実力を反映した“正しい”レパードSだった
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
レパードSは、今年で4回目を迎える。過去の勝ち馬である09年
トランセンドは後に
ジャパンCダート連覇、10年
ミラクルレジェンドは
JBCレディスクラシックを勝利。昨年の勝ち馬
ボレアスもレースの前に
ジャパンダートダービー2着があった。
要するに、このレースは
その時点での実力をきっちり反映し、一番強い馬が勝つレース。ということで、自分は
「強い馬を探せば馬券は当たる……」と考えた。
そこで、
「メインレースの考え方」の原稿を作る際に基準として採用したのは、
各馬のダ1800m(良~稍重)における持ちタイム。レース前の時点で、
1位はホッコータルマエで1分50秒9、
2位がナムラビクターで1分51秒0、
3位がイジゲンで1分51秒1。4位の
メテオライトが1分52秒5だから、上位3頭が頭ふたつ分くらい抜けていたといえる。
そしてレース。好位につけた
ホッコータルマエは、4角で前に並びかけて直線で早めに突き抜け、中団から差を詰めた
ナムラビクターの追撃をクビ差凌いで重賞初制覇のゴールに飛び込んだ。1番人気の
イジゲンはスタートで躓くアクシデントがあったが、後方から追い込んで③着に食い込んだ。
イジゲンと④着の
ダノンゴールドとの間には2馬身半の差がついており、結果的には
上位③着までが抜けていた印象を受けた。ということで、前述の通り、
ダ1800mにおける持ちタイムの順に①~③着が決まったことになる。
また、これも
「メインレースの考え方」にも書いたが、これで4年連続して
ダ1800mで持ち時計1位だった馬が
レパードSを制した。
逆に言うと、今回も
実力を正確に反映した“正しい”結果に終わったと言っても差し支えないだろう。となると、
ホッコータルマエの今後も非常に楽しみになってくる。
ただ、今年の3歳ダート路線はダート5戦5勝で
ジャパンダートダービーを制した王者
ハタノヴァンクールがいる。そのため、このレースを制覇、イコール世代最強とはいかないかもしれない。
ホッコータルマエ自身も、勝った
ハタノヴァンクールに対して
端午S③着、
ジャパンダートダービー⑤着と、これまでは劣勢を強いられている。しかし、今回の重賞勝ちで賞金を加算したことにより、少なくともリベンジのチャンスは得ただろう。
芝路線は秋にも3歳限定の
菊花賞などがあるが、ダート路線はこのレースで3歳限定重賞は終了し、古馬との戦いとなる。
今回の上位馬にとって、今後は
ハタノヴァンクールだけでなく古馬も相手にすることになるが、今回の勝ちタイムの1分51秒8は、10年
ミラクルレジェンドと同じ。前半がややスローだったことを考えれば、悪くないタイムといえる。
また、何度も言われていることだが、今年の
3歳ダート路線のレベルは非常に高い。今回上位に入った4頭は、いずれも
古馬混合のダート1000万を勝利している。
強い3歳馬はこの4頭だけではなく、今年の3歳以上・ダートの1000万24レースのうち、3歳馬が10勝、4歳以上の馬が14勝。勝率では3歳馬が古馬を圧倒している。
②着に入った
ナムラビクターもきっちり賞金を加算したし、③着の
イジゲンはスタートのアクシデントを考えれば、まともなら巻き返しは必至のはず。今回の上位3頭は、いずれも古馬相手でも互角に戦えておかしくないだろう。今後に注目したい。
ちなみに、個人的な馬券は配当的なものを考えて1番人気の
イジゲンを外してしまったために、3連単がハズレてしまった。
“下手に疑わず、素直に持ち時計を信頼すべし”とは、今後の
レパードSにおける教訓として来年まで覚えておかなければいけないだろう。
“会心の馬券”となるはずが、
“改心”の
レパードSとなってしまったようだ。