンブと
タマモサポートだけと前述したが、実は、
②着に1馬身以上の差を付けたのもこの2頭だけだったりする。
2馬身差という今回の快勝劇は、
OPでのさらなる活躍を約束するもの、と言うこともできるのだろう。
ファイナルフォームの場合、その
血統的な魅力も大きいと思っている。泣く子も黙る
ディープインパクト産駒だし、その母・
ファイナルデスティネーションはニュージーランド年度代表馬(オレイリー)を父に持つニュージーランド1000ギニー馬。
ファイナルフォーム自身、
ヘイルトゥリーズンと
ノーザンダンサーのクロスをそれぞれ持っていて、今後にさらに成長しない方がおかしい印象すらある。
ハンデ戦となってからの
ラジオNIKKEI賞の勝ち馬の傾向を、今後、
ファイナルフォームが改めていくか。
このレースを連対した
堀厩舎の馬は、
ロックドゥカンブも
クォークスターも次走で
セントライト記念を走り、その後に
菊花賞を使われているから、今回の
ファイナルフォームもその2レースでは注目だろう。ちなみに、
ロックドゥカンブも
クォークスターも
セントライト記念では勝利を収めています。