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リピーターは来なかったが、やはり昨年と似た部分の多いレースだった
文/編集部(M)、写真/川井博


昨年の①~④着馬が出走していた今年の函館記念だったが、その4頭は1頭も馬券圏内に入れなかった。昨年優勝のキングトップガンは⑯着、②着だったマヤノライジンは⑤着、③着だったアクシオンは⑫着、④着だったメイショウクオリアは⑮着。

リピーターが来ることの多いレースではあるけれど、今年はそうではなかった。そう書くことができそうな半面、いや、昨年と似た面も多かった、と記しておきたい気持ちもある。

勝ったトランスワープ2枠3番という枠順で、4番人気だった。昨年の優勝馬キングトップガンも同じ2枠(馬番4番)で、4番人気。どちらも500kgオーバーの大型馬で、レースぶりもよく似ていた。

中団の内に構えて最後の直線まで脚を溜め、内を捌いて先に抜け出した馬を捕まえている。勝ち時計も、昨年が2分0秒3で、今年が2分0秒4。まあ、よく似ていると言えるだろう。

トランスワープ7歳で、②着のイケトップガン8歳、③着のミッキーパンプキン6歳だった。昨年が8~10歳馬のワンツースリーだったから、昨年ほどではないにしても、やはり高齢馬が活躍した。函館記念では、歳はあまり関係ないのだ。

また、昨年は③着にアクシオン(7枠13番)が差し込んだが、それ以外に掲示板に載った4頭はすべて1~2枠で、内枠有利の印象も残った。今年は4枠(馬番8番)のイケトップガンが②着まで差したが、それ以外に馬券に絡んだ2頭は2枠で、⑥着までの6頭はすべて1~4枠だった。

今夏の函館芝は、一度も道悪(稍重~不良)になることがなく、すべて良馬場で開催された。こうなると、芝の傷みも少なく、内枠有利の傾向も強まりやすいのだろう。

軽ハンデで内を回って捌けそうなタイプは、来年以降の函館記念でも要注意のはずだ。前年の好走馬をそのままスライドして買うのではなく、前年に好走した馬と似たタイプを探し出して買い目に入れる。そのような作戦も、ある意味、『リピーターが重要』函館記念では有効と言えるだろう。

個人的には、この勝利でとてもにんまりしているのは、西塚信人調教助手ではないかと思っている。みなさんご存知の通り、西塚助手は『サラブレモバイル』で連載を持たれていて、いまからひとつ前の対談ゲストが、今回、トランスワープで優勝した大野騎手だった。

その中で西塚助手は、大野騎手のことを「田辺(騎手)がブレイクした直前のような状況になっていると感じている」と話し、個人的にもレースぶりを注目していると語っていた。

また、トランスワープの話に触れたり、「(大野騎手は)内から伸びてくるシーンをよく見かける」とも話しているから、今回のレースぶりとその快勝劇を目の当たりにして、「ほら、言った通りでしょ!」と思っているのではないだろうか。そのあたりについては、次回の更新時に触れてもらえると思うので、どうぞそちらを楽しみにしてください(笑)。

大野騎手は今年がデビュー8年目で、昨年は自己最多の34勝を挙げている。今年はすでに30勝(7月15日終了現在)をマークしているから、キャリアハイを更新するのも時間の問題のはずだ。

マスコミの人間はついこのように数字記録に頼った書き方をしてしまうものだが、トレセン内の関係者はやはりちょっと違う。仕事を通じて付き合いのある関係者の方々は、好不調の違いなどを肌感覚で覚えている、という感じがする。

マスコミとしては、本当はその差を埋めるべきなのだろうし、それが叶わないのであれば、その肌感覚の一端でも伝えられるように努めるべきなのだろう。

その意味では、西塚助手のように表に出て表現してもらえると非常に助かるもので、なかでも西塚助手の連載は『ぶっちゃけトーク』がウリなので、騎手や厩舎関係者の素の部分が伝わっているのではないかと思っている。

競馬は機械仕掛けではなく、にしてもにしても、生き物が考えてやっていることだから、その素性をいろいろと知ると、楽しみ方の幅がより広がるものだ。馬券好きな人も、そう思っていろいろなコンテンツをお楽しみください(笑)。