独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

今年は小指が引っ掛かった程度にすぎないが、来年こそは!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史


芝1200mのハンデ戦として行われるようになった06年以降、勝ち馬はコスモフォーチュン(06年、52kg、11番人気)、キョウワロアリング(07年、52kg、11番人気)、スリープレスナイト(08年、56kg、1番人気)、サンダルフォン(09年、54kg、8番人気)、メリッサ(10年、52kg、5番人気)、トウカイミステリー(11年、52kg、8番人気)。

6頭中5頭は54kg以下の軽ハンデ馬で、6頭中4頭は8番人気以下の人気薄となっている。08年はトップハンデのスリープレスナイトが勝利し、1→3→4番人気と堅い決着だったが、それはどちらかと言えば例外という感じで、上位人気馬ですんなりと収まらないのが芝1200mのハンデ重賞に生まれ変わった北九州記念の実情である。

06年以降、トップハンデ馬は[1.1.1.8]、1番人気は[1.0.2.3]という成績で、①着はいずれも08年のスリープレスナイトだけだった。しかも、その時は好位抜け出しで2馬身差をつけて勝利していたので、荒れる北九州記念においては“異質の存在”だったということだろう。北九州記念の次走でスプリンターズSを制したほどの馬でもあるので。

それはさておき、今年の北九州記念もオッズが割れて大混戦模様となっていたが、レース前はいろいろと考えさせられることが多かった。

「エーシン軍団はエーシンヒットマン、エーシンリジル、エーシンダックマン、エーシンヴァーゴウと4頭いて、有力馬が多いので1頭も馬券に絡まないというのは考えづらいけど、それをどう馬券に落とし込めばいいのか」

「サクラバクシンオー産駒はサンダルフォン、エーシンダックマン、アウトクラトール、スギノエンデバーと4頭いて、北九州記念ですでに好走馬を出していて、小倉芝1200mとも相性が良いから、産駒が1頭くらいは馬券に絡んできそうだけど、それをどう馬券に落とし込めばいいのか」

「09年以降の小倉芝1200mの種牡馬ランキングでは1位がサクラバクシンオー、2位がキングカメハメハ。キングカメハメハ産駒は前日の小倉10R・八幡特別でワンツーしていたし、同産駒のエーシンヒットマンもボストンエンペラーも侮れなさそう」

「それなら、今夏はすでにトランスワープが函館記念、アイムユアーズがクイーンSを制していて、夏に強いファルブラヴ産駒のエーシンヴァーゴウ、マコトナワラタナも侮れないか」

といった感じで情報が錯綜しまくり。なんとか指の引っ掛かりどころを模索したものの、今年の北九州記念つるつるとした水晶玉のようで掴みづらい感じだった。

結果、鮮やかな差し切りを決めたスギノエンデバーについては、「サクラバクシンオー産駒の中では、終いに切れる脚を使えて調子が良さそう」ということで注目したが、レース後の総括で言えば、それは小指が引っ掛かった程度にすぎない

12番人気で②着に激走したシゲルスダチは馬券で拾えず、昨年②&③着だったエーシンリジルエーシンヴァーゴウを含めたエーシン軍団の4頭が揃って馬券圏外に終わったのも意外だった。だから、3連複で13万9810円、3連単で99万7220円という高配当が飛び出すこととなったのでしょうけど。

それにしても、勝ったスギノエンデバーはこれまでOPでなかなか勝ち切れなかったこと、連続連対がなかったことがウソのような鮮やかな快勝劇。これで小倉芝1200mは[4.0.1.1]と抜群の成績なので、コース相性が良いことは確かだろうが、準OP馬だっただけに、決して恵まれたとは言えないハンデ55kgで、レコードと0秒4差の1分6秒9で走破したのだから素晴らしい。

降級して前走の佐世保特別で久々に勝利を挙げたことが良いきっかけとなったのか、古馬になって力をつけるタイプが多いサクラバクシンオー産駒だけに、4歳夏を迎えてひと皮剥けたということなのか。

いずれにしても、スギノエンデバーの馬名の意味は「冠名+努力」ということで、その名のごとく努力の結晶ではあるだろう。ちょうど2年前の8月に小倉で新馬勝ちしたスギノエンデバーは、2年の間で24戦を消化していて、毎月1レースに出走する計算が成り立つ(実際は4ヵ月と2ヵ月半の休養を挟んでいるのでそうではないが)。

今回の馬体重は444kgで、牡馬にしてはむしろ小柄。それでも、コンスタントにレースを使われながら順調にキャリアを積み、努力を続けてきた結果が今回の勝利に繋がったのだと思う。そのパフォーマンスを引き出し、北九州記念連覇を飾った北村友一騎手の手綱捌きも光った。

②着のシゲルスダチも同じ。デビューして1年2ヵ月で今回がキャリア13戦目。馬体重422kgスギノエンデバーよりもさらに軽い馬だ。そんな小柄な馬が、18頭立ての馬群を割って差し込み、NHKマイルC競走中止のアクシデントから見事に立ち直って快走を見せた、そのタフネスさにも脱帽である。

ちなみに、出走馬18頭のうち、2歳時に小倉芝1200mのOPで③着以内があるのは①着スギノエンデバー(10年小倉2歳S③着)、②着シゲルスダチ(11年フェニックス賞②着)、③着エピセアローム(11年小倉2歳S①着)、⑯着ジュエルオブナイル(09年小倉2歳S①着)の4頭だった。まるで、サケが生まれた川に帰って来るかのようだ。来年はこの傾向をひとつの取っ掛かりとして採用してみようかな。