ナイスミーチューは芝重賞④着の末脚で断ち切ってみせた
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
中学校の英語の授業では、
「Nice to meet you.」と言われたら、
「Nice to meet you,too」と返答するように教わった記憶がある。
「お会いできて嬉しいです」みたいな意味だと記憶しているが、確認したくて、進化した(?)と言われる
iOS6の
Siriさんに話しかけてみた。※「Siri」とは音声を認識して情報を提供する機能です
私:
「ナイストゥミーチュー」Siriさん:
「“愛してる”meeting……“愛してる”という会議はないようです」「ナイストゥミーチュー」が
「愛してるミーティング」と認識されるとは……
俺の発音はそんなに悪いのか(笑)。
Siriさんは、
「生麦生米生卵」と言ったら、
「ではこちらも。庭には二羽にわとりがいる」とか言い返してくるのに、結局、私の
「ナイストゥミーチュー」は、何度言っても理解してくれませんでした。どんなレベルなんだ。
シリウスSを2番人気で快勝した
ナイスミーチューは、英字表記では
「Nice Meet You」。初対面でのあいさつと思われ、
ダートのOPに初出走の今回は、まさに
打って付けの馬名だったと言える。
ただ、私自身は決して
初対面ではなく、それは穴ぐさ💨ファンのみなさんも同じだろう。
3歳時の
ラジオNIKKEI賞(福島芝1800m)で穴ぐさ💨に指名して、後方から追い込んできたものの、0秒2差だけ届かずに
④着だった。想像通りのレースぶりで想像通りの末脚を見せたが、わずかに届かず…。着差も着差だっただけに、よく覚えている。
ナイスミーチューは、
ローザロバータの2007と呼ばれていた頃から記憶している人も多いだろう。
スプリングS勝ち馬の
フライングアップルの半弟で、当歳時にセレクトセールで
1億800万円で購買されている。POGで指名した人も少なくないのではないか。
幼い頃から注目の存在で、順調に2歳秋にデビューを迎えた。ところが、なかなか勝ち上がれず、初勝利を挙げたのは
3歳3月だった。2勝目は
3歳6月で、芝では勝負所でズブい面を見せて差し届かないケースが多かった。
3歳秋からは
1000万に参戦するも勝ち切れず、4歳夏に
500万に降級しても突き抜けられずにいた。クラスが下がってペースが遅くなり、逆に差しが届きにくくなった印象だった。
上位人気に推されながら届かないケースが増えたから、馬券的にはむしろ
蹴飛ばして美味しい存在となっていたわけだが、それが一変したのが
ダートに戻されてからだった。
今年2月に、18戦ぶりにダートを使われると(500万、京都ダート1800m)、これを快勝。その後も
③着、
①着、
④着、
①着と記録して、ダート戦線に戻ってから8ヶ月も要さずに
OP入りを果たしてみせた。
今年のダート戦では、
稍重以上の道悪馬場だと
③①④着で、
良馬場だと
2戦2勝だった。土曜日の阪神競馬は台風の影響が心配されたが、メインレースの
シリウスSの時はぎりぎり大丈夫で、
良馬場で行われた。天も
ナイスミーチューに味方したのかもしれない。
芝ではあれほど差し届かなかったのに、
ダートを走ったらこれほどポンポンと勝つのだから、面白いものだ。
芝では
「ナイスミーチュー」と言っても見向きもされなかったのに、
ダートで
「ナイスミーチュー」と言ったら
「ナイスミーチュー、トゥ」と返されて、
ハグまでされたようなものか。
Siriさんもビックリの進化である。
調べてみると、
シリウスSが阪神ダート2000mで施行されるようになってからは、5年連続で
芝重賞で⑥着以内を記録したことがある馬が馬券に絡んでいた。
芝重賞でも善戦できるような切れ味が必要だったということだろう。
今回のメンバー中、これに該当したのは、芝重賞を勝ったことがある
ヤマニンキングリーと
エーシンジーライン、そして
ナイスミーチューの3頭だった。
ナイスミーチューの
ラジオNIKKEI賞での④着という着順は、
覚えておいて損のない戦績だったのだ。
ナイスミーチューはこの後、
ジャパンCダートへと向かうことになるのだろう。
阪神ダート1800mで行われるようになってからの同レースでは、毎年、
メンバー中最速の上がりを使った馬が連対圏に入っている。また、
芝で連対歴があった馬が必ず1頭は連対圏に入っているとも言える。
ナイスミーチューは
芝で
3度の連対歴があるし、ダートでの9戦のうち、7戦で
メンバー中最速の上がりを計時しているから、十分に好走のチャンスがありそうだ。
ただ、付け加えるなら、阪神ダート1800mでの
ジャパンCダート勝ち馬は、その上がり3Fの順位が
4位(08年
カネヒキリ)、
3位(09年
エスポワールシチー)、
4位(10年
トランセンド)、
6位(11年
トランセンド)でもある。
切れ味だけでは戴冠できないのも
中央ダートG1と言えるから、超一流を相手にしてどこまで太刀打ちできるか。次走以降のG1こそがまさに
力試しの一戦となりそうだ。