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アイムユアーズVSデータ派の勝負は、この秋も続く!?
文/編集部(T)、写真/川井博

クイーンSの馬体重が発表された瞬間、某都内のウインズからざわめきが聞こえてきた(ような気がした)。

モニターを見て、その理由はすぐに分かった。1番人気に推されているアイムユアーズの馬体重が、24kg増(468kg)だったからだ。

パドックで周回するアイムユアーズの映像を見ると、素人目ながら特に太め感は感じなかったが、それでも、自分にとって気になる点がアイムユアーズにはあった。

そうこうしていると、同じ映像を見ながら、隣にいた友人が「で、これ、勝つの?」と聞いてきた。

“んなもん知らんがな”と言いたかったが、そうもいかないので、「特に太め感は感じないけど、距離がどうかじゃないか」と、あいまいに言葉を返しておいた。

太め感うんぬんはしょせん素人の見立てだが、距離については根拠があった。出馬表のコメントにも書いたが、土曜が終了した時点でファルブラヴ牝馬は芝1800m以上のOPが[1.1.1.20]で、重賞に限ると[0.1.1.15]だったから。前述した“気になる点”も、まさにそこだった。

「ふーむ」と、これまたあいまいな返事を返し、友人はなにやらマークシートを塗って券売機に向かっていった。

そしてレース。アイムユアーズは好スタートを決めて好位に控え、道中は先行馬を見る位置の外目を追走。残り600mで徐々に進出して前を射程圏に捉え、直線入口で前3頭の外に持ち出すと、直線で突き抜けた。

最後は②着のラブフールに詰め寄られたが、直線入口で前にいた3頭はいずれも馬群に沈んでいる。そんな中でアイムユアーズは好位抜け出しという横綱相撲をみせており、見た目以上に強い競馬だったといえそうだ。

前崩れとなった理由として、1000m通過は60秒2で、近年のクイーンSと比べてもさほど速いペースではなかった(昨年は58秒4だった)が、淀みのないペース(もっとも遅いラップでも12秒3、もっとも速いラップが11秒4)で行ったこともあっただろうか。

このレースで勝ったアイムユアーズ、②着に差し込んだラブフールは北海道の洋芝で好走実績があった。この日札幌芝で開催されたレースのうち、新馬戦を除く5レースすべてで函館&札幌芝で③着以内があった馬が馬券圏内に入っている

今年の札幌芝は、特に洋芝実績がものを言う可能性もあるので、今後も注意が必要だろう。

ちなみに、友人は単勝と馬単を的中(ちゃっかり穴ぐさを参考にしていたようだ)、自分はデータを上げた手前もあって、アイムユアーズを②着付けにして、あえなくハズレとなってしまい、今回はデータの敗北となった。

90年以降の平地重賞勝ち馬で、もっとも前走から馬体重が増えていたのは02年札幌記念のテイエムオーシャンで、前走から38kg増えていた。今回のアイムユアーズは08年札幌2歳Sを制したロジユニヴァース、91年ペガサスSを制したノーザンドライバーの26kg増に次いで、4位タイとなる。

結果的に、馬体重24kg増の多くが成長=スケールアップ分だったということなのだろう。

これでクイーンSは10年アプリコットフィズ、11年アヴェンチュラに続いて、3歳馬の3連勝となった。アイムユアーズは、昨年このレースをステップに秋華賞を制したアヴェンチュラに続けるだろうか。

秋華賞の距離は2000mエリザベス女王杯2200m。そうなるとさらに長い距離をこなしていく必要が出てくるが、ファルブラヴ牝馬は芝2000m以上のOPが[0.0.0.11]というデータもある。

ただ、前述したデータからも分かるように、ファルブラヴ牝馬が芝1800mの重賞を制したのは、今回のアイムユアーズが初めてだった。スケールアップしたアイムユアーズがこれを覆しても驚けないのでは……と思ったのは、自分だけではないだろう。

芝1800mのデータが、次は2000mになって、徐々に逃げ道が狭められている気もするが(笑)。データ派とアイムユアーズの勝負は、この秋も続いていきそうだ。