カレンブラックヒルはトウカイテイオーやアグネスフローラに似ている
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
カレンブラックヒルが
デビューから無傷の5連勝を決めた。初の芝1800m戦で、初の古馬相手でもあったが、3番手追走から追い出しを待って抜け出し、
快勝と言っていい内容だった。
90年以降にJRAでデビューした馬で、初戦から
無傷の5連勝を決めた馬は、これで
10頭目になる。あなたは過去の
9頭をすべて言うことができますか?
まず頭に浮かぶのは、
ディープインパクト(デビューから7連勝)だろう。やや古いところでは、
ミホノブルボン(デビューから7連勝)や
トウカイテイオー(デビューから7連勝)、
エルコンドルパサー(デビューから5連勝)を思い出す人もいるだろう。
牝馬が好きな人なら、
ファインモーション(デビューから6連勝)や
カワカミプリンセス(デビューから5連勝)、
イソノルーブル(デビューから5連勝)の名前が出てくるか。
ここまでに出てきた馬は7頭。残り2頭は
なかなかハードルが高いかもしれない。ちなみに、
アグネスフローラ(デビューから5連勝)を思い出した人は、今回は不正解になってしまいます。同馬は89年12月デビューなので。
残る2頭のうちの1頭は牝馬で、
ディープインパクトの姉。そう、
レディブロンド(デビューから5連勝)だ。
もう1頭はダートで連勝を記録した馬。デビューからダート1400mで6連勝を記録した
ナムラタイタンだ。
デビューから5連勝以上を決めた馬としては、
カレンブラックヒルは
ナムラタイタン以来となる。
ナムラタイタンは09~10年に連勝を記録したので、約3年ぶりの偉業ということだ。
重賞勝ちも含むデビューからの5連勝は8頭目で、
G1勝ちも含むデビューからの5連勝は、
エルコンドルパサー、
カワカミプリンセス、
ディープインパクト、
トウカイテイオー、
ファインモーション、
ミホノブルボンに次いで7頭目になる(いずれも90年以降にデビューした馬に限る)。
ディープインパクトや
エルコンドルパサーなどが1番人気で連勝を重ねたのに対して、
カレンブラックヒルはデビュー戦が
3番人気だったので、タイプとしては
トウカイテイオー(2戦目の
シクラメンSだけが
3番人気)に似た感じか。もしくは、
アグネスフローラ(デビュー戦だけが
2番人気)か。デビュー前の評価こそ
絶対的ではなかったものの、
走るたびに強さを見せつけるようになっている。
カレンブラックヒルはデビュー戦と
NHKマイルCこそ逃げ切りで勝利を収めているが、今回の
毎日王冠のような
先行押し切りがメインの形だろう。脚質的にも、逃げの
ミホノブルボンや追い込みの
ディープインパクトではなく、
トウカイテイオーや
アグネスフローラの方に近い印象がある。
カレンブラックヒルに対して、
トウカイテイオーや
アグネスフローラに似た強さを感じる理由としては、その
②&③着馬の顔ぶれにもある。
トウカイテイオーはデビューからの4戦が少頭数競馬で平穏な決着ばかりだったが、
91年皐月賞を制した時は②着に
16番人気の
シャコーグレイドが突っ込んだ。
トウカイテイオーが先行馬をすべて掃除して、②着以下の上位に差し&追い込み馬が入るレースだった。
アグネスフローラもデビューからの4戦は少頭数競馬で堅い決着が多かったが、
90年桜花賞を制した時は
14番人気の
ハリケンローズが③着に食い込んでいる。
90~91年の当時は馬連も3連複も発売されていなかったが、
ハリケンローズと
シャコーグレイドの複勝が
900円台だったことを見れば、その波乱度合いが分かるだろう。
本当に強い馬が強い競馬を見せると、それを負かしに行った馬たちが惨敗し、人気薄の馬が上位入線を果たすケースがしばしば見られる。
トウカイテイオーや
アグネスフローラと同じように、
カレンブラックヒルにもそのようなケースが頻発しているのだ。
今回の
毎日王冠は、G1馬6頭を含めて重賞ウイナーが13頭もいる
豪華メンバーだったが、掲示板に載ったG1馬は
カレンブラックヒルと④着だった
リアルインパクトだけ。②着だった
ジャスタウェイは
12番人気で、③着だった
タッチミーノットは
9番人気で重賞未勝利だった。
前走の
NHKマイルCでは、②着にG1馬の
アルフレードが入ったが、③着は
15番人気の
クラレントだった。2戦目の
こぶし賞でも③着には
9番人気の
トーホウアマポーラが入っている。
今回の
毎日王冠こそ上位3頭は0秒1差の接戦だったけれど、
NHKマイルCは③着
クラレントと
0秒6差が付いている。
こぶし賞も③着
トーホウアマポーラと
0秒6差だったから、
カレンブラックヒルが他馬を突き放したことで波乱が演出された面もあるのだろう。
この強さを疑う人なんていないのだろうけれど、今後、
カレンブラックヒルはさらなる
未知の領域に足を踏み入れていくのも事実だ。次走に予定されているのは
天皇賞・秋で、今度は
初の2000m戦になる。
今回のレースぶりを見る限り、個人的には、距離が1F延びても問題ない印象を受けた。ただ、それはこれまで同様、
内目の枠だった場合で、
どんな枠に入るかが連勝が伸びるかどうかのカギを握っているように感じている。
カレンブラックヒルはデビューからの5戦がすべて
馬番2~5番。内からスッと好位に付け、もしくはマイペースを築いて押し切っている。
トウカイテイオーや
アグネスフローラも、似たような形だった。
トウカイテイオーはデビューから
皐月賞前まで、4戦連続で
ひと桁馬番(馬番2~8番)だった。14頭立て以上となったのは
皐月賞(18頭立て)が初めてで、そこでいきなり
大外枠(8枠18番)という試練に立たされた。
トウカイテイオーは次走の
ダービーでもまたもや
大外枠(8枠20番)になるのだが、いずれも4コーナーでは先頭を射程圏に入れる競馬を見せて
快勝。連勝を伸ばしている。
一方の
アグネスフローラも、デビューからの5連勝はすべて
ひと桁馬番(馬番4~9番)だった。15頭立て以上が初めてだった
桜花賞も5枠9番という枠順で制したが、迎えた
オークスは20頭立てでの大外枠になり、
エイシンサニーの末脚に屈している(3/4馬身差の②着。その後に骨折も判明したが…)。
カレンブラックヒルは、
トウカイテイオーのように
外枠になっても
連勝街道を進んでいくのか、それとも内目以外の枠が
壁となってしまうのか。
今後、次々に現れてくるであろう障壁に対して、
カレンブラックヒルがどのように乗り越えていくか。ファンの人も、アンチファンの人も、それを見ていくのが楽しみのひとつとなっていくのだろう。