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創設7年目で、真のサマー2000王者に相応しい馬の出現となった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


今年のサマー2000シリーズは大接戦で、王者になる権利を持つ馬がこの新潟記念5頭も出走していた。中には①着とならないと王者にはなれない馬もいたけれど、その僅差の得点差を象徴するかのように、ゴール前は大激戦となった。

早めに先頭に立ったスマートシルエットタッチミーノットが並びかけ、エクスペディションアスカクリチャンムスカテールなどもこの接戦に加わり、これらの外からはトランスワープが鋭伸してきた。

結局、この6頭はクビ+クビ+ハナ+クビ+ハナという差でゴールを駆け抜け、0秒1差の中にひしめいていた。その大接戦ぶりは、現在のプロ野球のパリーグ上位4球団、いや、ロンドンオリンピックの50m自由形決勝のゴール前みたいだった。

接戦を演じた6頭の中で、今年のサマー2000シリーズで王者となる権利を持っていたのは、エクスペディションアスカクリチャントランスワープの3頭で、それぞれのレース前のポイントは、11点(エクスペディションアスカクリチャン)と10点(トランスワープ)。突き抜けた者が王者となるのは明白で、だからこそ、いつもより熱の入ったゴール前に見えたのは私だけだろうか。

先頭でゴールを駆け抜け、今年のサマー2000シリーズの王者に輝いたのはトランスワープだったが、このシリーズが始まって7年となり、ついに真の王者と呼ぶにふさわしい馬が誕生したと思っている。

どういうことかというと、これまでのサマー2000シリーズの王者は、北海道での2レース(函館記念札幌記念)以外でポイントを稼いだ馬たちだったからだ。

初代王者のスウィフトカレント小倉記念・①着と新潟記念・④着で優勝を決め、翌年のユメノシルシ七夕賞・③着と新潟記念・①着で王者となった。

08年のミヤビランベリと09年のホッコーパドゥシャ七夕賞小倉記念新潟記念と転戦して王者となっている。その後のナリタクリスタルイタリアンレッドは、小倉記念新潟記念(ナリタクリスタル)、七夕賞小倉記念(イタリアンレッド)という組み合わせで王者となっている。

これまでのサマー2000シリーズの王者で、北海道での2レース(函館記念札幌記念)に出走した馬はいなかった。これは時期的な問題ではなく、輸送馬場(洋芝)の影響もあるのだろう。

ご存知のように北海道の洋芝は時計がかかりやすく、逆に夏の小倉新潟は高速決着になりやすい。当然のことながら求められる適性も異なるはずで、これが歴代のサマー2000シリーズの王者の変遷にも影響を及ぼしてきたのではないかと思っている。

今回のトランスワープはこれを覆して王者となったのだ。同馬は函館記念を制した時が2分0秒4(良)という時計だったが、今回は1分57秒6(良)で、実に2秒8も短縮している。上がり3Fタイムに着目すれば、函館記念35秒7で、今回が32秒3。なんと3秒4も縮めて差し切り劇を演じたのだから、立派である。トランスワープ、あなたこそ、真のサマー2000シリーズ王者に相応しい! と叫ばずにはいられません(笑)。

7歳にしてこれだけの進化を遂げたトランスワープは、次走以降、どの路線を歩むことになるのだろうか。夏の2000mの王者なのだから、やはり秋の2000mの最高峰・天皇賞(秋)に挑まないという選択肢はないだろう。

これまでのサマー2000シリーズの王者で、同年の天皇賞(秋)に出走した馬は2頭で、06年のスウィフトカレントが②着、09年のホッコーパドゥシャが⑯着となっている。

06年にスウィフトカレント新潟記念に出走した時の走破タイムは1分57秒4(④着)で、同年の天皇賞(秋)の勝ち時計は1分58秒8(ダイワメジャー)だった。1分57秒6で制したトランスワープも、天皇賞(秋)の時計次第でチャンスがあっても不思議ない印象である。

なお、今年のサマー2000シリーズとは直接関係のない話だが、今回の新潟記念で②着に好走したタッチミーノット横山典騎手はさすがだなあと思わせられた。

最後の直線で外側に斜行して審議対象になってしまったものの、スローペースを見込んで序盤から積極的に前に行き、仕掛けもいつもより早くして接戦に持ち込んだ。

過去最多体重だった前走(七夕賞・510kg)から14kg減(496kg)と絞れていたから、レース前は不気味な感じを抱いていたのだが、図らずもそれが的中した。

サマー2000シリーズの王者がかかっていた馬たちは勝負度合いが強かったのだろうが、たとえタイトルがかかっていなくても、タッチミーノットのように強い勝負度合いで臨んでくる馬を見抜けるようになれば……馬券の的中率も上がるんでしょうねぇ。