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春とはまるで違う中京の芝が、結果に大きく影響した?
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也

朝から降りしきる雨で、このレースの直前に芝は稍重から重馬場へと変わった。

レース前は「この重い馬場では、前に行って勝ち切るのは厳しいか」などと思っていたのだが、レースの結果はまるで逆。2番手につけたマジンプロスパーが、直線であっさり逃げ馬を交わして抜け出し、レコードタイムで押し切った。

このCBC賞を含め、今週の中京はレコードタイムが続出した。土曜に芝で開催された7レースはすべてレコードタイムか基準タイムを記録しており、日曜はこのCBC賞を含め、2レースがレコードタイム、1レースで基準タイムを記録した(ちなみに、ダートでも2日で3レースのレコードタイムが出ている)。

タイムが速いことを証明するひとつの要素として、マジンプロスパーは近2走でいずれも中京芝1200mで走っており、その走破タイムを比較すれば一目瞭然だろう。前走の高松宮記念良馬場で1分10秒6だったのに対し、今回は重馬場にもかかわらず1分8秒7で走っている。

ここまでタイムが速くなったのはなぜだろうか。その理由として考えられるのは、春の中京開催は雨続きで、良馬場で開催されたレースが少なかったこともあるだろうが、もうひとつは芝の状態もあるのではないか、と思う。

調べてみると、春開催の中京開幕週は野芝の長さが約6~8cm、洋芝が約14~18cmで開催が始まっている。それに対し、今回は野芝が約8~10cm、洋芝が約12~16cmとなっていた。

一般的に、野芝と洋芝を比べると、野芝の方が軽くてタイムが出やすく、洋芝の方は力が必要とされ、タイムも出にくいといわれている。

それを踏まえて中京の芝の長さを比べると、春に比べて夏は野芝が2cm長く、洋芝が2cm短いことが分かる。これだけのレコードラッシュとなったのは、芝の状態もあったのではないか、と推測できる。

今後芝の状態がどう変わるかは分からないが、しばらくの間は速い時計に対応できることが好走の条件になりそう。

マジンプロスパー自身も、阪神芝1400mで1分19秒9の走破タイムで1000万勝ち(06年以降、新コースの阪神芝1400mで、1分19秒台で走っている馬は他にいない)があり、速い時計に対応できることは証明済みだった。

いずれにしても、今後予想をする上で、芝の状態を注意深く観察する必要があるのは間違いないだろう。

ところで、自分は今年の中日新聞杯が終了した時点で、新コースの中京の特徴をいくつか想像(妄想に近かったかもしれませんが……)して、3つの仮説を立てた。

その中で、当時は「スローペースになりやすい?」を挙げたが、今回はこれを少し変えて「やや長めの距離で実績がある方がいい?」ということにしたい。

今回の①着馬マジンプロスパー、②着馬スプリングサンダーは、今年の阪急杯でもワンツーを決めている。阪急杯は芝1400mのレースで、この2頭はどちらかというと1200mより1400mでの良績がある馬だった。

ちなみに、今年このコースで開催された高松宮記念を制したカレンチャンも、やはり芝1400mでの重賞勝ち(阪神牝馬S)がある。

今回、重賞での良績が芝1200mに集中しているダッシャーゴーゴーが③着に敗れたところから考えても、あながち間違っていないと思うのだが……。いずれにしても、今回はこの仮説をもとに馬券を検討していきたい、と思っている。

勝ち馬に話を移すと、マジンプロスパーは、前述したように阪急杯に続いて重賞2勝目となった。今年からCBC賞サマースプリントシリーズの対象レースに加わったが、現在のところ同シリーズのトップタイにつけている。

過去6年の同シリーズは、すべて牝馬がチャンピオンに輝いている。それが今年は、第1戦の函館スプリントSを制したドリームバレンチノに続き、このレースも牡馬が制したことになった。例年とは明らかに違う傾向だ。

今週の中京の結果を振り返ると、牡牝混合の20レースのうち、牝馬は2レースでしか勝っていない

暑がりの自分にとってはありがたい話だが(苦笑)、今年はまだまだ涼しい日が多いこともあってか、夏の中京では「夏は牝馬」の格言が通用しない可能性もある……かも?