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勝ち馬はホエールキャプチャやアンブロワーズを彷彿とさせる!?
文/編集部(W)、写真/川井博


今年は日程が3週繰り上げられて行われた函館2歳S。重要なステップレースだったラベンダー賞がなくなってしまい、キャリア1~2戦の2歳馬が、経験したことのない多頭数で競馬をするということで、いままで以上に難解さが増した、というのがレース前の印象だった。

新馬戦が始まってからわずか1ヵ月半後に重賞を組まなくてもいいような気もするが、いずれにしても、出走馬の血統をチェックしてみると、けっこうすごいことに。

コナブリュワーズの母アンブロワーズ04年函館2歳Sの勝ち馬、イーサンヘイローの祖母エンゼルカロ99年の函館3歳S&ラベンダー賞勝ち馬、ディアセルヴィスの母アイリスモレア07年ラベンダー賞②着馬、タガノハピネスの母タガノラフレシアは2歳時にマリーゴールド賞アイビーSを制した快速馬、ジーブラックの母グランプリシリウス05年フェニックス賞③着馬。

母や祖母だけではなく、アットウィルは昨年の函館2歳Sの勝ち馬ファインチョイスの全弟であり、ティーハーフは昨年の京王杯2歳S②着馬サドンストームの全弟である。

よくぞこれだけという感じで、2歳最初の重賞タイトルを狙うのに相応しい血統背景を持った馬が揃いも揃ったり、という印象も受けた。

ところが、ワンツーしたのは馬名が挙がらなかったストークアンドレイコスモシルバード。くしくも、函館の開幕週で新馬勝ちした2頭だった。

函館で新馬勝ち→中4週で重賞というローテーションは、調整がしやすい面もあったのかもしれない。ストークアンドレイコスモシルバードとも新馬戦と同じく、追って味がある長所をいかんなく発揮して好走してみせた。

コスモシルバードとの競り合いを制し、現2歳世代最初の重賞勝ち馬となったストークアンドレイ。母ジョイオブフライトダンスチャーマー(ジャングルポケットの母)の半妹で、札幌3歳Sの勝ち馬ジャングルポケットが近親にいるのだから、2歳重賞とは縁遠い血統でもなかったか。

ローガンサファイア(⑪着降着)が直線入口付近で内に斜行したことにより、内目の馬群がゴチャつくシーンがあり、タガノハピネスアットウィルなどはその影響を受けていたが、ストークアンドレイは直線で外目に持ち出すとグイグイ伸びて差し切り。フルゲートの最内枠というのは、キャリア2戦目の2歳馬にとって楽ではない条件だったと思うが、難なくクリアしてみせた。

クロフネ産駒からは、フサイチリシャール(05年朝日杯FS)、スリープレスナイト(08年スプリンターズS)、カレンチャン(11年スプリンターズS12年高松宮記念)、ホエールキャプチャ(12年ヴィクトリアマイル)と、4頭のG1ウイナーが出ているが、いずれも芝1600m以下のG1で勝利している。

ストークアンドレイも今後は芝1600m以下が主戦場となりそうな感じで、暮れの阪神JF、来春の桜花賞を目指していくことになるだろう。

函館デビューのクロフネ牝馬と言えば、ホエールキャプチャと同じで、芦毛で、追って味があり、センスが良さそうなところもなんとなく似ている。

近親にダービー馬がいて、新馬函館2歳Sと連勝した父デピュティミニスター系というのはアンブロワーズ(04年阪神JF②着、近親にはフサイチコンコルドなどがいる)と同じでもあり、とにかく、今後に向けて期待が高まるのもムリはない。

それにしても、今年もアットウィルが⑤着に敗れてしまい、函館2歳Sにおける1番人気はダ1000mで行われた94年と札幌芝1200mで行われた09年を除くと、85年ダイナアクトレスの勝利を最後に「25連敗」となってしまった。施行時期や周辺条件が変わっても、1番人気がなかなか勝てないという傾向には変化がないようです。