走破時計も上がり3Fもレコードで、そもそもスタートが重要だった
文/編集部(M)、写真/川井博
勝ち時計の
1分31秒5は、従来の記録を0秒3上回る
レコードだった。右回りコースの頃に
リワードニンファが樹立したタイム(99年・1分31秒6)をも超えたので、
関屋記念レコードでもある。
左回りコースになってからのレコードタイムは
1分31秒8で、これは
4度記録されていた。01&02年の
マグナーテン、03年の
オースミコスモ、07年の
カンパニーが作ったもので、いずれも
速いペースで流れて、好時計で決着している。
これに比べて、今年はペースが上がらなかった。1000m通過は
58秒7で、1分31秒8のレコードが作られた過去4回が
57秒1~58秒0だったことと比較すると、その遅さが際立つ。
ペースが遅かったのにレコードが樹立されたのは、取りも直さず
上がりが速かったからだ。今回のレースの上がり3Fは、なんと
32秒8だった。直線距離の長い新潟芝外回り重賞でも、レース上がりが32秒台となることはさすがに少ない。
直線競馬の
アイビスサマーダッシュを除くと、これまでに左回りの新潟芝重賞でレース上がりが
32秒台になったことは
2回しかなかった。08年
新潟大賞典(勝ち馬
オースミグラスワン)と同年の
関屋記念(勝ち馬
マルカシェンク)で、どちらも
32秒9。32秒8というレース上がりは、おそらく
日本の芝1200m以上の重賞で最速のタイムと思われる。
今回はレースタイムだけでなく、その上がり3Fタイムもレコードだったと言え、そうなると、さすがに
後方から行った馬には出番がなかった。出走18頭の中で最速の上がり3F(32秒4)を計時したのは
ゴールスキーと
スマイルジャックだったが、4角15~17番手からでは⑤~⑥着まで押し上げるのが精一杯だった。
クビ差の接戦を演じた
ドナウブルーと
エーシンリターンズは道中で2~3番手に付け、32秒5~6の上がりでまとめている。そのことを考えると、そもそも今回は、
スタートの成否から重要だったと言えそうだ。
ドナウブルーの鞍上・
内田騎手は、レース後にその
スタートセンスの良さに加えて、
勝負根性についても褒めていた。その全妹
ジェンティルドンナには、
桜花賞と
オークスで悔しい思いをさせられているだけに(
ヴィルシーナに騎乗してどちらも②着に敗れている)、姉に騎乗して負けるわけにはいかないという気持ちもあったのではないか。
最後に
エーシンリターンズを
ドナウブルーが交わした瞬間、個人的には
「ノーザンテーストよりもダンチヒだったかぁ」との感想を抱いた。
ドナウブルーは母父が
ダンチヒ直仔で、
エーシンリターンズは母母父が
ノーザンテーストなのだが、「メインレースの考え方」でも記した通り、
関屋記念ではこの2系統を持つ馬がよく活躍する。
関屋記念というより、
夏の新潟芝で大注目の系統だけに、この2頭が叩き合い、そしてどちらが先着するかは注目の的だった。
今夏の新潟芝では、1000万クラス以上のレースが
14回行われ、そのうち、3代血統表内に
ノーザンテーストか
ダンチヒの血を持つ馬が連対したレースが
12回もある。
関屋記念が行われた12日の新潟競馬で芝のレースは
7鞍組まれていたが、
ノーザンテースト内包馬は4レースで連対し、
ダンチヒ内包馬は3レースで連対していた(どちらも連対しなかったのは1レース)。レース数は
ノーザンテースト内包馬の方が上回ったが、500万クラス以上の3レースではいずれも
ダンチヒ内包馬が連対していて、
より上級の条件で強さを発揮したのがダンチヒの方だった。その象徴的なシーンが
関屋記念のゴール前だったと言えるだろう。
これだけ暑い中で好時計を叩き出すには、
血統的になんらかの後押しが必要だと思われる。まだまだ暑い日々が続くだろうから、次週以降も
新潟芝ではノーザンテーストやダンチヒを内包している馬には注意を払うべきでしょうね。