馬場が違っても、ステイゴールド産駒が同じような強さを見せた
文/編集部(M)、写真/森鷹史
今年の
オールカマーは、久々に
雨中での重賞となった。先週の
セントライト記念はレース直前に
雨が降ったものの、発表は
「晴・良馬場」。天候が
「雨」や
「小雨」のなかで重賞が施行されたのは、7月1日の
CBC賞(雨・重馬場)以来、2ヶ月半ぶりだった。
今春の中山競馬はずっと
雨に祟られていたというのに、
道悪のレースを観るのはずいぶん久しぶりに感じた。ただ、馬場が異なっても、
ゴール前の風景はあまり変わらない印象を受けた。
良馬場で行われた
セントライト記念では、1番人気に推された
フェノーメノが道中で早めに動く横綱相撲で快勝した。その勝ち時計は
2分10秒8。
一方、重馬場となった
オールカマーは、2番人気だった
ナカヤマナイトが道中で外からジワッと動き、
ダイワファルコンとの叩き合いを制した。勝ち時計は
2分15秒5で、これは
セントライト記念より
4秒7遅かった。
これだけ馬場状態が違っても、両馬とも、早めに動いて1馬身以上の差を付けたのだから、
ステイゴールド産駒というのは本当に中山巧者だと思わせられた。
フェノーメノが
ナカヤマフェスタに似た血統であることは、
セントライト記念のこのコーナーで記した(どちらも
ステイゴールド産駒で、母系にダンチヒの血とリボー系のクロスを持っている)。
ナカヤマナイトは同じ“ナカヤマ”という冠名だが、母系は
ナカヤマフェスタとは似ていない。しかし、昨秋に一緒にフランスに遠征し、同父でやはり似た面があるのか、
ナカヤマフェスタが
セントライト記念を制した時と同じようなレースぶりで優勝してみせた。
ナカヤマフェスタが09年の
セントライト記念を勝利した時の道中での位置取りは、
「7-7-5-3」というものだった。今回の
ナカヤマナイトは
「7-7-4-2」。まあ、よく似ています。ちなみに、先週の
セントライト記念での
フェノーメノは
「6-4-3-1」だった。
最後に急坂が待ち構える中山コースでは、勝負所で下手に動くと、最後にワンパンチを欠きやすい。ところが、
ステイゴールド産駒はそんなこともなく、勝負所でマクるように動いても、
最後まで脚色が鈍らない。
フェノーメノ、
ナカヤマナイト、
ナカヤマフェスタ以外でも、
ドリームジャーニー&
オルフェーヴル兄弟や
フェイトフルウォーが似たようなレースぶりを見せている。
ゴールドシップが
皐月賞を制した時は内をすり抜けてきたが、これも最後までしっかり伸びていた。とにかく
最後まで脚の回転が落ちない。
ステイゴールド自身は中山芝で[0.2.2.4](掲示板外は2回)という成績だったから、まったくもって不思議な印象を受ける。惜敗続きだったからこそ、
勝ち方を産駒に伝授できているのか?
いずれにしても、
ステイゴールド産駒はこれで
中山での重賞が10勝目となり、これはJRA全10場のなかで
2番目に多い勝利数となった。1番目に多いのは
阪神(12勝)で、3番目は
東京(9勝)だ。いかに
坂のあるコースが得意かがよく分かる。
別定G2を制した
ナカヤマナイトは、これで再び
G1タイトルへの挑戦が増えていくことだろう。これまでのG1では、⑤着(
皐月賞)、④着(
ダービー)、⑧着(
宝塚記念)だが、
中山でのG1挑戦はまだない。
中山巧者のナカヤマだけに、
暮れの大一番では目の離せない存在となってきそうだが……?
その暮れの大一番がオーラスに控える
今秋のG1シリーズが、いよいよ来週の
スプリンターズSからスタートする。
今秋の中山芝は
キンキン馬場で時計が速く、2日目の準OP(
セプテンバーS)で
1分6秒9というレコードが出るほどだったが、今週末の
雨中競馬を経て、来週には様相が変わっているかもしれない。
今年の
スプリンターズSは、4回中山競馬の
9日目に行われる。開催日数が例年よりも1日多いので、その影響もあるようなら、
単なるスピード勝負ではなく、やはり
G1らしい底力も求められてくるのではないだろうか。